■金価格と米ドルの連動性が続くか否かに注目
トランプ米大統領弾劾の可能性が伝えられて以降、米ドル建ての金はむしろ頭打ちとなったところも気になる。
実際、日足で見ればわかるように、金は9月25日(水)に大きく反落したから、目先、「三尊天井(※)」の可能性を暗示している。再度9月18日(水)安値の1483ドルを割り込めば、昨年(2018年)後半から一貫して上昇してきた金の強気変動の終焉が意識されるだろう。
(※編集部注:「三尊天井」=「三尊型」。「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)
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(出所:Bloomberg)
もっとも、米ドル建て金は、本来、米ドル高になれば安くなるはずだが、昨年(2018年)後半以降、むしろ米ドル高・米ドル建て金高の同時進行が見られてきた。
その原因や背景については諸説あり、ここででは深追いしないが、重要なポイントは、こういった連動性がどれぐらい継続されていくかである。しばらく継続されていくなら、金の反落があれば、それは米ドル高の継続を示唆するサインではなく、むしろ米ドル全面高も一服するサインとみるべきだと思う。
また、もしも、金のみが下落し、米ドル全体が強気変動を維持するなら、従来の逆相関、すなわち「正常」な関係に戻ることになる。
今のところ、どちらになるのか、まだ判断しにくいが、金と米ドルの連動性はなお続く可能性がある。米金利の逆イールドなり、米中対立や英国のEU離脱なり、悪材料が噴出し、また、マーケットの心理を支配してきだだけに、こういった心理が完全になくなるまで、米ドル建て金の値動きが、米ドル全体の高安と連動してしまうという「不思議」な現象が続く可能性を否定できない。
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■米ドル/円の8月高値109.33円回復の条件は?
もっとも、ユーロ/米ドルが一時、安値を更新したこともあって、米ドル全体の一段高が確実視されている節がある。しかし、結論から申し上げると、目先の米ドル全面高の継続性には疑問が多いから、あまり高値追いをするのは避けたいところだ。
詳細はまた次回にて検証したいが、この前のコラムでも指摘していたように、ドルインデックスの週足に照らして検討すると、上昇ウェッジ形成とオシレーター系の弱気ダイバージェンスが鮮明になりつつあり、これから効いてくる可能性は大きいと思う。
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(出所:Bloomberg)
となると、ユーロ/米ドルも下値追いではなく、むしろ再度底打ちのサインの形成に注目しておきたい。
(出所:Bloomberg)
さらに、ユーロ/米ドルの下値余地限定は重要で、米ドル/円のリバウンドにも影響してくるから、米ドル/円が8月高値109.33円を回復する前提条件として、ユーロ/米ドルの下値限定も挙げたい。
詳細はまた次回、市況はいかに。
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