■日銀は当面、追加緩和はやらないだろう
前回のコラムで、日銀の金融緩和の可能性は低いという話をしました。
【参考記事】
●株価低迷の背景に産油国の苦しい事情!?日銀追加緩和が実施される可能性は?(10月1日、今井雅人)
今回は、それについて、もう少し詳しくお話してみることにします。
黒田日銀総裁は、直近の会見で、「物価の基調は確実に改善している」という認識を示しています。
さらにその理由として、「企業の価格設定行動は、日次価格指数や週次価格指数などを見ると、昨年と様変わりしていて、価格の引き上げが続いている」、「賃金も昨年以上のベアが決定されており、予想物価上昇率は長い目で見れば、全体として上昇しているという判断は変える必要はない」と語っています。
黒田日銀総裁に、当面、追加緩和の意志はないか?10月30日の日銀会合はどうなる!? (C)Bloomberg
これだけを聞いていると、当面、追加金融緩和はやらないというのが普通の見方ではないかと思います。
■原油価格の下落が物価上昇を抑制している?
もう1つ、黒田総裁がよく言っている話として、2014年の秋以降、原油価格が急落して、その影響で物価上昇が抑えられているということがあります。
(出所:米国FXCM)
直近の消費者物価指数を見ると、2015年8月は、前年同月比でマイナス0.1%ということになっています。
1年前の2014年8月の原油価格は、大体90ドル台でした。現在は40ドル台です。この差が、物価を押し下げているという理屈です。
原油価格は、2014年の9月以降、急落していったワケですから、2015年9月の消費者物価指数から、その影響が徐々に薄らいでいくということになってきます。
それを確認したい、というのが黒田総裁の本音ではないでしょうか。
■首相官邸からは追加緩和期待が高まっているだろうが…
しかし、一方で、政府からの追加金融緩和期待は、日増しに高まっているのでないかと考えられます。
おそらく首相官邸からは、そういう要望が日銀にいっているような気がします。
さて、黒田総裁は、そうした声にどう答えるのでしょうか?
私は、彼がこれまで主張してきたことが崩れない限り、なかなか追加緩和には応じないのではないかと見ています。下手をすれば年内は、金融緩和しないのではないでしょうか。
さて、米国に…
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