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ザイFX!で2017年を振り返ろう!(4)
店頭FXだけ? 新レバレッジ規制の怪!

2017年12月22日(金)13:02公開 (2017年12月22日(金)13:02更新)
ザイFX!編集部

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「ザイFX!で2017年を振り返ろう!(3) トルコリラ/円スペック競争が激アツ!」からつづく)

レバレッジ10倍引き下げ報道の怪

 前回は、トルコリラ/円のスペック競争やキャンペーン、さらに新サービスなどを中心に紹介してきたが、今回はFX業界で起きたニュースについて紹介したい。

 はじめに紹介するのは、FXの新レバレッジ規制に関する話題だ。

 発端は2017年9月27日(水)、日本経済新聞の電子版が伝えた記事だった。

「FX証拠金倍率を引き下げ 10倍程度に、金融庁検討 リスク管理を懸念、最大25倍の規制見直し」

 現状ではFX(外国為替証拠金取引)のレバレッジ上限は25倍。これを10倍程度に引き下げようとの動きが起きているとのことだった。

 この日本経済新聞の報道を受けて、マネーパートナーズは記事の真偽を金融庁に確認し、発表した。

 マネーパートナーズグループのプレスリリースによると、金融庁からの回答は以下のとおり。

(1)証拠金倍率引き下げについては、個人投資家保護や金融機関が想定外の損失を被るリスク等の観点から様々な議論があるのは事実である。

(2)証拠金倍率の引き下げを行う場合は、業者や業界に働き掛けて意見を聞き、手順を踏んで行うものであり、金融庁が一方的に行うということはない。

 その後、さまざまなウワサが飛び交ったが、12月18日(金)に金融庁が『「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」の設置について』というリリースを発表した。

金融庁のリリース
金融庁のリリース

 このリリースにはレバレッジ規制という言葉は見当たらないのだが、金融庁が決済リスクについてさまざまな観点から検討を進めるとしており、その対象を「店頭外国為替証拠金取引(店頭FX取引)」としている。

 実際、金融庁のリリースが発表される前から、新レバレッジ規制の対象は店頭FXのみで、取引所取引のくりっく365は対象外との報道もあった…。

【参考記事】
衝撃の13分間。崩れ落ちたトルコリラ/円の真相とは? 暴落の震源地は日本にあった!? のかも…(2)

 ここで、くりっく365について簡単に紹介しておくと、くりっく365はFXの公設市場で、東京金融取引所が運営している。

 東京金融取引所は日本で唯一の金融先物取引所として、1989年に開設された東京金融先物取引所がその前身なのだが、その後、2004年に会員制法人から株式会社へ組織が変更され、2005年7月から、くりっく365の取引を開始した歴史を持っている。

【参考コンテンツ】
特集「くりっく365」はなんで安心なの?

 突然振って湧いた、店頭FXに対する新レバレッジ規制問題。金融庁からは有識者検討会を設置するというリリースが発表されただけなので、本当に店頭FXのレバレッジが10倍に引き下げられるのかはまだわからないが、FX業界、FXトレーダーにとって、これが2018年も超注目のテーマであることは間違いないだろう。

HTML5仕様の取引ツールが続々登場

 そして、今年(2017年)はFX会社で「HTML5」仕様の取引ツールが相次いでリリースされた。

【参考記事】
FX業界にも押し寄せる「HTML5」の波。もう「Java」絡みのトラブルとはオサラバだ!
世界初!ミラートレーダーのHTML5版最新取引システムを導入!スマホ対応も!
ザイFX!記者がヒロセ通商のチャートを徹底検証! 同じように見えても実は違う!

 「HTML」(HyperText Markup Language)とは、ウェブページを制作する際に用いられる言語のことで、現在、主流となっているのは「HTML4」。

 この「HTML4」では、「Silverlight」(※)などのプラグインをウェブブラウザに追加しないと、動画再生などをすることができない。

(編集部注:「Silverlight」とは、マイクロソフト社が開発したウェブブラウザ用のプラグインで、動画などを再生する際に使われる)

「Silverlight」

 現在は、2011年12月にリリースされた「Silverlight5」が提供されているが、マイクロソフト社は「Silverlight5」のサポートを2021年10月12日(火)で終了することを発表している。

 しかし、「HTML5」では、こうした「Silverlight5」のようなプラグインがなくても動画再生などに対応できるので、FX会社だけでなく、さまざまな分野において「HTML5」への移行が進んでいるというわけだ。

 こうした状況の中、ヒロセ通商が提供しているチャートシステムでは、「LIONチャート Plus」と「さきよみLIONチャート」が「HTML5」仕様となった。

ヒロセ通商チャート
ヒロセ通商チャート

(出所:ヒロセ通商

 ほかにも、セントラル短資FX「セントラルミラートレーダー」の取引ツールが「HTML5」仕様に刷新された。

「セントラルミラートレーダー」のHTML5版取引画面
「セントラルミラートレーダー」のHTML5版取引画面

 また、FXブロードネットライブスター証券が「HTML5」仕様の新取引ツールをリリースするなど、FX業界でも着々と移行が進んでいるようだ。

 FX各社による「HTML5」への仕様変更は、2018年も続きそうなので、ユーザーにとってもっと使いやすい取引ツールがリリースされるか、期待したいところだ。

FX会社にサイバー攻撃が襲いかかった

 次に、9月中旬以降、FX会社を相次いで襲った「サイバー攻撃」について紹介しよう。

【参考記事】
FX会社へのサイバー攻撃が頻発!(1) 「DDOS攻撃」でサービス停止状態に…!?
FX会社へのサイバー攻撃が頻発!(2) 緊急時に備え、口座は複数持っておきたい

 以下は、サイバー攻撃を受けたFX会社と、その被害状況をまとめた表だ。

サイバー攻撃

 こちらを見ると、マネーパートナーズ外為どっとコム、さらにヒロセ通商など、サイバー攻撃といった不測の事態を想定して万全の対策を取っていそうな主要FX会社も、被害を受けている。

 その被害内容は、FX会社の公式ウェブサイトや取引ツールにつながりにくくなるといったものが多かった。

 そして、今回、FX会社がもっとも被害を受けたサイバー攻撃が「DDOS攻撃」だ。

DDOS攻撃の例
DDOS攻撃の例

(出所:独立行政法人 情報処理推進機構の「情報セキュリティ10大脅威2017 組織編」)

 「DDOS攻撃」は「DOS攻撃」の進化版で、まず、多数の無関係なPCなどに不正に侵入し、それらを乗っ取り、それらのPCから標的となるサーバーに大量にアクセスすることで負荷を与えてダウンさせるという手法だ。

 この「DDOS攻撃」は、数あるサイバー攻撃の中でも、もっとも防ぐことが難しいと言われている。

 FX各社は対策を講じてはいるものの、すべてを防ぐのは至難の業。そういったときに備えて複数のFX会社に口座開設しておけば、リスクヘッジにもなるし、取引チャンスも逃さなくて済む。

 もし、まだメイン口座以外にFX口座を持っていない人は、この機会にサブ口座の口座開設を検討してみてはどうだろう。

【参考コンテンツ】
FX会社おすすめ比較:取引コストで比べる

マネースクウェア・ジャパンが11万件の顧客情報を漏えい

 サイバー攻撃といえば、リピート系発注機能、トラップリピートイフダン(通称トラリピ)でおなじみのFX会社、マネースクウェア・ジャパンの11万件にもおよぶ顧客情報の漏えいも記憶に新しいところだ。

 マネースクウェア・ジャパンが受けたサイバー攻撃の詳しい内容についてはわからないのだが、発表されたリリースによると、公式ウェブサイトが外部より不正なアクセスを受け、それによって顧客情報が漏えいしたとあった。

 詳しくは、以下の【参考記事】をご覧いただきたいが、この顧客情報漏えいによって、マネースクウェア・ジャパンは関東財務局から業務改善命令が出され、新規口座開設ができない状況が続いている。

【参考記事】
サイバー攻撃で11万件の顧客情報が流出。業務改善命令で新規口座開設も一時停止

マネースクウェア・ジャパンvs外為オンライン、裁判の判決は?

 さらに、マネースクウェア・ジャパンは、トラリピの特許を侵害したとして同業の外為オンラインを相手取り、複数の訴訟を起こしていたのだが、今年(2017年)に入り、その判決が下された。

 2017年2月10日(金)、7月20日(木)に東京地方裁判所から2つの訴訟でその判決が下されたのだが、その結果は外為オンラインの勝訴に…。

【参考記事】
どっちが勝訴? トラリピVSサイクル注文の特許権をめぐる地裁の裁判で判決が出た!
トラリピ裁判第2Rに決着。争われたのは戦略的に取得された特許だったのか?

 ところがこれで話は終わらなかった。この裁判の1つについて、マネースクウェア・ジャパンは知財高等裁判所に控訴していたのだが、12月21日(木)に、マネースクウェア・ジャパン勝訴の判決が言い渡され、外為オンラインが提供しているサイクル注文については差し止めが命じられたのだ(iサイクル注文は差し止めとならなかった)。

マネースクウェアジャパン勝訴

 その外為オンラインだが、このマネースクウェア・ジャパンの勝訴判決が言い渡される前、12月16日(土)に「サイクル注文」のサービス提供を終了させると、12月18日(月)より、新サービス「サイクル2取引」の提供を開始している

てるみくらぶ事件がFX業界でも起こり得る?

 そして最後に、FX業界とは離れるが、今年(2017年)話題になったニュースとして、旅行会社・てるみくらぶの破綻があった。

 これは旅行代金を支払ったのにも関わらず、ホテル代や航空券代を請求されるとか、そもそもホテルや航空券が取れていないという理不尽極まりない話…。

 結局、社長だった山田千賀子氏は虚偽の書類を提出して銀行からの融資金をだまし取ったとして詐欺罪で逮捕されたのだが、旅行申込者が支払ったとされる約99億円についてはそのほとんどが返金されないとされている。

 「FX業界の話題とは関係ないんじゃ……」なんて思われた人がいるかもしれないが、ザイFX!編集長の井口が金融業界で同じような破綻劇が起きた場合、投資家の資産はどうなるのかをテーマに記事を執筆している。

【参考記事】
振り込んだお金が消滅!? FX業界でも、てるみくらぶ事件は起こり得るのか?
信託保全の安全神話をぶち壊してくれた日本FX史上に燦然と輝くFX会社とは?

 記事では、過去にFX会社が破綻したケースを取り上げているほか、健全性を総合的に判断する上で見ておくと良さそうな材料をいくつかあげている。

 これからFXを始めようと思っていて、どのFX会社に口座開設したらいいか迷っている人は参考にしてみてはどうだろう。

「ザイFX!で2017年を振り返ろう!(5) バカラ村さんのメルマガとコラムが新登場!」へつづく)

(ザイFX!編集部・庄司正高)

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