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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円の160円超え+急騰は、GWの薄商いもあり介入警戒! ただ、中長期で絶好の買いチャンス。UAEのOPEC脱退でも原油は高止まり、円安の構造は介入で変わらない

2026年04月30日(木)13:11公開 (2026年04月30日(木)13:11更新)
西原宏一

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UAEがOPEC脱退でも、原油は下落シナリオにならず、高値圏で乱高下が継続しそうなワケは?

 みなさん、こんにちは。

 今週(4月27日~)のマーケットは、波乱の幕開けとなりました。

 4月28日(火)、ブルームバーグなど主要メディアが「UAE(アラブ首長国連邦)が5月1日(金)付でOPEC(石油輸出国機構)およびOPECプラス(※)の枠組みから脱退する」と一斉に報じました。

(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPECにOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)

 UAEはサウジアラビア、イランに次ぐOPEC第3の産油国であり、2027年までに生産能力を日量500万バレルまで引き上げる目標を掲げていると伝えられています。

 UAEのような生産大国の離脱は前例のないことで、欧米メディアは「1960年の結成以来、最大の打撃」と報じています。

 UAEはOPEC内でサウジアラビアとイランを取り持つ調整役を担ってきた経緯もあり、その不在は産油国間の協調体制を一気に弱体化させます。

 このニュースを受け、マーケットの一部参加者は「UAEの脱退で増産が加速する→原油価格は下落する」というシナリオを描き始めています。

 OPEC加盟国による原油価格支配にかねて不満を表明してきたトランプ米大統領にとって、UAEの脱退は「追い風」と捉える向きもあります。

 しかし、私はこの「原油下落」シナリオには否定的です。理由は2つあります。

 ひとつ目は、UAEの増産にはなお時間を要すること。生産能力を日量500万バレルまで引き上げる目標は2027年とされており、需給を一気に緩める規模の供給増にはつながりにくい。

 そしてふたつ目、こちらが本質的な理由ですが、現在の原油価格を支配しているのは「需給」ではなく「地政学リスク」だという点です。

 イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖は続いており、米イラン交渉は4月24日(金)の再協議も見送られて膠着したまま。北海ブレント先物は1バレル=100ドル超で推移しています。

 OPEC内でこれまで価格安定化の調整役を担ってきたUAEが脱退することで、産油国間の協調体制はむしろ弱体化します。

 つまり、UAE脱退による「将来の増産期待」と、ホルムズ海峡封鎖による「足元の供給混乱懸念」が綱引きする構図となり、原油は高値圏で大きく乱高下する可能性が高い

 中東原油依存度94%、しかもその9割超がホルムズ海峡経由という構造を抱える日本にとって、原油の高止まりは貿易赤字を構造的に拡大させる要因です。

 結果として、ユーロ/円を中心としたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)での円安基調は継続しそうです。

 ユーロ/円は短期的には188円がやや重いものの、脱米ドル化の流れの中でユーロ/米ドルが底堅く推移していることもあり、中期的には190円超えを目指す展開が変わらないと見ています。

ユーロ/円 週足
ユーロ/円 週足チャート

(出所:TradingView(トレーディングビュー))

米ドル/円は160円超え+急騰で介入警戒! 実弾が入れば短期でショートもいいが、中長期で絶好の米ドル買いチャンス

 そして、注目すべきは米ドル/円の動きです。

 4月29日(水)のNY時間、FOMC(米連邦公開市場委員会)通過後に米ドル/円は2024年7月以来の高値となる160.47円まで上昇し、年初来高値を更新しました。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 日銀は4月28日(火)の金融政策決定会合で、政策金利の据え置きを決定。植田和男総裁は利上げ時期について明確なシグナルを示さず、市場は失望感から円売りに傾きました。

 片山さつき財務相、三村淳財務官からは連日のように「断固とした措置」「投機的な動きへの警戒」という発言が繰り返され、本邦当局のけん制は段階的にエスカレート。今年(2026年)1月にはNY連銀によるレートチェックも実施されています。

 そしていよいよ、その実弾投入が現実味を帯びてきました。私の見立てでは、米ドル/円が160円を超えた水準で、短期的にボラティリティが急上昇し、急騰する局面が訪れた場合、実弾介入が入る公算が極めて高い

 GW(ゴールデンウィーク)の薄商いを狙った投機筋の仕掛けが入りやすいタイミングであることも、当局にとっては逆に介入を実施しやすい環境と言えます。

 ここで重要なのは、実弾介入が入った場合の対応の仕方です。

 実弾介入が入った瞬間は、短期的には素直に米ドル/円ショート(円ロング)でフローについて行く戦略も有効です。当局が連日のように警告していた介入ですので、介入直後は米ドル/円急落でも取りに行けるかもしれません。

 ただし、中長期で見れば、介入は円安トレンドの転換ポイントにはなりません。理由はシンプルで、現在の円安の本質は投機ではなく、ファンダメンタルズにあるからです。

 中東原油依存度94%、その9割超がホルムズ海峡経由という日本の構造的脆弱性、貿易赤字の拡大、日米金利差の維持、そして高市政権下での「責任ある積極財政」——これらすべてが円安方向に作用する構造的要因です。

 過去の介入経験を振り返っても、ファンダメンタルズが変わらない限り、介入効果は一時的なものにとどまってきました。

 つまり、実弾介入で米ドル/円が下押しする局面は、米ドルを買い遅れた参加者にとって絶好の中長期エントリーポイントとなるわけです。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 GW中の薄商いと、UAEの5月1日(金)OPEC脱退正式発効、そして原油市場のヘッドラインに警戒しつつ、「実弾介入は円安トレンドの終わりではなく、米ドル買い遅れ組への最後のチャンス」という視点でマーケットに対応したいところです。


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