米ドル/円が159円台前半まで上昇。イランの軍事衝突で円が「最大の被害通貨」に。市場は日銀の介入をそれほど気にしていない
みなさん、こんにちは。
イランの軍事衝突は早期の終結が期待されるも、まだ戦闘が続いています。
そんなリスクオフの環境下、注目された通貨は日本円です。日本のホルムズ海峡依存度は原油で87%、LNGで20%と極めて高い。
そのため、ホルムズ海峡にまつわるリスクは「地理的チョークポイント」「地政学的対立」「化石燃料へのほぼ全面的な依存」という三重苦によって、円安につながっています。
その結果、円はじわじわと値を下げており、本稿執筆時点での米ドル/円は159円台前半まで上昇しています。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
そして、米ドル/円が160円に迫れば、警戒すべきは日銀の介入です。
しかし、先月(2月)と比較すると、今週(3月9日~)のマーケットは日銀の介入をそれほど気にしていません。
それは、先週(3月2日~)のSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の介入スタンスが影響しています。
SNBの介入がスムージングオペレーションのみというサプライズ
イランの軍事衝突が始まってスイスフランが急騰する中、SNBの総裁、副総裁が即座に為替介入を示唆。
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⇒スイスフラン/円急反落の懸念高まる! イラン紛争で初動は安全通貨として買われたが、SNBのスイスフラン売り介入の可能性がかなり高まり、日銀の円買い介入への懸念も(3月5日、西原宏一)
そのため、いったんはスイスフランも反落したのですが、実際の実弾介入がなかなか出ないため、再びユーロ/スイスフランはスイスフラン高に。一時、SNBが注目している0.9000スイスフランを割り込みました。
しかし3月9日(月)、スイスのローカル銀行のレポートによれば、 0.9000〜0.9010スイスフランレベルでSNBが介入したとのこと。
よって、ユーロ/スイスフランは反発するも、その具合は緩慢です。

(出所:TradingView)
SNBが実弾介入に入るときは、1.07スイスフランレベルの相場に、いきなり1.2000スイスフランのユーロ買い無制限といった暴力的な介入をするので有名です。
それが今回は、スイスフラン買いの加速を緩和させるだけのスムージングオペレーションどまり。
なぜ、今回SNBの介入はこうしたスムージングオペレーションになったのでしょうか?
イランの軍事衝突が収束しない中、介入の効果を疑問視しているとの意見もありますが、 実弾介入を実施するにあたり、やはり米国の反応を考慮しているのでしょう。
それでは、日銀はどうでしょうか?
米ドル/円は162円に向けて続伸の可能性高い。米ドル全面高となっていることも、日銀の大規模介入を難しくしている
まず、SNBが大規模介入を実施していない環境下、日銀だけが大規模介入を実施するのは難しい。
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加えて、イランの軍事衝突以降の相場では米ドル/円だけでなく、多くの主要通貨に対して米ドルが全面高となっていることが、介入を難しくしています。
軍事衝突以前の相場は、全通貨で米ドル売りが進んでいましたので、円だけが売られている局面では、「投機的な円売り阻止」という名目で円買い介入の大義名分が立ちます。
ただ、前述のように多くの主要通貨で米ドル買いが進んでいる中、 日銀だけが米ドル売り介入をするのが困難になっています。
もちろん、SNB同様、日銀の口先介入は頻繁に出るのでしょう。
それでも、大規模な円買い介入が行われないのであれば、イランの軍事衝突で「最大の被害通貨」となった円安を止めるのは難しい。
加えて、当局が米ドル売り介入を示唆するため、多くの事業法人の米ドル買い遅れが続いているのも大きい。
そうした環境では、デリバティブを使った取引も増えています。たとえば、米ドル/円の162.00円にノックアウトをつけるオプションなどが人気となっています。
これを使うと米ドルを安く調達できますが、仮に162.00円を超えると米ドルロングが消えてしまいますので、ますます米ドル買い需要が高まり、米ドル/円が続伸する公算が高まります。
スイスフランが高騰する中、想定どおりSNBのスイスフラン売り介入が出ましたが、スムージングオペレーションどまり。
日銀の大規模介入も難しくなるため、イランの軍事衝突で「最大の被害通貨」となった円安は継続。162円に向けて続伸する可能性が高まっている米ドル/円に注目です。

(出所:TradingView)
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