■長期円高トレンドの「最終局面の最終局面の最終局面」!?
ザイFX!がオープンして10年。その間にあった金融市場の動きに話を戻すと、すでに述べた2008年9月のリーマン・ショック以降、米ドル/円は戻り局面などを挟みながらもジワジワと下落し、ついに2011年10月31日には75.30円(※)の安値を記録しました。
(※米ドル/円レートの最安値はFX会社やメディアによって微妙に異なる。75.30円という数字はサクソバンク証券のもの)
ただ、その日のうちに政府・日銀は大規模な為替介入を実施。米ドル/円はその日、4円以上も跳ね上がり、再び75.30円の安値を割り込むことはありませんでした。
【参考記事】
●オセアニア市場で一時75.32円まで下落! 空白の時間帯にドル/円が歴史的安値更新(2011年10月31日)
●政府・日銀が為替介入を実施! ドル/円は79円台近くまで3円以上も急上昇!(2011年10月31日)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
結果的に、この75.30円は戦後、米ドル/円が変動相場制となってからの最安値となったのです。
この少し前、ザイFX!では三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ・テクニカルアナリスト、宮田直彦氏に取材を行っていました。宮田氏はエリオット波動の専門家です。
この宮田氏取材記事シリーズは2011年10月5日に取材を行い、10月11日から10月17日にかけて4回に渡って公開しました。
【参考記事】
●宮田直彦氏に聞く(1) 為替相場は歴史的な大転換点を迎えている!(2011年10月11日)
●宮田直彦氏に聞く(3) 米ドル/円相場は「最終局面の最終局面の最終局面」にある(2011年10月15日)
●宮田直彦氏に聞く(4) 40年に渡る長期の米ドル安・円高局面がついに終わる!(2011年10月17日)
このとき、宮田氏は為替相場が歴史的な大転換点を迎えており、米ドル/円は長期円高トレンドの「最終局面の最終局面の最終局面」にあって、底打ちのタイミングはこの取材を行ったまさにその月、2011年10月が有力だと話していたのです。
米ドル/円の長期チャートはたしかに宮田氏が解説してくれたとおり、エリオット波動の教科書どおり、非常にきれいに動いているように思えました。エリオット波動はどこを何波と見るか、人によって解釈が違ってくることがありますが、このときの米ドル/円長期チャートに関する宮田氏の解説は非常に明瞭で、あいまいな点はあまりないように筆者には思えました。
宮田氏の解説を受け、筆者は記事中に以下のような表現をしていました。
これはつまり、米ドル/円が長期円高トレンドの「最終局面の最終局面の最終局面」にあるということなのだ!!
V波の(5)波のc波。
我々は今、「円高5波動」の最果ての地に立っている。
エリオット波動で見ると、米ドル/円は今まさに、とてつもなく重大な歴史的局面を迎えようとしていることがわかるだろう。
(出所:「宮田直彦氏に聞く(3) 米ドル/円相場は『最終局面の最終局面の最終局面』にある」)
こんな取材があったあと、米ドル/円は宮田氏が底打ちのタイミングだと話していた2011年10月の最後の日である31日に最安値を更新してから劇的な為替介入によって上昇、大底を打ったため、これらの出来事は筆者にとって、とても印象深いものになりました。
(出所:サクソバンク証券)
ちなみにこのシリーズ記事の4回目に出てきますが、宮田氏は「米ドル/円が2015~2016年に高値をつけ、その目標レートは124円台」だと、この2011年10月の段階で予想していました。
その後、米ドル/円が2015年6月に、125.86円という宮田氏の話していた目標レートにかなり近い高値をつけてから下落に転じたのはみなさんご承知のとおりです。
(出所:サクソバンク証券)
さて、大底を打っても本格上昇とまではいかなかった米ドル/円が…
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