■トランプ演説に向けて戦略の準備を
今週(2月27日~)の注目は、日本時間3月1日(水)11時に予定されているトランプ米大統領の議会演説。
これを見てからでないとリスクを取りづらいし、それまでの動きはメイントレンドとはならず、調整にとどまるのでしょう。
でも、トランプさんが何を言うのか、わからないし、予想のしようもない。演説の内容を考えるより、どのレベルまで動いたときにポジションをどう動かすか、決めておくことが大切ですよね。
同感ですね。ところが、足もとの動きは難しい。本来なら「3月1日(水)に向けて期待感が高まり、米国株、日経平均、米ドル/円が上昇し、演説通過後にセル・ザ・ファクトで下落」というのがわかりやすい動きでした。
しかし、トランプ演説に対する期待感は高まるどころか、「驚くような発表はないだろう」というのがコンセンサスとなっています。たしかにNYダウは24日(金)まで11連騰しているのですが、日経平均や米ドル/円はまったくついてきません。
(出所:Bloomberg)
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東芝の問題が日本株の足を引っ張っているのかもしれませんね。
NYダウだけでなく、ドイツやアジア、新興国でも株価は上昇基調ですが、日本だけが置いてけぼり。やはり、東芝の影響は大きいのかもしれないですね。
【参考記事】
●東芝1兆円損失の可能性がドル/円に波及。115円付近が当面の高値となるかも…(2月20日、西原宏一&大橋ひろこ)
■トランプラリー第2幕は年後半か
ここまでのNYダウは、ショートポジションの踏み上げで上昇してきた印象です。議会演説で乱高下して再びショート比率が高まるようだと、もう一段の踏み上げがあるかもしれないですし、議会演説を控えてキャッシュに戻していた投資家が買ってくる可能性もありますよね。
演説前後の乱高下で米ドル/円が110円くらいまで下がることがあれば、買ってもいいかなと思いますが。
(出所:Bloomberg)
下に突っ込む場面があれば買いたいですが、年初に想定していた120円台への上昇はずれ込みそう。もう少し検証が必要ですが、米ドル/円は、しばらくレンジが続くのかなと思っています。
ムニューシン米財務長官は先週(2月20日~)、「8月の議会の休会までに税制改革案を通過させたい」と話していました。
そうなると、税制改革が実現するのは来年(2018年)となりそうで、米ドル/円の120円台は年後半までお預けかもしれませんね。
(出所:Bloomberg)
■北朝鮮の金正男氏暗殺で豪ドルは上昇へ!?
ボラティリティを求めるなら、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)や豪ドルクロス(豪ドルと米ドル以外の通貨との通貨ペア)がいいのかもしれません。
注目しているのは豪ドル。年初来のパフォーマンスを見ると、もっとも買われているのが豪ドルでした。対米ドルで見ると、昨年(2016)11月の水準まで回復しています。
(出所:Bloomberg)
つまり、米大統領選直前の水準まで回復したということ。米国株を崩さないよう、トランプ政権が当初の予想より利上げを慎重に進めていく姿勢を示しているので、資源国や新興国にマネーが戻っているためでしょう。
もうひとつには、鉄鉱石価格が堅調なこともあります。
中国が再び、鉄鉱石を買っているようですね。
(出所:Bloomberg)
飛躍しすぎた発想かもしれませんが、金正男氏暗殺の影響が考えられます。北朝鮮は中国へ鉄鉱石を輸出していました。
ところが金正男氏の暗殺に中国が激怒。北朝鮮ではなく、オーストラリアの鉄鉱石を買うようになったのでは…との憶測が市場の一部にはあります。
金正男氏の暗殺直後、中国は北朝鮮からの石炭輸入を年末まで停止する措置を公式に発表しました。その理由を「国連安保理が定めた輸入上限額に近づいたため」としていますし、鉄鉱石については言及していませんが、同様の措置があっても不思議はありません。
■ユーロ/豪ドルの売りに注目!
北朝鮮については想像の域を出ませんが、トランプ米大統領がインフラ投資を促進しているのなら、鉄鉱石需要は高まるのでしょうし、豪ドルにポジティブな状況であるのはたしか。
豪ドルクロスに注目してみたいと思います。
通貨ペアはどれがいいですか?
現在の最弱通貨は選挙で揺れるユーロですから、ユーロ/豪ドルのショートでしょうか。
ただ、ユーロ/豪ドルはすでに安値圏にありますし、ボラティリティも非常に高い。平気で1日に150pips、200pipsは動きます。米ドル/円とは感覚がまったく違いますから、リスク管理は慎重に行なってください。
(出所:Bloomberg)
【参考記事】
●雲の中のドル/円、上抜けは3月上旬ごろ? なぜユーロ/豪ドルの下落に今注目なのか? (2月23日、西原宏一)
3月1日(水)の議会演説を無事に通過すれば、豪ドル/円もよさそうですね。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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