昨日はアジア時間でもリスク回避が強まって、日経先物は21540円まで差し込んだ。そのままリスクオフの状態で海外市場につながってもおかしくはなかったのだが、中国の中銀総裁が助け船を出した格好となった。
最近の人民元安を評して、通貨安をアメリカとの貿易摩擦に利用しないと明言したのだ。それでマーケットは一応の落ち着きを取り戻し、中国株や日本株にもやや買い戻しが入った。人民元も値上がりの様相を示してくると、ドル円も再び111円台に乗せてきた。
海外市場でもリスク許容度の回復を受けて、欧州株は高い。そして祝日前の米国市場でもリスクテークが先行した。しかしフェイスブックが情報漏洩の問題でSECにも捜索されていると報じられ、材料がほかにもなかったこともあって、ハイテクセクターの値崩れが顕著となって、米国株は下げに転じた。
今度はリスク回避の直撃を受けて、ドル円は110円台のミドルまで後退。ドル円はそのまま安値圏で引けた。ちなみに昨日のニューヨーク市場では半日営業であった。
先日のドイツの総選挙以来、メルケル首相の指導力が落ちているように見える。確かに移民・難民問題では目先の解決と合意は図られたが、それはあくまでも政治的な妥協の産物である。本来のメルケル首相の主張とはまるで違う。
選挙結果が不利となって仕方なく大連立を組んでいるといっても、それも民主主義の結果である。メルケル首相のやり方がイヤだという選挙民が多かったことの表れだ。それが政策に反映されているのだから、ドイツの民主主義はワークしているともいえよう。
しかしドイツの政情不安定は、せっかく好調だとされてきたドイツ経済に悪影響を与える。それがユーロ安にもつながる。実際に多少の上下動は見られるにしても、ユーロドルが年初来の安値近辺に張り付いているのは事実だし、いつフレッシュ・ローを記録しても不思議ではない状態だ。
そうしたユーロの重さがユーロクロス、特にユーロ円やユーロポンドの重さの原因ともなっている。これからもいろいろな政策協議のなかでメルケル首相が意見を譲るような場面が増えてくるようだと、そこは再びユーロ売りとなろう。
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