パウエル議長のスピーチは従前の見解を変えるものではなかった。年内利下げが適当だとしながらも、そのための確証を得るためには時間が必要だとした。年内3回の利下げが怪しくなってきているところに、このような消極的にも取れる姿勢が出ると、余計にドル金利の先安感が払拭される。他のタカ派のメンバーからは年内に1回の利下げで十分だという意見も出てきた。
ドル円は152円台の手前まで吹き上がったが、やはり警戒感が強いためにそこではオファーがいっぱい。またしても止められた格好となった。下がっても大して下がらないため、ドル円のレンジ値幅が日に日に小さくなってきているのが実情だ。
ISMのサービス指数が予想よりも悪かったので、これがややドル売りを誘発。ユーロドルは1.08台に乗せてきた。ドル円が下がらないためもあって、ユーロ円が上昇し、164円台に乗ってきて、なおも上がり足りない感じである。
年内に利下げを開始するならば、明らかに雇用かインフレ、景気の鈍化が確認されなければならない。雇用は遅行指標であるし、インフレは鈍化具合が低迷気味である。景気の鈍化に関しては、GDPを見る限りはマイナスになる傾向すら見えない。
このようななかで金融当局者は何を理由に利下げを実行するのであろうか。対中貿易でもやったように「予防的利下げ」という名目でやるのだろうか。予防的にやるならば利上げの方こそ必要だと思えるのだが。
日本時間 15時00分
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