FOMCは据え置き。利上げ織り込みの剥落で米ドル/円は下押しも、ユーロ/円が年初来高値に迫る
みなさん、こんにちは。
米ドル/円は一時163.99円まで上昇し、1986年以来、約40年ぶりの高値圏で越週しました。
今週(7月27日~)は日本時間7月30日(木)未明のFOMC(米連邦公開市場委員会)、そして本稿執筆時点で翌日に迫った日銀会合(日銀金融政策決定会合)と、日米の金融政策が集中する一週間です。
今のところ、米ドル/円のロングをキープしたまま、目先165円、年内170円というターゲットを変えていません。ヘッジファンド勢も、おおむね強気スタンスを維持しているとみています。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
まずはFOMCの結果を見ていきましょう。7月のFOMCは、FF金利の誘導目標を3.50〜3.75%に据え置きました。
市場はOIS(翌日物金利スワップ)で3割程度の利上げ確率を織り込んでいたため、発表直後は織り込みの剥落による米ドル売りが入り、米ドル/円は163円台前半まで押し込まれています。
ただし、これを「円高への転換」と捉えるのは早計でしょう。
ウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長は会見で、あらためてインフレ抑制を最優先する姿勢を鮮明にしました。
フォワードガイダンスを示さないスタンスは今回も変わりませんでしたが、原油高がインフレ再燃リスクとしてくすぶるなか、9月会合での利上げ観測はむしろ維持されています。
つまり、FOMCは「据え置きだがタカ派」という結果となり、ヘッジファンドが米ドル/円のロングを手仕舞う理由にはなっていないようです。
その象徴的な動きとなったのが、FOMC後のユーロ/円でした。一時187.47円と4月17日(金)の年初来高値187.95円に迫ったのです。
FOMCの結果を受けて米ドル買いが一服する局面でも、米ドル以外の通貨に対する円売りは止まりませんでした。
これは、足元の円安が「米ドル高」だけでなく「円の弱さ」によって支えられていることを示しています。

(出所:TradingView)
米ドル単体の材料で米ドル/円が調整しても、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を通じた円売りフローが下値を支える構図は変わっていません。
この構図が続く限り、米ドル/円の押し目は買い場になりやすいと考えています。
日銀会合は「据え置き+物価見通し下方修正」が本線。悪い金利上昇と原油高、新NISAが円売りの構造として積み上がっている
本稿執筆時点で結果は出ていませんが、日銀は6月会合で政策金利を1.00%まで引き上げたばかりであり、今回は据え置きが本線とみるのが妥当でしょう。
市場の関心は、むしろ展望レポートと植田総裁の記者会見に移っています。
展望レポートでは、2026年度を中心に実質成長率が上方修正される一方、物価上昇率は下方修正される公算が大きい。
前回4月のように物価見通しの上振れが追加利上げを後押しした構図とは、逆方向の修正になります。
追加利上げの時期は10月あるいは12月とみる向きが多く、「日銀が円高を能動的に演出する材料は乏しい」というのが、いまのヘッジファンドの読みです。
より本質的なのは、円安を支える構造要因が積み上がっている点です。
1つ目は、超長期ゾーンを中心とした日本国債利回りの上昇です。これは景気の強さを映す「よい金利上昇」ではなく、財政持続性への懸念を映す「悪い金利上昇」の色彩が濃い。
年末の長期金利見通しは2.4%台から3%超まで見方が分かれており、金利が上がっても円が買われず、むしろ日本国債と円が同時に売られる芽が残っています。
2つ目は、中東情勢の緊迫に伴う原油高と、それによる交易条件の悪化です。
トランプ米大統領がイランへの「強力な打撃」に言及するなど地政学リスクが再燃しており、資源をほぼ輸入に頼る日本経済にとっては、円安要因となりやすい構造的な逆風です。
3つ目は、新NISAを通じた継続的な外貨投資フローです。個人マネーの海外流出は、相場水準に関わらず淡々と円売りとして効いてきます。
米ドル/円は介入で突発的に急落しても、慌てず押し目を拾うスタンスを維持。200円を目指すユーロ/円にも注目
もちろん、一本調子の円安を許さない存在がいます。日本の金融当局です。
片山さつき財務相は「断固たる措置をとる」と円安を牽制していますが、いまのところ市場の反応は限定的です。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の国内投資後押しに関する発言で、一時的に円が買い戻される場面もありましたが、長くは続きませんでした。
ここで意識しておきたいのは、単独介入はファンダメンタルズの支援を伴わなければ持続的な効果を持ちにくい、という点です。これは今年のGW(ゴールデンウィーク)にかけて行われた大規模介入で、私たちがすでに確認したことです。
したがって、警戒すべきは介入による突発的な急落であって、トレンドの転換ではありません。ロングのポジションサイズを抑え、押し目では慌てず拾うというスイングの基本姿勢は変えません。
FOMCを据え置きで通過し、日銀も据え置きが本線となれば、日米金利差は拡大したままで、新たな円高材料に乏しい状況です。
クロス円を通じた円売りや、「悪い金利上昇」、原油高、新NISAによる資金流出といった構造要因が米ドル/円の下値を支え、引き続き上値を試す展開を見込みます。
加えて、200円を目指すユーロ/円の動向にも注目です。

(出所:TradingView)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。















![ヒロセ通商[LION FX]](/mwimgs/9/7/-/img_975127cf2c6be2ac1a68a003ef3669c022946.gif)








株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)