■為替市場は米雇用統計後もトレンドレスを継続中
為替市場は小康状態を保っている。前回コラムの指摘どおり、米ドル/円の保ち合いは続き、先週末(10月2日)の米雇用統計後もトレンドレスの状況を維持している。
【参考記事】
●日銀追加緩和観測がドル/円下支え。ブラックスワンは忘れたころに中国からやってくる!?
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先週末(10月2日)の米雇用統計は、市場コンセンサスに比べ、かなり弱い数字となったが、米ドル/円は「行って来い」となり、前回のコラムで記した「今晩(10月2日)の米雇用統計に基づく判断および取引は、リスクが高い」という予想が証左された。
何しろ、同日は一時、118.68円の安値を打診したものの、終値は119.82円まで買われた。安値追いのショート筋を踏み上げる動きだったと思う。
(出所:米国FXCM)
米雇用統計の悪化は間違いなく米利上げ時期の後ずれ観測につながったが、その観測が米国株のリバウンドを支え、リスクオフの一服ムードが一段と高まった点は大きかった。
したがって、先週末(10月2日)の米ドル/円の「行って来い」は株式市場動向と連動した側面が大きかったと言える。米国株も日経平均も急速にリバウンドを展開してきたので、その前の急落が大きかった分、反騰もそれなりに大きくみえる。
(出所:米国FXCM)
■やはり、本当のブラックスワンはまだこれから
もっとも、前回のコラムで強調したように、VW(フォルクスワーゲン)にしても、グレンコアにしても、ブラックスワン的な危機を引き起す存在ではないから、市場関係者が警戒していたほどマーケットにもたらす混乱は大きくなかった。
【参考記事】
●日銀追加緩和観測がドル/円下支え。ブラックスワンは忘れたころに中国からやってくる!?
実際、月曜(10月5日)には、香港市場にてグレンコア株が一時72%の大幅高を記録。同社株の反騰をもってリスクオフの一服が示唆され、その後、欧米株を中心に、世界の株式市場の反発が加速した経緯があった。要するに、本当のブラックスワンはまだこれからということだ。
となると、目先、株式市場は大きく反騰してきたが、従来のブル(上昇)トレンドへ復帰するにはほど遠く、あくまで先の急落に対する修正と位置づけることが大事であろう。
値動きが材料に先行するなら、ブラックスワンが出現する前に、株式市場が危機を予見した形で値動きを形成していくので、ブルトレンドに復帰するわけにはいかない。
同じ見方が、米ドル/円にも…
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