■スイングステートでトランプ氏勝利。当選を確実なものに…
そんな中で迎えた、11月8日(火)の米大統領選挙当日。投開票が進む中、注目は民主党と共和党の支持者が拮抗する、「スイングステート」と呼ばれる州をどちらが勝利するかだった。
【参考記事】
●ソニーFHDの尾河眞樹さんに聞く(1) 米大統領選挙、トランプ大逆転の可能性は?
結果、トランプ氏がオハイオやフロリダ、さらにノースカロライナなどのスイングステートで勝利し、確実に足場を固めていった。
【参考記事】
●激戦州のオハイオなどでトランプ氏勝利! ドル/円は101円台、日経平均は900円超安
そうした中、NYタイムズがトランプ氏の当選確率を95%と報じるなど、一気にトランプ氏当選の機運が高まる情勢となり、最後はウィスコンシン州でトランプ氏が勝つと、トランプ氏の選挙人獲得数は過半数の270以上となって、ついに当選を決めたというわけだった。
なお、最終的な選挙人獲得人数と得票数は以下のとおり。実は、得票数ではヒラリー氏がトランプ氏を200万票以上も上回っていたのだが、米大統領選挙では獲得した選挙人の数で米大統領を決定するので、トランプ氏に軍配が上がったというわけだ。
【参考記事】
●米大統領選挙は予想外のトランプ氏勝利! リスクオフで米ドル/円急落も意外な動き…
●トランプ勝利で狼狽は禁物! イエレンはお払い箱! バラマキ政策で景気は良くなる(11月9日、広瀬隆雄)
■「トランプ・ショック」はどこに? 強烈なリスクオン相場到来
米大統領選挙の投開票が進む中、両候補が各州で勝利したと報じるニュースが流れるたびに、為替相場をはじめ、金融市場は乱高下。
そのうち、トランプ氏優勢ムードが高まると、米ドル/円は105円台半ばから101円台半ばまで大きく下落した。
「トランプ氏当選なら、『トランプ・ショック』でリスクオフ」という市場関係者の声が多かったので、ここまでは想定どおりの動き。
だがしかし、トランプ氏の当選が確実になるにつれて、意外にもリスクオフの流れは弱まり、米ドル/円は101円台で踏みとどまる展開となった。
それどころか、トランプ氏の当選が確定し、勝利宣言の演説をしたあたりから市場はリスクオンに転換。米国債は継続的に売られ、米長期金利はグングン上昇。
これはトランプ新政権の発足による経済成長加速、それによるインフレ期待上昇といった面が材料視されているもののようだ。
【参考記事】
●米長期金利上昇の背景に国債の投売り! 米ドル/円が、著しく上昇したのはなぜ?(12月8日、今井雅人)
(出所:Bloomberg)
また、強烈なリスクオン相場の中、米国株も上昇し、NYダウは史上最高値を更新し続けている。
(出所:Bloomberg)
そして米ドル/円は一時、116円台前半まで上昇。米大統領選挙でのトランプ氏当選から1カ月ほどで、およそ14円も急騰した。
【参考記事】
●レーガノミクス再来か。トランプ次期大統領のトランポノミクスのもと、ドル/円は109円へ(11月10日、西原宏一氏)
●トランプ大統領誕生で暴落後に株高・円安へ! だが、トレンドを作ると考えるのは早計!?(11月10日、今井雅人)
●トランプ・ラリーは米利上げまで!? ドル/円のターゲットは120円より110円が現実的!(12月2日、陳満咲杜)
●利上げ織り込み度100%のFOMC前後は調整売りに警戒! 米ドル/円はどう動く?(12月12日、西原宏一&大橋ひろこ)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
また、米ドル/円が上昇、米国株が上昇という流れの中で、当然のように、日経平均も1万9000円台まで大きく上昇。年初につけた今年(2016年)の高値を上抜ける相場となった。
(出所:株マップ.com)
トランプ氏は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からは離脱し、NAFTA(北米自由貿易協定)は見直すと明言するなど、保護主義のイメージが強く、米ドル安志向では…との見方があったし、今も根強くあるが、相場は今のところ、そちらの材料は無視し、トランプ氏による大規模減税、財政支出拡大といったポジティブな面ばかり見ているようだ。
このように、トランプ氏当選、その後の強烈なリスクオン相場と…
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)