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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

チャイナショックで狂ったFRBのシナリオ、
雇用統計強くても米ドル高は続かない!?

2015年09月04日(金)16:10公開 (2015年09月04日(金)16:10更新)
陳満咲杜

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■一進一退の為替市場、ドルインデックス上昇の要因は?

為替市場は一進一退の状況を保っている。先週(8月24日)、ブラックマンデーで急落した分、スピード調整のニーズも高く、今週(8月31日~)はこういった値動きが続き、また昨日(9月3日)はECB(欧州中央銀行)のハト派スタンスもあり、ドルインデックスは再度、50日移動平均線(≒96.64)にトライしている。 

ドルインデックス 日足
50日移動平均線に再トライするドルインデックス 日足

(出所:米国FXCM

 言うまでもないが、今晩(9月4日)の米雇用統計が一層重要になってくるから、米ドル高基調に回復できるかどうかは今晩の値動きによって、かなり明らかにされよう。

 もっとも、リスクオフ継続の有無については、最近では株式相場の動向がより物差しとして有効であろう。

 9月2日(水)に発表された中国PMI(購買担当者景気指数)が中国経済の一段の減速を示し、世界の株式相場がまた下落したものの、昨日(9月3日)までの値動きから考えると、リスクオフ志向がいったん収まったようにみえる。したがって、ドルインデックスの反騰も株式市場とリンクした値動きだと言える。

 一方、それ以上に、昨日(9月3日)のドルインデックスの上昇は、ユーロ/米ドルの急落がもたらした結果だとも言える。 

ユーロ/米ドル 1時間足
ドルインデックス上昇の要因となったユーロ/米ドル

(出所:米国FXCM

 何しろ、昨日(9月3日)のドラギECB総裁の「行動せずに演じられる最大限のハト派姿勢」はかなりのユーロ売りを招いたから、それがドルインデックスを押し下げた効果の方が大きいとみる。

 ドラギ総裁はEU(欧州連合)経済やインフレの見通しに悲観的な見方を示し、公的部門の債券の購入割合を引き上げたと説明、さらなる調整の用意もあり、金融政策強化の可能性について、制限がないことも明言した。

 これにより、ECBのQE(量劇緩和策)拡大観測が急速に高まり、それがユーロ売りにつながったことは自然の成り行きだ。

■「米利上げが米ドル高につながる」発想に大きな落とし穴

 しかし、ドルインデックスについて57.6%のシェアを誇るユーロの急落が米ドル全体に対して波及する効果が限定されていることも見逃せない。

 足元の米ドル/円の軟調がもっとも大きく、それを証左する材料となるだあろう。200日移動平均線(≒120.80円)を回復しきれない米ドル/円の値動きが、米ドル全体の弱さを暗示していると思う。 

米ドル/円 日足
200日移動平均線を回復できない米ドル/円

(出所:米国FXCM

 前述のように、今晩(9月4日)、発表される8月米雇用統計は一層重要になってくる。なぜなら、市場関係者は同指標をもって、今月FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げするかどうかを計る上、米国が早期利上げをできるかどうかがマーケットの行方を大きく左右するからだ。

 本コラムで繰り返し指摘してきたように、米国株を中心として、世界の株式市場が混乱したのは、いわゆるチャイナショックによるものではなく、世界規模での金余りがもたらした株バブルの破裂に他ならなかった。したがって、米国の早期利上げがあれば、株バブルの崩壊が一段と加速しかねない。

【参考記事】
中国ショックはまだ序の口で来年が本番!? 米ドル/円の調整は1年近く続く可能性も!(2015年8月28日、陳満咲杜)

 ゆえに、前回コラムの最後に言及したように、「米利上げが米ドル高につながる」といった発想には大きな落とし穴がある。

 米利上げが株式市場の一段の反落につながれば、少なくとも中期スパンでは米ドルは買われるのではなく、売られるハメになるだろう。

 チャイナショックで波乱となったこの前の相場に照らして考えてみると、米ドルではなく、ユーロと円こそがリスク回避先(ユーロの場合、本質的には違うが、結果的に回避先になったと言える)になる公算が大きいから、米利上げが米ドル高につながらないリスクは十分警戒しておきたい。

 次に、2015年年内の米利上げ観測が多い一方、利上げどころか…

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