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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

日米協調介入の影響で円は一時的に方向感を失いそうだが、米ドル/円の円安トレンド継続は変えない!9月日銀会合がターニングポイントとなるか?

2026年08月06日(木)17:00公開 (2026年08月06日(木)17:00更新)
今井雅人

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為替介入のタイミングをピンポイント予測するのは難しい

 先週(7月27日~)の木曜日から金曜日にかけ、意表を突く米ドル売り・円買い介入が実施されました。
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米ドル/円は一時157円台に急落後は徐々に円安方向に回帰。当局による抜き打ち為替介入を実施したが高市政権の政策が続く限り円安トレンドは変わらない!(5月8日、今井雅人)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView

 今週(8月3日~)月曜日にも連続で実施された可能性もあります。今回も感じましたが、為替介入のタイミングをピンポイントで予測するのは、本当に難しいと実感しました。

 それでもなぜあの日に介入したのか?

 ひとつの仮説としては、ちょうど高市総理が食料品の消費税1%引き下げの意向表明をした時期と同時であったことが影響している可能性があると思います。

 ここまで、高市政権の経済政策が円安と長期金利の上昇を招いたという批判が広がっており、高市総理としては、心中穏やかではなかったと思います。

 そんな状況下で、食料品の消費税1%への引き下げは財政悪化を招き、インフレ、円安を誘発するという意見が専門家の中で広がっていたため、その批判をさけるためにも高市総理は足元の円安を何とかしておきたかったということだと思います。

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日米による協調介入の影響はどの程度だったのか?

 次に、この介入の背景と効果について考えてみたいと思います。今回の為替介入をきっかけにこれまでの円安予想から、予想を転換した人がかなりいるようですが、私は現時点では見方を変えていません。そのことを伝えたうえで、今回の為替介入を分析してみましょう。

 まず、今回の為替介入の規模ですが、これはゴールデンウィークに行われた為替介入11.7兆円と最低でも同程度、場合によってはそれを上回る規模であったと推計されます。短期的な需給をゆがめ、短期的な円安を阻止するには十分な金額です。

 次に、今回の為替介入の特徴は、米国を巻き込んで行われたということが重要です。ここ数年の為替介入はゴールデンウィークの時を含め、日本の単独の為替介入でした。

 しかし、今回は米国も参加した協調介入となりました。トランプ米大統領が「円安是正に対して日本から助けを求められた」、「日本は友好国なので、協力してやった」と発言しましたが、米国側にもメリットがあると考えたから協力したのだと考えられます。

 1. 日本において、日本売りが起き、円安・債券安(利回り上昇)が起きると、米国の長期金利にも影響が出て、金利上昇の要因となりかねません。最近、米国の長期金利の上昇傾向が鮮明になっていたため、さらなる金利上昇の火種は消しておきたかった。
 2.円安になると、日本との貿易赤字が拡大しかねない。
 3.1997年に発生したアジア通貨危機のとき、それまでに極端な円安が進行しており、それがアジア通貨危機の遠因であったといわれています。今回もそのときに類似しているということで、事前に予防策を打っておきたかった。

 協調介入の実施は、単独介入よりはよりメッセージ性が強く、効果は大きいことは間違いありません。

 ただし、ベッセント米財務長官が言っているように、介入の効果は一時的で、本当にトレンドを変えるためには、日本がこれから新たな措置を講じることが必要であるということです。

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今回の措置が一時しのぎに過ぎない理由とは?

 もう1点特筆すべき点があります。日本政府は円買い介入の資金調達に、FRB(米連邦準備制度理事会)の流動性供給制度「FIMAレポ・ファシリティー」を活用するということです。

 米ドル売り介入をするのは、当然売る米ドルが必要になります。その米ドルは通常日本が保有する外貨準備が使われます。問題は、その外貨準備の多くは、米国債で運用されているということで、つまり米ドル売り介入をするためには、米国債を売って米ドル資金を確保しなければならないということになります。

 米国側としては、日本が米国債を売って、長期金利が上昇してしまうことは避けたい。そこで、レポで米ドルを貸すという選択肢を与えたということです。

 確かに一時的には米国債の売却は回避できるので、理論的には介入の金額も気にしないで実行できます。しかし、いずれレポで借りた米ドルは返さなければいけないし、借りている間の金利もかなり高い。

 そして、借りた米ドルを返済するためには、結局、米国債を売却するしかありません。つまり、今回の措置は一時しのぎに過ぎないということです。

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円安トレンドに変化はないが日銀の動向が鍵を握る

 さて、そのうえで、今後の展開ですが、今回の協調介入のメッセージ性、金額の大きさを考えると、当面はその影響は残ります。したがって、円相場は方向感を失うでしょう。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

 それでも、今年(2026年)は政府間で約束した日本から米国への80兆円にも及ぶ投資が行われます。これは円安要因で、金額はゴールデンウィーク、今回の介入金額の合計をはるかに上回ります。

 また、日本政府は「貯蓄から投資へ」キャンペーンを続けており、日本から米国への個人マネーの流出も続くでしょう。企業も海外への直接投資を積極化していますが、これも変化はないでしょう。つまり円安をもたらす傾向に変化はないということです。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView

 鍵を握るのは、日銀の動向です。ベッセント米財務長官も「日銀が役割を果たすべき」と暗に日銀に利上げペースを加速することを促しています。

 これまで高市総理は利上げに否定的な態度をとってきましたが、それを転換できるかが今後の方向性を左右することになるでしょう。

 そこに大きな転換がなければ、円安傾向に変化はないと考えています。次回の日銀の金融政策決定会合は9月17、18日です。

 次の大きな山場はこのときだと考えています。今後の日銀関係者の発言から目が離せません。


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