■トランプ大統領が香港人権・民主主義法案に署名
米議会で香港人権・民主主義法案が可決されましたが、これに対して中国は内政干渉だと批判し、報復措置をとると発言していました。
法案の成立には、トランプ大統領の署名を待つだけの状態でしたが、トランプ大統領が署名をしたのは、11月27日(水)のNY市場が終わったあとです。
株式市場が開いている間に署名をすると、株価が下落するリスクがありましたが、11月28日(木)が感謝祭で休場だったこともあり、27日(水)のNY市場が終わったあとのタイミングで署名しました。
【参考記事】
●英ポンド/米ドルは次の上昇がエリオット波動の5波動目!? ユーロは戻り売りで!(11月26日、バカラ村)
中国が報復措置を示唆するなか、トランプ大統領は株価下落のリスクを回避するため、11月27日(水)のNY市場終了後というタイミングで、香港人権・民主主義法案に署名。写真は2017年にエルサレムをイスラエルの首都と認定し、書類に署名を行ったときのもの (C)Chip Somodevilla/Getty Images
■関係悪化を避けるため、中国への配慮も
また、トランプ大統領は、「習近平・中国国家主席と香港の市民に対する尊敬から、これらの法案に署名した」と発言。
中国と香港が友好的に意見の相違を解決することを願うと、中国へ配慮した発言をしています。
中国との関係が悪化しないように、さらに、米国株が下がらないようにしていることもあって、トランプ大統領は米中の関係を、できるだけ良い状態に保ちたいと考えているのではないかと思います。
反対に、トランプ大統領は、米中の通商協議で「合意できなければ大幅に関税を引き上げる」とも発言しています。しかし、これはただの脅しだと思われるので、トランプ大統領は合意をしたいのだと思います。
■第1段階の合意は近い!?
先々月(10月)までは、11月16日(土)~17日(日)に予定されていたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の場で、第1段階の合意がなされると見込まれていました。
それからすでに、半月以上が経過していますが、まだ合意できないということは、かなり難航している状態だと思います。しかし、中国もトランプ大統領も、これ以上の悪化は望んでいないと思いますので、歩み寄りがあるのではないかと考えています。
当初、第1段階の合意がなされると見込まれていた時期から半月以上が経過しているものの、バカラ村氏は歩み寄りがあるのではないかと考えている 写真は2019年6月に開催された大阪G20の時のもの (C)Visual China Group/Getty Images
昨日(12月2日)も、第1段階の合意の書面化ができているとの報道があり、合意はかなり近いものと思います。
【参考記事】
●悲観が底を打ってリスクを取れる環境へ! 米ドル/円の押し目買いが基本戦略に!(11月12日、バカラ村)
■ブラジルとアルゼンチンへの関税を再開
昨日(12月2日)、トランプ大統領はブラジルとアルゼンチンの通貨切り下げを不満として、鉄鋼・アルミニウムに対する関税を復活させるとツイートしました。
Brazil and Argentina have been presiding over a massive devaluation of their currencies. which is not good for our farmers. Therefore, effective immediately, I will restore the Tariffs on all Steel & Aluminum that is shipped into the U.S. from those countries. The Federal....
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) December 2, 2019
米ドル高への不満が出ており、それもあって、昨日(12月2日)は米ドル安へ推移しました。
(出所:TradingView)
■ユーロ/米ドルは押し目買い
トランプ大統領は、ユーロに対する米ドル高も不満に思っていますが、ECB(欧州中央銀行)ではラガルド総裁が、ドイツへ財政出動を強く呼びかけており、ドイツがこれに応えるようであれば、ユーロはこれまでの緩やかな下降トレンドが、緩やかな上昇トレンドへ変わることになると思います。
チャートからは、ユーロ/米ドルは11月14日(木)の安値を、11月29日(金)にやや下回りましたが、29日(金)のローソク足が下ヒゲとなり、1.10ドルから下がサポートされた形となっています。
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●特徴的なローソク足の見方【前編】1本でも相場の先行きを教えてくれる!?
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(出所:TradingView)
ストキャスティクスやRSIなどは、ダイバージェンスとなっていますが、このまま上昇トレンドになるとは、まだ言えないと思います。しかし、1.10ドルは目先のサポートゾーンとなり、トレードするのであれば、押し目買いの方が良いような形となっています。
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●ダイバージェンスの発生は相場転換の予兆!? オシレーター指標と価格の動きがバラバラ?
(出所:TradingView)
■NZドル/米ドルと豪ドル/米ドルに変化!
NZドル/米ドルは、0.64ドル台半ばがレジスタンスとなっていましたが、昨日(12月2日)はしっかりとした陽線で、ブレイクしてきています。
(出所:TradingView)
豪ドル/米ドルは、米中の対立の影響もありますが、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の金融政策の影響もあって、軟調な推移となっていました。
また、本日(12月3日)のRBA理事会では、政策金利が据え置かれる見通しですが、来年(2020年)には0.25%の利下げが織り込まれており、さらに、もう1回の利下げ予想もあることも、軟調な展開につながっていました(※)。
(※編集部注:本記事寄稿後で本記事公開より前の日本時間12月3日(火)12時30分に、RBAは政策金利にあたるオフシャル・キャッシュ・レートを0.75%に据え置くと発表した)
ゆっくりとした推移で下降してきていましたが、その流れを昨日(12月2日)の陽線が、変えにきています。
(出所:TradingView)
■豪ドル/米ドルの上昇が期待できそう
豪ドルは売りに偏っていますが、米中の第1段階の合意が近いこともあり、これまで売られていたものも、買い戻されやすいのではないかと思います。
※CFTCのデータを基にザイFX!が作成
昨日(12月2日)、しっかりとした陽線となって、上がってしまいましたが、まだ買い戻しでの上昇が期待できることから、豪ドル/米ドルは買いで良いのではないかと考えています。
【参考記事】
●米ドル/円の下げは限定的か。リスクオン継続の中、豪ドル/米ドルの200日線に注目!(11月5日、バカラ村)
(出所:TradingView)
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