■不確定要素がありすぎて決め打ちは無理
さて、ここにきて、今度は市場の中では米ドル/円は111.00円を抜けると、一気に上昇トレンドに入るという予測が出てきています。つい1週間ほど前は下に抜けたと言っていたのが、まるで逆の予想が出てきています。いい加減なものだと、つくづく感じます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
正直言って不確定要素がありすぎるため、方向性を決め打ちするには無理があります。
まず、足元では本日、9月14日(木)に発表される、米国の8月CPI(消費者物価指数)に注目です。
食品とエネルギーを除いたコアのCPIは前年同月比で+1.6%程度と予想されていますが、その結果次第で、ここ数日上がり続けてきた米国の長期金利がさらに上昇するか、頭打ちになるかが決まってきます。
(出所:Bloomberg)
そして、弱体化したトランプ米大統領が議会で税制改革を通せるかどうかも、まったく不透明です。
個人的には、議会を通過させることは容易ではなく、また揉めて、マーケットを失望させるのではないかと心配しています。
【参考記事】
●トランプ大統領への不信感でドル買えず…。割り切ってレンジディールに徹するべき!(8月24日、今井雅人)
●ドルは当面低空飛行!? 投資家が米ドルを買えない一番の原因はトランプ大統領だ!(8月17日、今井雅人)
●さらなる米ドル全面安に懐疑的な2つの理由とは? でも、逆張りの米ドル買いも危険(9月8日、陳満咲杜)
■北朝鮮の態度先鋭化で円高リスクは残存
最後は、何といっても北朝鮮情勢です。
先日、国連は北朝鮮に対する追加の制裁措置を全会一致で決定しました。石油の禁輸や金委員長個人の資産凍結は見送られ、妥協の産物とはなったものの、北朝鮮側としては、黙っているわけにはいきません。
朝鮮中央通信は「日本列島は核爆弾により海に沈められなければならない。日本はもはやわが国の近くに存在する必要はない」とする北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会による報道官声明を伝えました。
ブラフであることは明白ですが、北朝鮮の態度が段々と先鋭化してきているのも事実です。いつ、また北朝鮮が何らかの行動を起こすとも限りません。円高リスクは十分に残っています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界に通貨VS円 日足)
【参考記事】
●米ドル/円にはまだ下値トライの可能性あり。英ポンド/円チャートに出た上昇サインとは?(9月12日、バカラ村)
こういう環境にあるときは、ポジションをいったん手仕舞いして、何か事態が動いたときに対応するという姿勢のほうが上手くいくと考えています。決め打ちは禁物であると思います。
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