■2019年の為替相場を振り返り
今年(2019年)も残すところ、あと数日になりました。そこで、今回は少し、今年1年を振り返ってみたいと思います。
全体的に言って、今年(2019年)の為替市場は、本当に変動幅の少ない、静かな展開となりました。
【参考記事】
●ザイFX!で2019年を振り返ろう!(1)大暴落後は動かない、動かない、動かない
(出所:TradingView)
そんな中でも、比較的、市場に影響を与えた3つの要因があったと思います。それを、1つずつ、見ていきたいと思います。
■米中貿易摩擦に振り回された1年
まず、もっとも影響が大きかったのは、米中の貿易摩擦の問題でした。
トランプ米大統領は就任以来、世界各国と1対1での貿易交渉を展開してきましたが、その中で最大の注目であったのが、対中国でした。この問題については、再三にわたって触れてきましたので、ここでは詳しい説明は省略します。
【参考記事】
●米ドル/円は100円割れ? それとも110円へ!? カギ握る米中首脳会談から目が離せない!(6月27日、今井雅人)
●米中交渉決裂なら米ドル/円は105円割れ!? トランプ大統領の円安誘導批判にも警戒!(6月13日、今井雅人)
●米ドル高でも米ドル/円は、なぜ上昇しない? 米中貿易交渉に中国が秘密兵器を投入!?(5月30日、今井雅人)
●米中の関税合戦は世界経済にマイナス! 米ドル/円とクロス円はショート戦略で(5月16日、今井雅人)
トランプ米大統領は数次にわたって、中国からの輸入品に対して関税措置を追加していきました。さらに、トランプ米大統領は、中国との貿易不均衡を解消するに留まらず、中国政府が実施している国内企業への補助金などの、国家政策の転換を迫ってきました。
これは、中国政府としては、絶対に飲めない要求でした。事態は次第に悪化していきました。
今井氏が今年、為替市場にもっとも影響が大きかった材料として挙げたのが米中の貿易摩擦問題。米国の追加関税措置は第4弾にまで達し、事態は次第に悪化していった。写真は2019年6月の大阪G20時のもの (C)Visual China Group/Getty Images
米国と中国は、GDP(国内総生産)が世界1位と2位ですから、この2つの国の貿易衝突は、当然、世界経済全体に大きな影響を与えます。交渉が難航して、トランプ米大統領がツイッターで不満を述べるたびに、金融市場はリスクオフの動きを見せ、為替市場でも、円全面高の展開となる場面もありました。
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●GDPを見ればその国の景気がわかる! 実質・名目の違いは? 個人消費にも注目
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)
■2020年、米中の交渉は第2弾へ
しかし、トランプ米大統領も、来年(2020年)の大統領選挙を控えて、何かしらの成果がほしかったのと、米国の経済界からも、中国との貿易摩擦による米国経済へのマイナス影響を懸念する声が挙がってきたこともあって、突然、大きな妥協をします。
中国が、米国の農産物を大量に購入するという条件で、部分合意をするという動きに出ました。おそらく、近日中にも、正式に署名されて部分合意が決定すると思います。
【参考記事】
●米ドル/円は年末年始にかけて110円へ!? EU離脱で2020年の英ポンドは下落か(12月19日、今井雅人)
●米中部分合意で米ドル/円に110円の可能性。でも、リスクオンの円安基調は期間限定!?(10月18日、今井雅人)
●米中が部分合意へ!? トランプ大統領が米中貿易摩擦のヤバさに気づいた!?(10月11日、今井雅人)
年末になって米中はようやく、第1段階の合意に達したと発表。今井氏は、2020年の大統領選挙を控えて、トランプ大統領が妥協したと指摘している (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
この動きに、今度は市場がリスクオンに転じ、株価は上昇。為替も円安に戻っていきました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足)
来年(2020年)も、第2弾の交渉がどう展開していくかが、金融市場に影響を与えることは必至です。
2つ目は英国EU(欧州連合)離脱問題、いわゆるブレグジット問題です。これも…
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