(「ザイFX!で2015年を振り返ろう(3) GMOとDMMの取引高争いに老舗が迫る!?」からつづく)
さて、ここからは2015年にFX業界に登場した新サービスや新商品などに焦点を当てて、紹介していきたいと思います。
トラリピ包囲網は、2015年も拡大! あの会社でも…
まず注目したいのは、2014年に拡大したトラリピ包囲網に関する続報です。
【参考記事】
●ザイFX!で2014年を振り返ろう!(4)【業界:中編】トラリピ包囲網が拡大中!?
「トラップリピート・イフダン(通称:トラリピ)」は、 マネースクウェア・ジャパン「M2JFX」独自の発注機能(特許取得済み)。等間隔に複数本仕掛けたイフダン注文が自動で繰り返されることにより、想定レンジをはみ出さない限り、トレードを続けることができる半自動売買的なサービスです。
トラリピが登場したのは2007年ですので、もうずいぶん前なのですが、2013年中盤~2014年中盤ぐらいまでの期間、史上最低レベルのボラティリティとなるレンジ相場が続いたからなのか、2014年以降、各社が相次いでトラリピと似ている発注機能(リピート系発注機能)をリリースし始めたのです。
リピート系発注機能は、2015年に入ってからもいくつか登場。たとえば、マネーパートナーズからリリースされた「連続予約注文」もその1つです。
これは、イフダン注文またはIFDONE + OCO(イフダン・オーシーオー)注文を1セットとして、連続する注文を最大20件まで、手動で予約できるというもの。トラリピと異なり、自動で注文が繰り返されるというものではありませんが、発想的には似ていますね。
マネーパートナーズと同じように手動で連続した注文が出せる機能は、外為どっとコムからもリリースされました。名称は、「連続注文機能」。こちらもお伝えしたとおり、自動で注文が繰り返される機能ではないものの、やっぱり、発想的にはトラリピと似ている気がします。
【参考記事】
●トラリピにやや似ている連続予約注文がたった30円で取引できる件について
●外為どっとコムが「連続注文機能」を追加。トレードは“点”じゃなく、“面”でとらえる!
M2Jが外為オンラインを特許侵害で訴えた!
また、2014年に外為オンラインからリリースされたリピート系発注機能「iサイクル注文」は、ライセンス供与によって外為オンラインから数社に提供されており、2015年初頭にはグループ会社であるライブスター証券「ライブスターFX」でも「iサイクル注文」が利用できるようになりました。
【参考記事】
●「iサイクル注文」がまた登場! 5000円と月100万円稼ぐFX本がもらえるチャンスも
ただ、2015年2月には、マネースクウェア・ジャパンの持ち株会社、マネースクウェアHDが「iサイクル注文」の提供元である外為オンラインを特許侵害で東京地裁へ提訴するという事件が発生…。
2015年12月現在、目下係争中の模様です。
【参考記事】
●マネースクウェアが外為オンラインを提訴!FX業界に波紋! 特許は侵害されたのか!?
外為オンライン側は、今のところ提訴を受けて「iサイクル注文」を引っ込めるといった様子はなく、むしろこちらも特許出願済み(2015年12月現在、まだ受理はされていないらしい)。
さらに、2015年10月に外為オンラインが取扱いを開始した取引所FX・くりっく365でも「iサイクル注文」の利用が可能です(11月にリリースされたくりっく365ラージでも利用可能)。
係争中のサービスが、公的な取引所FXで利用できるというのも微妙な感じがしますが…。現状、ちゃんと使えます。
【参考記事】
●外為オンラインが新規参入! 係争中の注文機能が公的取引所で使えるミステリー?
もし、マネースクウェア・ジャパンの主張どおり、特許侵害が認められれば、他社で提供されているリピート系発注機能にも、少なからず影響がありそうな気がしますが、どうなのでしょうか…。
この裁判がどんな決着を見せるのか? また、今後さらにリピート系発注機能を導入するFX会社が増えていくのか? 引き続き、注目したいと思います。
【参考コンテンツ】
●システムトレード(シストレ)口座を徹底比較!:(4)リピート系発注機能【トラリピなど】
勝ちトレーダーに乗っかって儲けられる日本初のサービス
次に、2015年にFX業界に登場したサービスとして、押さえておきたいのが、YJFX!「外貨ex」関連の新サービスとして登場した「トレードコレクター(通称:トレコレ)」です。
これは、ひとことでお伝えすると、YJFX!「外貨ex」の通常のFX取引で実際に勝って利益を上げているトレーダーの手法に乗っかって、いっしょに儲けちゃいましょうというサービス。
もう少し具体的には、YJFX!「外貨ex」で情報を公開しているカードクリエイター(YJFX!「外貨ex」で取引している実際のトレーダー)の取引情報をもとにYJFX!で売買シグナルが作成され、トレコレの利用者(プレイヤーと呼ぶ)は、作成されたシグナルを元に自動売買ができるというものです。
こう聞くと、売買ストラテジーを選ぶだけで自動売買ができるミラートレーダーなどを思い出す方がいらっしゃるかもしれませんが、トレコレの最大の特徴は、売買シグナルの元となるものが、ワンクッションあるものの基本的にはカードクリエイター、つまり生身のリアルトレーダーそのものであるという点。
これは、今までにない日本初のサービスです。
【参考記事】
●スゴ腕トレーダーの取引がマネできる! YJFX!の新サービス「トレードコレクター」
●急げ!コレクションもカード運用も早い者勝ち!? トレードコレクターでプチ凄腕トレーダーに
トレコレは、カードゲームみたいな要領で使うことができますので、はじめての方でも取っつきやすいのではないでしょうか?
なお、カードクリエイターの中には、先日、ザイFX!が取材した時点で資産7600万円超だったスゴ腕トレーダー、Icchan3(イッチャンサン)などもいたりします。
Icchan3は、YJFX!「外貨ex」で取引しており、人気カードクリエイターでもあるそう! たしかに、資産7600円超のカードクリエイターなら、大人気でしょう…。詳しくは、以下の【参考記事】をご覧くださいね。
【参考記事】
●資産7600万円超で某掲示板でも話題沸騰!爆益トレーダーの損切りしない手法とは?
日本初のサービス、トレコレ。2016年はいったいどんな進化を遂げるのか? Icchan3のようなスゴ腕トレーダーが、続々とカードクリエイターに登録してくれるとさらに盛り上がりそうですね。
形状分析ができる相場予測ツールが続々登場!
このほか、2015年上半期には、ヒロセ通商の「さきよみLIONチャート」やJFXの「未来予測チャート」、岡三オンライン証券の「先読みチャート」、ひまわり証券の「さきどりテクニカル」など、似たような相場予測ツールが続々と導入されたのも印象的でした。
岡三オンライン証券については、開発元がCentillion Fintech 株式会社(センティリオン・フィンテック)であることが、同社のウェブサイトに記載されており、100%の確証はないものの、他社のツールについても開発元は同じなのではないかと推察されます。
【参考記事】
●未来のチャートを予測できるツール登場! 今だけ増額! 1万4000円がもらえるぞ!
●未来予測チャートで米ドル/円相場を予測! 最大1億4000万とび1万5000円がもらえる
過去にリリースされた外為どっとコムの「ぴたんこテクニカル」やセントラル短資FXの「みらいチャート」、FXプライムbyGMOの「ぱっと見テクニカル」もインターフェースや機能がよく似ており、調べてみると、やはり開発元は同じCentillion Fintech 株式会社のようでした。
各社、見た目や細部の機能に違いはありますが、このツールの主な機能は、チャートの形状分析と複数のテクニカル指標でリアルタイムに売買シグナルを表示してくれるというもの。
参考までに、ここでは外為どっとコムの「ぴたんこテクニカル」の画像を紹介しましょう。
ご覧のとおり、見た目もシンプルでわかりやすいので、まだチャート分析に自信が持てないという初心者の方などには、とても使いやすいツールではないでしょうか?
ザイFX!で「ぱっと見テクニカル」のお試し版が使える
2015年11月中旬には、インヴァスト証券が同種のサービスである「らくらくテクニカル」の提供を終了したものの、結構多くのFX会社で導入されているこの相場予測ツール。
以下は、開発元が明かされていないもの含め、同系統のツールが導入されているFX会社を一覧にしたものです。お試し版が用意されていることも多いので、興味のある方は、各社のウェブサイトで詳細を確認してみてください。
ちなみに、ザイFX!でも、FXプライムbyGMOの「ぱっと見テクニカル」のお試し版が使えますので、あわせてチェックしてくださいね。
【参考コンテンツ】
●「ぱっと見テクニカル」の形状比較分析
損失が限定される「オフセット注文」はオプション取引だった
さて、ここからは通常のFXではなく、「オプション取引」にまつわる商品について見ていきたいと思います。
先ほどリピート系発注機能「iサイクル注文」の提供元として紹介した外為オンラインは、2015年、もう1つ特徴的なサービスの提供を再開しています。それは「オフセット注文」というもの。
2013年9月にリリースされたものの、12月には休止となったこの注文は、2015年6月、基本ルールはそのままの状態でおよそ1年半ぶりに再開されました。
【参考記事】
●大損してもFX会社が損失を支払ってくれるあのサービスが1年半ぶりに再登場!
もともとオフセット注文は、自分が保有したポジションと相場が反対に動いても、損失が最初に支払った「手数料」に限定される注文方法として世に出ましたが、サービス再開後、「手数料」は「オプション料」という名に変わり、商品のジャンル自体も「店頭為替証拠金取引」(店頭FX)から「通貨オプション取引」に改められています。
確かに、オフセット注文の内容を知れば知るほど、通常のFXの注文方法の1つというよりも、オプション関連商品の1つという方がしっくりくる感じがします。
どんなに為替が動いても、最大損失はオプション料だけ! リスクが限定される商品ですので、いつもとちょっと違う取引を試してみたい、という方にはおもしろいサービスかもしれません。
【参考記事】では、オフセット注文の概要から取引方法まで詳しく紹介していますので、ぜひ、チェックしてくださいね。
【参考記事】
●大損してもFX会社が損失を支払ってくれるあのサービスが1年半ぶりに再登場!
YJFX!から出た「レンジオプション」は貴重!
「オプション」と言えば、バイナリーオプション(バイナリー)も忘れてはいけません。
2013年に新規制が施行され、取引回数などに制限がかかったことで、人気が後退気味だったバイナリーですが、2014年夏頃には、為替マーケットでレンジ相場が続き、ボラティリティが低下したことを受けて一時的にブームが再燃する場面がありましたね。
【参考記事】
●ザイFX!で2014年を振り返ろう!(3)【業界:前編】BO再燃と熱いスプレッド競争
2015年は、2014年に比べるとマーケットも活況な状態が続き、そこまでバイナリーに注目が集まる状況ではなかったものの、10月にYJFX!の【オプトレ!】から貴重な「レンジオプション」がリリースされた際は、ザイFX!でも見過ごせないニュースとして取り上げました。
【参考記事】
●超貴重な「レンジオプション」が新登場! ラダーとレンジを同時購入する裏技とは?
もっとも一般的なバイナリーは、「ラダーオプション」と呼ばれるもので、判定時のレートが目標レートよりも上(ハイ)か下(ロー)かを予想するもの。
これに対して、YJFX!の【オプトレ!】からリリースされた「レンジオプション」は、判定時の為替レートが、目標レンジの内(イン)か外(アウト)かを予想するもので、トレンドがないレンジ相場でも利益を狙いやすいタイプのオプションです。
取り扱っているFX会社が現状わずか2社だけ…
「貴重」とお伝えしている理由は、ずばり取り扱っているFX会社が少ないから。
2015年12月25日(金)現在、国内FX会社で取り扱っているのは、紹介したYJFX!の【オプトレ!】とFXトレード・フィナンシャルの【FXTFバイナリー・トレード】(愛称:バイトレ)の2社だけです(※)。
(※為替ではなく、日本225(日経平均)を対象としたバイナリーオプションの「レンジオプション」ならば、IG証券が取り扱っている)
2014年にバイナリーブームが再燃した頃には、GMOクリック証券の【外為オプション】でレンジオプションが提供されており、ユーザーにも人気がありましたが、残念なことにその後、取扱いがなくなってしまいました。
2015年12月に入り、トレイダーズ証券が12月26日(土)に「みんなのオプション」という新サービスをリリースし、その際、レンジオプションを導入すると発表しましたが、仮にトレイダーズ証券でレンジオプションが導入されても取扱い会社は、既存の2社に1社加わって3社のみ…。レンジオプションが「貴重」だという理由が、おわかりいただけると思います。
レンジ相場に入ってしまい、通常のFXで利益を上げづらい時、レンジオプションに切り替えてマーケットとつき合っていくのも悪くはないのではないでしょうか? YJFX!の【オプトレ!】は、取引画面もかなり使いやすいので、まだ使ったことがないという方は一見の価値ありです。
なお、バイナリーに関して詳しく知りたい、取り扱っているFX会社を調べたいという方は、以下をチェックしてくださいね。
【各社バイナリーオプションの最新スペックはこちらでチェック!】
●人気のバイナリーオプションを徹底比較!最短1分前まで購入できる商品も登場!
(「ザイFX!で2015年を振り返ろう(5) くりっく365への上場でトルコリラ戦争勃発!」へつづく)
(ザイFX!編集部・向井友代)
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