米ドル/円は日米協調介入で一気に急落!
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
トレーダー西原 それでは叶内さん、さっそく先週(7月27日~)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 株式市場は一時急落する場面もありましたが、ハイパースケーラー(※)などの企業決算、日米の金融政策会合とビッグイベントを多数こなし、やや落ち着きを取り戻したように見えました。
(※「ハイパースケーラー」とは、クラウドサービスを大規模に構築・運用する企業のこと。アマゾンやマイクロソフト、アルファベット、メタなどが含まれる)
S&P500は前週末比1.05%高で3週ぶりの反発となりました。ナスダック総合指数も1.59%高で3週ぶりの反発。NYダウは1%高で4週ぶりに反発しました。
ただ、半導体株指数SOXは週前半の下げを取り戻せず、週間で4.3%安と反落しました。月間では20.6%安で2008年10月以来の下落率となりました。
日経平均も0.39%安と反落、TOPIXも0.2%安で反落です。週半ばには巨額投資に対する懸念などからAI・半導体関連株が大きく売られる場面がありました。韓国市場のレバレッジ投資の規制も影響したようです。
米国とイランの対立が再燃し、インフレ警戒感が高まるなか、FOMC(米連邦公開市場委員会)では予想どおり政策金利が据え置かれました。ただ、FRB(米連邦準備制度理事会)が後手に回るとの懸念がささやかれ、債券市場で長期金利が1年半ぶりの水準に上昇しています。
その後、マイクロソフトやアドバンテストが良好な決算を発表し、市場がこれに素直に反応したことから、ハイテク全般で買い戻しが優勢になりました。ローテーションで買われていた内需系銘柄なども底堅い推移を見せています。
なお、日銀も金融政策を据え置き。介入で為替が円高に振れましたが、株式市場での反応は限定的でした。
7月30日(木)に高市首相が消費税引き下げを指示し、一部食品銘柄が買われました。7月28日(火)に熊本県で最大震度7を観測する地震が発生。半導体工場の被害は大きくなかったようですが、大きな人的被害が出てしまいました。
話題になっていたのは、元OpenAIの研究者レオポルド氏(24歳)が設立した200億ドル規模のヘッジファンド。レバレッジをかけてAI株に投資していたと報じられ、6月時点で純リターン439%という高成績をあげたものの、7月末にはケン・グリフィンのシタデルに公開株式ポートフォリオ全体を一括取引で売却したようだというニュースです。
こうしたファンドの清算のような出来事が明らかになると、いったん悪材料出尽くしになることがあります。どうでしょうか。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 先週の為替市場は、FOMCと日銀会合(日銀金融政策決定会合)のダブルイベントを消化したあと、金曜(7月31日)に最大のサプライズが待っていました。
まず金融政策から簡単に。FOMCは予想どおり政策金利を据え置き。原油高によるインフレ再燃リスクを意識して、ウォーシュFRB議長は引き締めバイアスを維持しました。声明・会見とも想定の範囲内で、米ドル/円の初動反応は限定的でした。
日銀も現状維持。高市政権への配慮からハト派寄りの情報発信になるとみていましたが、会合自体はほぼ無風。「日銀会合が円売りの号砲になる」と警戒していた身としては、やや拍子抜けの内容でした。
そして、メインイベントは金曜夜です。
NY時間に本邦通貨当局の円買い介入が入りました。これに米財務省・NY連銀が参戦し、日米の協調介入となったことがマーケットに衝撃を与えました。しかも、米国は米ドル売りを避け、ユーロ/円での円買いに踏み切っています。
単独介入は「時間稼ぎ」と見透かされがちですが、協調介入となると話はまったく別。「日米当局はこれ以上の円安を容認しない」という明確なメッセージであり、164円に迫っていた米ドル/円は一気に急落しました。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
下値での米ドル買いを待ち構えていた事業法人も、さすがに米国参戦とあってはいったん様子見。これまで相場を支えてきた「押し目買い構図」に、初めて変化が生じています。
それでは叶内さん、今週(8月3日~)のイベントと株の注目点をお願いします。
米ドル/円の160円台への戻りは売り場探し、155円割れなら152円を目標に下値を試す展開へ。欧州通貨のクロス円の下落続くか注目
MC叶内 AI・半導体株の戻りが続くのかがポイントです。
金曜引け後に決算を発表したキオクシアは月曜、上昇して始まっています。ハイパースケーラーが巨額投資に見合う利益を享受できるのか、中国の台頭もありメモリ価格はどうなるのかなど、折に触れて市場は気にすることになりそうですが、目先底打ちとなるでしょうか。
8月4日(火)にAMD、スペースX、8月5日(水)にサンディスク、8月6日(木)にSBGの決算発表が残っています。8月4日(火)~6日(木)にラスベガスで北米最大のAIカンファレンス「Ai4 2026」が開催されます。
金利も影響しそうですが、重要な経済指標の発表が多く、8月3日(月)に発表される米国7月ISM製造業景気指数と、8月7日(金)に発表される米国7月雇用統計に特に注目が集まります。
雇用統計の市場予想は、非農業部門雇用者数は+8.8万人と、弱かった6月から伸びが加速する見通しです。失業率は4.2%と前回から横ばい、平均時給も前月比+0.3%、前年比+3.5%と、こちらも横ばいが見込まれています。
そのほか、8月4日(火)に米国6月貿易収支、8月5日(水)に米国7月のADP雇用統計、ISM非製造業景気指数が発表されます。米財務省は8月3日(月)に四半期国債発行概要、8月5日(水)にその詳細を公表します。
中国では、7月貿易収支が8月7日(金)、7月CPI(消費者物価指数)とPPI(卸売物価指数)が8月9日(日)に発表されます。
国内では、8月7日(金)の6月全世帯家計調査、6月景気動向指数が注目されています。
なお、8月からTrump Mediaが、市場を動かす投稿をミリ秒単位で最速取得できる有料サービス「トゥルースAPI」を機関投資家向けに提供しているそうです。
8月4日(火)にミシガン州上院民主党予備選があります。重要なスイングステートですが、民主党内で穏健派と進歩派の対立が激しいとのこと。今週も忙しそうです。
為替市場の見通しはいかがですか?
トレーダー西原 今週の米ドル/円は、協調介入によって風景が一変したことをまず押さえておく必要があります。
米国が介入に参戦したことで、160円から上は当局の防衛ラインとして強く意識され、上値は重くなったとみています。これまでのような「介入警戒感がむしろ下値を固める」構図は崩れ、160円台への戻りは売りに押されやすいでしょう。
焦点は155円です。前回の単独介入では155円割れに失敗し、そこから切り返された経緯があります。マーケットには「介入でも155円は割れない」という見方が残っており、ここが攻防の分水嶺になります。
ただ、今回は日米協調という圧力の質が違います。155円を明確に割り込むようなら、実需の買い下がりでは支えきれず、ロング勢の損切りを巻き込んで、サポートの152円レベルまで下落する可能性を想定しておくべきでしょう。

(出所:TradingView)
戦略について考えます。
政府・日銀の単独介入にとどまるかぎり、あくまでも押し目買いのスタンスを貫いてきましたが、とうとう米国が参戦してきたため、金曜から戦略を転換しています。
「Don't fight the Fed(FRBに逆らうな)」――この格言は本来、金融政策の方向性についてのものですが、介入でも同じこと。160円台への戻りは売り場探し。155円割れなら152円をターゲットに下値を試す展開をみています。
前述のとおり、今回の介入で米国は米ドル売りを避け、米ドル/円ではなくユーロ/円での円買いに踏み切っているのもポイント。
つまり、米ドル/円の行方にはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の動向が大きな影響を与えます。
過去数年、スイスフラン/円が毎年急騰し、円安を牽引してきたのは記憶に新しいところ。そのスイスフラン/円が大台の200円を大きく割り込み、193円台で推移しています。

(出所:TradingView)
スイスフラン/円を筆頭に、欧州通貨のクロス円の反落が続くかどうか――ここが今週の最大のチェックポイントです。
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今月も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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