米ドル/円は、10月のS&P500指数の急落や、ユーロの悪材料などで反落する局面もあったのですが、欧米ヘッジファンドを中心とした円安基調のトレンドは変わらず。
前コラムでご紹介したとおり、米ドル/円は急騰することもなく80.50円、81.00円という節目に設定されているバリアに阻まれ、反落と反騰を繰り返しつつも円安は静かに進行しています。
【参考記事】
●日本の貿易収支悪化をきっかけに円安へ。米ドル/円は反落を繰り返しながら上昇か(10月25日、西原宏一)
10月18日(木)のコラムでご紹介したように、海外勢は「テールリスク(※)が後退」したユーロに対しても目線を上げてきており、対円でも上昇を予測しているプレイヤーが増えています。
(※編集部注:「テールリスク」とは発生確率は低いが、発生すると巨大な損失となるリスクのこと)
【参考記事】
●ユーロを取り巻く環境に大きな変化!!上昇中のユーロ/円は108円も見えてきた(10月18日、西原宏一)
ただ、今週(10月29日~)の彼らの取引きはオプションを中心としたものに変わっている模様で、米ドル/円、ユーロ/円とも上値をアグレッシブに買い上げていくような展開にはなっていません。
■結果によっては米ドル/円の上昇が加速する米大統領選
円安の見方を日に日に強めている彼らが、今週(10月29日~)、大きなリスクを取ることをためらっている理由は、11月は彼らの決算月であることが1つ。
加えて、11月6日(火)に予定されている米大統領選挙の行方で、相場展開が大きく変わる可能性があることも挙げられます。
そして選挙戦もさることながら、立法府と行政府の与党が違う「ねじれ国会」が解消されるかどうかという問題にも注目。
また、仮にロムニー氏が勝利すると、QE3(量的緩和第3弾)を推進してきたバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が解任される可能性もあるなど、年末に向けて相場は不透明感を強めています。
この状況では「顧客の資金」を運用しているヘッジファンドにとって、今週(10月29日~)は大きなリスクを取るわけにはいきません。
少なくとも11月6日(火)の米大統領選の行方を確認して、リスクを取りにいくものと想定されています。
上記のような季節的要因と大統領選というイベントによって、今週(10月29日~)の米ドル/円の値動きは緩慢なものとなっています。
ただ、米大統領選挙の行方に関わらず、日本の経常黒字の減少を背景に米ドル/円の下落余地は限定的になる可能性が濃厚。
選挙結果如何によっては、米ドル/円の上昇が加速する可能性もあります。
(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
当面、米ドル/円の行方に注目です。
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