■米ドル/円とドルインデックスの連動性からわかることは?
米ドル全面高の市況が続いている。ドルインデックスは再度99の節目に迫り、米ドル/円は107円の大台を守り、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の多くも保ち合い状態となっている。

(出所:Bloomberg)

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米ドル/円とドルインデックスの連動性は、ユーロ、英ポンドなど外貨に比べ、実は高くない。実際、連動性の高低で、おおむねリスクオン・オフの度合いを測ることもでき、両者の連動性が高い時期においては、リスクオンとまでは言い切れなくても、リスクオフの時期ではないと言える。今はまさにそのとおりだと思う。

(出所:Bloomberg)
典型的なリスクオフの局面では、ドルインデックスと米ドル/円は完全に背離する。すなわち、ドルインデックスが急伸する一方、米ドル/円が急落する局面だ。もう10年前のことだが、あのリーマンショック後の市況がその好例で、なお記憶に新しい。

(出所:Bloomberg)
となると、市場センチメントはまだ完全に回復していないが、足元はリスクオフの局面でないことは確かだ。米ドル/円とドルインデックスの連動性が高い時期においては、やはり積極的に「リスクを取る」判断や行動が望ましい。
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「打たれ弱い」日経平均さえ、一時2万2000円の大台を回復、これからも高値トライを継続するだろう。

(出所:Bloomberg)
高値圏での保ち合いが続く米国株も、頭打ちになったのではなく、さらなる上昇の土台を固めている途中、という認識の方が正しいかと思う。

(出所:Bloomberg)
■米ドル/円の107円トライは押し目ポイントとして重視すべき
トランプ米大統領弾劾云々でリスクオフを主張する声も多いが、今のところ、いわゆる安全資産の円や金(ゴールド)などのパフォーマンスではそれが確認されていない。ゆえに、米ドル/円の判断としては、引き続き押し目買いでいきたい。
米ドル/円は9月24日(火)に一時107円の節目にトライしたが、これは押し目ポイントとして重視すべきだ。この見方、筆者の9月25日(水)のレポートをもって、根拠を開示したい。
(出所:FXブロードネット)
デイリーの指摘の通り、ドル/円は107関門前後にて押し目を果たしているかと思われる。根拠は以下の通り:
まず、GMMAも一目均衡表もブル基調への転換を果たし、事実上4月以来の出来事である次に、6月、7月の安値ゾーンや8月の元抵抗ゾーンは合致、106後半~107前半に集中しただけに、目先再度支持として役割を果たす公算。
更に、遅行線とGMMAにおける長期線組の関係、ここからサポートを確認できれば、GMMAの「鰯喰い」のサインや一目均衡における「雲」の支持形成につながる見通し。最後に、RSIなど主要オシレーター系指標らの堅調もあって、ここからの下値余地が限定されることも推測される。
もっとも、昨日の陰線は弱気サインと見なされ、ここから下値余地限定、かつ昨日高値107.79のブレイクがあれば、押し目の完成を示唆する最初のサインとなる。スイングトレードなら、目先押し目のところではないかとみる。
■金価格と米ドルの連動性が続くか否かに注目
トランプ米大統領弾劾の可能性が伝えられて以降、米ドル建ての金はむしろ頭打ちとなったところも気になる。
実際、日足で見ればわかるように、金は9月25日(水)に大きく反落したから、目先、「三尊天井(※)」の可能性を暗示している。再度9月18日(水)安値の1483ドルを割り込めば、昨年(2018年)後半から一貫して上昇してきた金の強気変動の終焉が意識されるだろう。
(※編集部注:「三尊天井」=「三尊型」。「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)
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(出所:Bloomberg)
もっとも、米ドル建て金は、本来、米ドル高になれば安くなるはずだが、昨年(2018年)後半以降、むしろ米ドル高・米ドル建て金高の同時進行が見られてきた。
その原因や背景については諸説あり、ここででは深追いしないが、重要なポイントは、こういった連動性がどれぐらい継続されていくかである。しばらく継続されていくなら、金の反落があれば、それは米ドル高の継続を示唆するサインではなく、むしろ米ドル全面高も一服するサインとみるべきだと思う。
また、もしも、金のみが下落し、米ドル全体が強気変動を維持するなら、従来の逆相関、すなわち「正常」な関係に戻ることになる。
今のところ、どちらになるのか、まだ判断しにくいが、金と米ドルの連動性はなお続く可能性がある。米金利の逆イールドなり、米中対立や英国のEU離脱なり、悪材料が噴出し、また、マーケットの心理を支配してきだだけに、こういった心理が完全になくなるまで、米ドル建て金の値動きが、米ドル全体の高安と連動してしまうという「不思議」な現象が続く可能性を否定できない。
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■米ドル/円の8月高値109.33円回復の条件は?
もっとも、ユーロ/米ドルが一時、安値を更新したこともあって、米ドル全体の一段高が確実視されている節がある。しかし、結論から申し上げると、目先の米ドル全面高の継続性には疑問が多いから、あまり高値追いをするのは避けたいところだ。
詳細はまた次回にて検証したいが、この前のコラムでも指摘していたように、ドルインデックスの週足に照らして検討すると、上昇ウェッジ形成とオシレーター系の弱気ダイバージェンスが鮮明になりつつあり、これから効いてくる可能性は大きいと思う。
【参考記事】
●正しいのは相場! 市場心理に惑わされず、勇気をもって行動した少数派が勝つ!(2019年9月20日、陳満咲杜)
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(出所:Bloomberg)
となると、ユーロ/米ドルも下値追いではなく、むしろ再度底打ちのサインの形成に注目しておきたい。

(出所:Bloomberg)
さらに、ユーロ/米ドルの下値余地限定は重要で、米ドル/円のリバウンドにも影響してくるから、米ドル/円が8月高値109.33円を回復する前提条件として、ユーロ/米ドルの下値限定も挙げたい。
詳細はまた次回、市況はいかに。
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