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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

ペンス演説が「2018年の再来」を起こす?
底打ち気配のユーロ/米ドルは押し目買い!

2019年10月21日(月)16:03公開 (2019年10月21日(月)16:03更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■混迷のブレグジット! 英議会の次の一手は…

ジョンソン英首相は先週(10月14日~)、欧州委員会とブレグジットの条件について合意し、10月19日(土)の英議会で採決する予定でした。


大きな注目を集めていたのですが、採決は延期となりました。

【参考記事】
英国の合意あるEU離脱はあり得る? 週明けはフラッシュクラッシュ級の動きも!?
【英EU離脱】可決でも否決でもなく採決見送り!? ジョンソン首相に秘策はある?

そのため、ジョンソンさんは法案に従って離脱延期を申請する書簡をEUに送付しました。


ただ、この手紙には署名を入れず、同時に「さらなる延期は誤り」とする書簡を署名入りで送ったそうです。

ジョンソン英首相写真

英政府と欧州委員会が合意した離脱協定案に関する10月19日(土)の英議会採決が延期となり、ジョンソン英首相はブレグジット延期を申請する書簡をEUに送付した。ただ、この書簡には署名を入れず、同時に「さらなる延期は誤り」とする書簡を署名入りで送付したようだ (C)Justin Sullivan/Getty Images

署名を入れない書簡が建前、署名入りが本音ということですね。


見かけ上はEU側にボールが渡ったように思えますが、EUはジョンソン英首相と英議会の次の動きを見てから延期を検討することになるのでしょう。

マクロン仏大統領などは延期に否定的ですが、ここで延期を否定してノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)となれば、EUが責任を負わされてしまう。それは避けたいところでしょうね。

英議会では今日(10月21日)にも関連法案を整備し、再び採決の機会をうかがうようです。


ジョンソン英首相は、合意なき離脱も辞さない立場。極論すれば、採決できなくても、延期が認められなくても構わないわけで、立場的には有利とも言えます。


いずれにせよ、10月10日(木)のアイルランドとの首脳会談以降、英ポンドは暴騰。


英ポンド/円は9円ほどの上昇となりましたから、テクニカルを見ると短期的には買われ過ぎのシグナルが出ているものの、中期的には上昇余地を残しています

【参考記事】
大きなヤマ場を迎えるブレグジット問題! 「合意あるEU離脱」期待で英ポンド上昇(10月17日、西原宏一)
英ポンドは1.30ドル? それとも1.15ドル? ここからはオセアニア通貨もおもしろそう(10月15日、バカラ村)

英ポンド/円 4時間足
英ポンド/円 4時間足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 4時間足

■ペンス演説は「2018年の再来」を起こすか

今週10月24日(木)には、ECB(欧州中央銀行)会合が開かれます。


ドラギ総裁が月末に退任するため、ラガルド次期総裁へどんな橋渡しをするのか、コメントに注目ですね。


政策面では、前回9月に緩和策を発表したばかりなので変更はない見通しです。

ドラギECB総裁写真

10月末で退任するドラギECB総裁。ラガルド次期ECB総裁へどんな橋渡しをするのか、コメントに注目が集まっている (C)Bloomberg/Getty Images

前回発表した緩和策は、市場の期待を上回る「満額以上」の回答でした。


ところが、ユーロ/米ドルは1.09ドルまでしか下がらず、10月からはジリジリ上げてきています。ユーロ/米ドルは底入れしたのかもしれません。


ドルインデックスもピークアウトした可能性があり、目先はブレグジット次第ですが、いずれ米ドル安が顕著になってくるのではないでしょうか。


その意味で注目されるのが、「ペンス演説」。ECBと同じく10月24日(木)に予定されています。

【参考記事】
ECBとFRBは金融緩和も日銀は動かず…米ドル/円は108円台半ばへ上昇後、反落(9月19日、西原宏一)
今週はFOMC! 議長発言で株価は調整へ!? 下落することが多かった米ドル/円は…?(9月17日、バカラ村)

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:Bloomberg)

ペンス米副大統領は、トランプさん以上の対中強硬派とも言われますね。


昨年(2018年)10月の演説でも中国に対する強い態度を示し、年末の株安の一因ともなりました

【参考記事】
世界的に株価脆弱で、ドル/円は戻り売り! 米国は中国を為替操作国に認定するのか!?(2018年10月15日、西原宏一&大橋ひろこ)
米中貿易戦争は収まるどころか深刻化…!? 下値余地拡大の豪ドルには戻り売りで臨む!(2018年10月18日、西原宏一)

今回の演説のテーマも対中政策ですから、「2018年の再来」があるのではないかと警戒心が高まっています

■エルドアン大統領がトランプレターをゴミ箱に捨てた!? 

10月24日(木)には、トルコ中銀の政策金利発表も控えています。


10月3日(木)に発表されたインフレ率が10%割れへと低下したこともあり、今回も利下げが行われる見通しです。


ただ、目下の課題はシリア侵攻とアメリカからの経済制裁。エルドアン大統領はトランプさんからの手紙をゴミ箱に捨てたとの報道も出ています。


大統領選を前に株価を下げたくないトランプさんが、足元を見られているのかもしれません。

【参考記事】
シリア北部から米軍撤収で戦争リスク警戒! トルコリラ/円は18円台前半へ下落…(10月9日、エミン・ユルマズ)

北朝鮮も、再びミサイル実験を行っていますね。

金正恩氏が白馬に乗って白頭山を登頂する写真が公開されましたが、過去、こうした姿が公開された直後に金正男氏が暗殺されたりと、何かしら事件が起きているそうです。

【参考記事】
トランプラリー第2幕は年後半かも。北朝鮮の金正男氏暗殺で豪ドル高が進む!?(2017年2月27日、西原宏一&大橋ひろこ)

■ユーロ/米ドルの押し目買い方針

日本株市場では「ダブルインバース」(日経平均と反対方向に2倍の値動きをする銘柄)のETF(上場投資信託)が話題ですね。


日経平均は年初来高値を更新しましたが、個人はダブルインバースを買い増しているようです。

SBI証券が公開するNISA口座での週間買付金額ランキングでも、先週(10月14日~)のトップはダブルインバースETF。踏まれている個人が多そうですね。

日銀のETF買いも今年(2019年)の枠が2兆円ほど残っているようですし、それが投下されるなら日本株の下値は堅い、という話にもなります。

黒田日銀総裁は、「追加の金融緩和が必要になれば短期・中期の金利を『確実に』引き下げる」と追加緩和に意欲を示しています。


次回の日銀会合は、10月31日(木)。一部では追加緩和期待が高まっているようです。

いずれにせよ、今週(10月21日~)はブレグジットが大詰め。


英ポンドの買い場も探したいですが、英議会などの進展を注意深く見守る必要があるため、要注意。


もし、英ポンドの悪材料などでユーロが下がるような場面があれば、底打ちの気配があるユーロ/米ドルを買っていきたいと思います。

ユーロ米ドル 日足
ユーロ米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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