■「成長戦略」への失望感から日経平均が暴落!
株式市場、為替市場とも乱高下を続けながら、株安・円高方向に向かうという流れが続いています。何が起きているのか、少し考えてみたいと思います。

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6月5日(水)の午前中に安倍総理が内外情勢調査会で講演し、成長戦略の概要を説明した後、後場の市場で株価は急落。6月12日(水)には、成長戦略最終案が産業競争会議で提示され、翌13日(木)の日経平均は、前日比843円安の暴落となりました。

(出所:株マップ.com)
米国の株式市場が下落したことが原因という説明もありますが、前日のNYダウは0.84%の下落であるのに対し、13日(木)の日経平均の下げ幅は6.35%と、NYダウをはるかに上回る下落率となっていますので、その説明には無理があります。

(出所:米国FXCM)
やはり、成長戦略に対して市場に失望感が広がったと考えるべきでしょう。
■暴落の背景に外国人投資家! 決算前に株売り・円買い
2012年11月に始まった日本株式の上昇と円安の流れを最初に演出したのは、外国人投資家でした。彼らの多くは、6月末に中間決算を控えています。
そういう時期に中途半端な成長戦略を出されたので、これを材料として手仕舞いの株売り・円買いをしてきたと考えるのが自然の流れではないかと思います。
来週(6月17日~)までそうした流れは続く可能性も十分に考えておく必要があるのではないでしょうか。
■株価下落、円高なのに長期金利は下がらない
さらに、心配な点があります。
5月上旬~中旬の流れを見ていると、日本株上昇、円安、長期金利の上昇が3点セットで動いていました。ところが、今回、急激な日本株の下落、円高が進んでいるにもかかわらず、日本の長期金利はそれほど下がっていないのです。
普通なら、長期金利は急落するはずです。これをどう考えるかはとても重要なポイントだと思っています。

(出所:CQG)
日銀は量的緩和のために、大量の国債を買い続けています。普通であれば、これも金利低下要因のはずなのですが、そうなってはいません。これは、市場がこうした政策に関して疑問を投げかけているとも取れるわけです。
つまり、財政再建が不十分であり、下手をすると日銀の大量の国債購入が財政ファイナンスと見られてしまいかねないということです。
実は、この点を黒田日銀総裁も心配しているようで、再三に渡り、「政府は財政再建にしっかり取り組むべき」と警鐘を鳴らしています。
日本の金融市場の行方は、少しわからなくなってきました。
■米国株式市場にも、もう一波乱あるかも…
また、米国でもFRB(米連邦準備制度理事会)が早期に量的緩和政策を縮小していくことをアナウンスしはじめてから、株式市場の雰囲気が変わってきています。

(出所:米国FXCM)
こちらも6月末に向けて、もう一波乱あるかもしれません。
外国人投資家が作った上昇トレンドを同じ外国人投資家が崩しているという状況なわけですが、もう少し彼らの動きを見ておく必要がありそうです。
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