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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円が165円を突破するのは難しいとみる!
金利差で考えれば近年の円安の進行は異例で、正当化できない。日米が連携した為替介入は、効いてくるはず

2026年07月31日(金)14:50公開 (2026年07月31日(金)14:50更新)
陳満咲杜

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日米が連携した為替介入で米ドル売りに! 円安トレンドを修正できたかどうかは定かではないが、円売りに歯止めをかけたか

 昨日(2026年7月30日)未明、FOMC(米連邦公開市場委員会)を通過。FF金利誘導目標は市場予想どおり3.50~3.75%で据え置きとなったが、票決は9対3で、0.25%の利上げ票を投じた理事も3名いた。

 一部ではサプライズ利上げの予想があっただけに、据え置き結果を受けて米ドル全体は反落していた。

 FRB(米連邦準備制度理事会)は5会合連続で金利を据え置き、中東情勢を見極めたいところだろう。しかし、原油相場の波乱があり、3名の理事が利上げを主張したことが重視され、市場には「早ければ9月にも利上げあり」という観測もあった。ただし、それは今のところ米ドルの支えになっていないとうか、むしろ米ドル売りが加速した。

 何しろ、大胆不敵にも昨晩(7月30日)は日銀介入(米ドル売り・円買い)があった

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

 本日(7月31日)は日銀会合があり、金利据置と想定されるものの、日銀会合前直前の介入であり、かつ日米連携があったと報道されたところ、やはりインパクトが大きかった。米ドル/円は一時158円の節目割れまで売り込まれ、ドルインデックスも一時100の節目を割り込んだ。

ドルインデックス 4時間足
ドルインデックス 4時間足チャート

(出所:TradingView

 報道によると、今回の介入も日米連携で、政府・日銀が介入した直後、米当局のレートチェックがあったという。さらに、米財務長官は「円は過少評価」と発言し、援護射撃を行った。これをもって円安のトレンドを修正できるかどうかはまだ定かではないが、少なくとも円売りに歯止めをかけたことは間違いない。

市場が高市政権の財政規律軽視のリスクをすでに織り込んでいるなら、米ドル/円165円の大台突破は難しいとみる

 もっとも、高市政権が推進してきた政策の多くは、財政規律を損なう恐れがあると危惧されている。それを受けた円売りで、また投機筋が乗ってきたところも大きかった。今回の日米の連携も、円安阻止はもちろん、「財政規律を損なう」という懸念を払拭する狙いがあったのかもしれない。

 来年(2027年)に実施される予定の消費税減税案の財源が曖昧なまま敢行される場合は、国債の信用、また円の信用を棄損する恐れが大きい。しかし、それを含めて投機筋をはじめ、市場参加者の大半がすでに行動をもって織り込んでいるのでは、と思われる。換言すれば、それを含めて、165円の大台の突破はなかなか難しいかと推測される。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 日本当局の介入が「失敗する宿命にある」といった主張が多い。しかし、為替を決定するファンダメンタルズといえば、あくまで実質金利差であることを強調したい。言い換えれば、高市政権の政策リスクを織り込む形で、すでに金利差に反映されているなら、行きすぎた円安を正当化できない

164~165円に迫った米ドル/円の急伸は、歴史的に見ても「異例」な状態

 なにしろ、日米実質金利差からみれば、164~165円へ迫った米ドル/円の急伸自体がかなり異例だ。2010年代までは日米の名目金利からインフレ率を引いた実質金利に、米ドル/円は見事と言えるほど高い相関関係を示してきた。その関係が崩れてきたのが、2022年以降、すなわちインフレが高まったところからだと見なされるが、ここ数年はさらに「逆行」した。

 要するに、日米実質金利差の縮小につれ、米ドル高・円安はむしろ継続的に推進されてきた。特に2025年半ば以降、実質金利差は大きく縮小に転じ、一時1%を大きく下回ったにもかかわらず、米ドル/円は逆に大きく上昇した。歴史的に見ても「異例」な状態のほかあるまい

 このような「異常」、あるいは「異例」が過去1年余り強まってきたから、「高市円安」と言える。何しろ、2025年10月に高市政権が誕生して以来、円安は一段と加速してきたからだ。前述のように、マーケットは十分、円安のリスクを織り込んでいたと推測される。

高市政権の政策リスクを十分織り込んだ円安進行だったから、日米が連携した為替介入は、結局効いてくるはず 

 そうなると、高市政権の政策の見直しなしでは、介入があっても円安を阻止できない、といった考えが多いのも理解できる。

 しかし、目先まではその兆しは見えない。「骨太方針」といい、「消費税減税」と言い、高市政権は財政規律軽視ともいえる政策の推進に腐心している。

 それでも円安の一服がすでにみられ、また介入が結局効いてくると筆者が考えるのは、ほかならぬ、株安と高市政権の支持率低下、という二大要素が浮上してきたからだ。

 言ってみれば、高市政権を支えてきた二大要素がともに崩れており、市場は高市退陣までは想定していないとしても、政策の推進がうまく行かないと読んでいるかもしれない。

 いずれにしても、筆者は以下の2点を強調したい。

 まず、日米実質金利差からみる円安の進行は、かなり「異例」だったので、正当化できない。

 次に、高市政権の政策リスクを十分織り込んだ上の円安進行だったから、当局の「三度目の正直」(介入)が結局効いてくるはずだ。

 それこそ相場の宿命である。筆者はサイクル論の視点をもって今年(2026年)にて米ドル高終焉の可能性を繰り返し指摘してきたから、いわゆる相場の構造論に沿った形で日米が連携した介入が効きやすいというか、効かないほうがおかしいと思う。巷では高市政権の政策にばかり気に取られていて、大局観が失われやすい。だからこそ、今一度、冷静に考えるべきだと思う。

 ちなみにテクニカル上は、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を含め、円相場における底打ちのサインが多数点灯している。そのあたりの検証はまた次回、市況はいかに。

午前10:30 執筆

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