■米中協議に新たな動き
市場の注目材料が、米中貿易交渉の行方とブレグジット(英国のEU離脱)の先行きという状態は、現在も変っていません。その中で、いろいろとまた、動きが出てきています。
10月10日(木)、11日(金)の2日間、米中の閣僚級協議が7日(月)~8日(火)の次官級協議に引き続き、ワシントンで行われています。
1日目の協議(10日)が終わり、トランプ米大統領からは「今回の協議はうまくいっており、合意を目にすることができる」との発言がありました。
また、中国の劉副首相と、日本時間12日(土)3時45分から、ホワイトハウスで会談することも伝えられています。
Big day of negotiations with China. They want to make a deal, but do I? I meet with the Vice Premier tomorrow at The White House.
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 10, 2019
■トランプ大統領の態度が軟化した理由は?
これまで、トランプ米大統領は「包括的な合意でなければダメ」という姿勢を示してきましたが、どうも「部分合意」に応じる可能性が出てきました。
【参考記事】
●10月は重要イベントが目白押し! 米ドル/円の108円台超えは考えにくい(10月3日、今井雅人)
●トランプ発言で米中の問題は振り出しへ。円高傾向…ユーロ/円の売りが良さそうか(9月26日、今井雅人)
ひょっとすると、トランプ米大統領は、米中貿易摩擦が米国経済にかなりマイナスになると考え始めているのかもしれません。
来年(2020年)の米大統領選挙に向けて、米国景気が減速することはどうしても避けたいというのが本音でしょうから、協議に対して態度を軟化させているのかもしれません。

2020年の米大統領選挙に向けて、米国景気が減速することはどうしても避けたいトランプ大統領。今井氏は米中貿易摩擦が、米国経済にかなりマイナスになるとトランプ大統領が考え始めているのではないかと指摘。写真は2016年の米大統領選のときのもの (C)Scott Olson/Getty Images
■関税撤廃までいけば、間違いなくリスクオン
仮に部分合意をして、その上で、これまでかけている関税を撤廃するというところまでいけば、間違いなく市場はリスクオンの動きとなってくるでしょう。
株価は上昇し、そして円安になるという流れがしばらく続くことになると思います。米ドル/円が、108円をしっかりと超えてくる可能性も、出てくるのではないでしょうか。

(出所:TradingView)
■トランプ米大統領だけに油断は禁物
しかし、トランプ米大統領のことですから、土壇場でひっくり返すという可能性も否定はできません。
その場合は、今度はリスクオフの動きとなり、株安、円高の流れがしばらく続くことになると思っています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
どちらの結果となっても、流れはしばらく続くと考えているので、逆張りはしないで、流れに乗ることを考えたほうがいいのではないでしょうか。
【参考記事】
●米中閣僚級貿易協議の行方に注目! もし決裂なら、リスクオフ相場到来か?(10月10日、西原宏一)
■英離脱期限が迫る中、英ポンドが急騰!
一方、ブレグジットの方は、10月末の離脱期限が迫ってきています。
法律的には、10月19日(土)までに合意が得られないときは、離脱の延期をEU(欧州連合)側に要請しなければならなくなっているので、残された時間は、実質的に1週間ほどに迫っているということになります。
【参考記事】
●10月は重要イベントが目白押し! 米ドル/円の108円台超えは考えにくい(10月3日、今井雅人)
●混迷のブレグジット…。短期再開となった英議会でボリス首相が喫した6連敗とは?(9月12日、松崎美子)
●英ポンドは買いか? 売りか? 「合意なき離脱」の可能性は本当にない!?(9月13日、松崎美子)
直近では、10月10日(木)に、アイルランドのバラッカー首相と英国のジョンソン首相が会談し、「合意への道筋を想定することができる」との共同声明を出しました。
バラッカー首相は、「10月末までにEU側と合意可能」との見解を表明。市場では、10月末の離脱の可能性が高くなってきたとの期待感が、急速に高まりました。
それを受けて、英ポンドは急騰しています。英ポンド/米ドルは一時1.2469ドル、英ポンド/円は一時134.56円まで、かなりの大幅な上昇となりました。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 1時間足)
■どちらにしても英ポンドにはマイナス
ただ、この問題もまだ、よくわかりません。
合意なき離脱が英国経済にとって、もっともダメージが大きいことに間違いはありませんが、たとえ合意の上の離脱であったとしても、英国経済へのマイナス影響は当然あると考えています。
やはり、長期的には英ポンドには、マイナス要因となってくるのではないでしょうか。
いずれにしても、まだ情勢が流動的であるので、どういう結果になるのか、注意をしておきたいと思います。
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