■米中貿易交渉でトランプ大統領が妥協!?
米中は、おそらく来週(1月13日~)、貿易交渉に関して、第1次合意をすると思います。
これは良いニュースですが、追加関税を回避しただけで、まだ、これまで課してきた関税はそのまま残っており、今後、その撤廃に向けて本格的な交渉が始まっていきます。ここでは、中国経済の構造的な問題に踏み込んできますので、交渉は難航が予想されます。
【参考記事】
●2019年の為替市場を総まとめ! 米中貿易摩擦とブレグジット問題は、2020年も続く!?(2019年12月27日、今井雅人)
2020年は、米中で関税の撤廃に向けた本格的な交渉が始まっていくことになりそう。しかし、中国経済の構造的な問題に踏み込んでいくため、交渉は難航しそうだと今井氏は指摘。写真は2019年6月の大阪G20時のもの (C)Visual China Group/Getty Images
しかし、選挙を控えたトランプ米大統領は、何らかの形で妥協点を見出すのではないかと、私は見ています。
そうなると、中国経済に対してもプラスの効果が出てくるでしょう。
■オリンピック後の景気後退は都市伝説!
日本では、東京オリンピックが7月から開催されます。
オリンピックが終わると、日本の景気が一気に落ち込むと言う人が多く見受けられますが、私は正直、そんなことは単なる都市伝説に過ぎないと考えています。
【参考記事】
●伝説のディーラー・藤巻健史氏に聞く(1) 東京五輪前にハイパーインフレで円大暴落!?
GDP(国内総生産)が500兆円を超える経済大国の日本で、オリンピック程度のことが経済に大きく影響するとは、とても考えられせん。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●GDPを見ればその国の景気がわかる! 実質・名目の違いは? 個人消費にも注目
オリンピックに向けて、インフラの整備が行われている程度の効果で、大したことはありません。ですから、逆に言えば、終わった後も、さほど影響はないだろうということです。
■英ポンドの動意は年後半!?
今月(1月)末に、いよいよ英国は、EU(欧州連合)を離脱(=ブレグジット)することが、確実になってきました。
しかし、ここでは、市場はあまり反応しないでしょう。
それより、問題は今年(2020年)の末までを移行期間として、その間に、EUとのFTA(自由貿易協定)締結など、環境整備をしなければいけないということです。
ボリス・ジョンソン英首相は、今年(2020年)末の期限は延長しないと言っています。
一方、EU側は、そんな短期間にFTA締結などは、できるはずがないと言っています。
1月のEU離脱がほぼ確実になった英国のジョンソン首相。その後に待ち受けているのはFTA締結などの環境整備になるが、移行期間が終了する2020年12月末までに交渉をまとめあげることはできるのだろうか (C)Justin Sullivan/Getty Images
年後半には、この問題が英ポンド相場を振り回すことになると考えています。
【参考記事】
●2019年の為替市場を総まとめ! 米中貿易摩擦とブレグジット問題は、2020年も続く!?(2019年12月27日、今井雅人)
●米ドル/円は年末年始にかけて110円へ!? EU離脱で2020年の英ポンドは下落か(2019年12月19日、今井雅人)
(出所:TradingView)
■米ドル/円は上げ下げを細かく取っていく戦略で
以上、簡単にポイントを紹介しましたが、こうした要因に加えて、今年(2020年)は各国の中央銀行も、あまり金融政策をいじらないと思いますので、為替相場も大きくは動きづらいだろうなと考えています。
米ドル/円も、2019年と同様、105~110円を中心に、プラスマイナス2円程度のレンジに入り込んでしまうのではないかと思います。
(出所:TradingView)
狭いレンジの中でも、上げ下げを細かく取っていく戦略で向かいたいと思います。
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