■反発したけど勢い鈍いメキシコペソ。「壁」はどうなった?
最後は、新興国通貨の中から、動きのあったものを紹介したいと思います。
【参考記事】
●JPモルガン棚瀬氏に聞く新興国通貨(1) 「景気が良い=通貨上昇」とは限らない!
●JPモルガン棚瀬氏に聞く新興国通貨(2) 2017年のおすすめ新興国通貨はコレだ!
●2017年は新興国投資のチャンス到来!? 金利10%以上の通貨を取引できる会社は?
まず、トランプ大統領が昨年の大統領選の時から、メキシコとの国境に壁を作るとか、NAFTA(北米自由貿易協定)を見直すなんて発言をしていたため、大きく振り回されてきたメキシコペソです。
行き詰まっているNAFTA再交渉の行方は気がかりだし、さらにメキシコは金融引き締め局面が終わり、近い将来、利下げに転じる可能性が高いと言われていますが…。
メキシコペソ/円は米大統領選のあった2016年11月に過去最安値をつけると、2017年に入って上昇トレンドへ転換したような動きとなりましたが、後半はその勢いが失速してしまいました。
(出所:Bloomberg)
米ドル/メキシコペソもメキシコペソ/円と大体同じような動きで、今年の1月に米ドルに対する史上最安値をつけてから反転しましたが、半年ほどでメキシコペソ高は落ち着きました。
(出所:Bloomberg)
そういえば、つい最近、米国とメキシコの国境に建設する「壁」の試作品が発表されましたが、壁の建設予算はまだ確保できていません。どうなるんだろ…。
【参考記事】
●シティグループ証券・高島修さんに聞く(2) 利下げ濃厚なのになぜメキシコペソは買い?
■大暴落もあり、何かと注目されたトルコリラ/円
そして、忘れてはならないのが、高いスワップ金利(スワップポイント)で日本のFXユーザーからの人気も高い、トルコリラ/円です。
【参考記事】
●シティグループ証券・高島修さんに聞く(1) 高金利が魅力のトルコリラ、今は買い時?
トルコリラ/円は、1月にそれまでの史上最安値をつけたものの、週足チャート上で綺麗なダブルボトムを形成して、教科書的には相場が底を打ったような状態になりました。これで、長きにわたる下落局面が終わったと思ったのですが…。
教科書的に想定されたほどの反発は見られず、11月には再び、史上最安値を更新しました。
【参考記事】
●ダブルボトム下抜けで下落トレンド突入!? トルコリラ/円の売りスワップが低い口座は?
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 週足)
この間、10月には日本が祝日だった月曜早朝の時間を襲った大暴落もあり、何かと注目されたのがトルコリラ/円でしたね。
【参考記事】
●衝撃の13分間。崩れ落ちたトルコリラ/円の真相とは? 暴落の震源地は日本にあった!?のかも…(1)
●衝撃の13分間。崩れ落ちたトルコリラ/円の真相とは? 暴落の震源地は日本にあった!?のかも…(2)
ザイFX!で2017年を振り返ろう【相場編】として、ここまで2回にわたって2017年のマーケット動向を振り返ってきましたが、いかがだったでしょうか。
2015~2016年あたりは、「●●ショック」と呼ばれるような、市場の雰囲気が一瞬でガラリと変わる出来事が何かしらありましたが、2017年は振り返ってみると、主要通貨はそこそこ落ち着いた動きをしていたような印象もありました。
ただ、そんな中でも、北朝鮮の言動に振り回されたり、主要国でポピュリズムが台頭して既存の勢力が脅かされたりと、今後も気の抜けそうにないテーマが出現しました。
また、先進国の一部では、金融政策にも変化が見られるようになりました。これもまた、2018年の主要テーマの1つになりそうです。
次回からは、ザイFX!で2017年を振り返ろう【業界編】をお届けします。お楽しみに!
(「ザイFX!で2017年を振り返ろう!(3) トルコリラ/円スペック競争が激アツ!」へつづく)
(ザイFX!編集部・堀之内智)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)