■短期トレードに限れば外貨の優位性に注意
しかし、ユーロをはじめ、主要外貨の切り返しは単にテクニカル的な要素に主導されるものかと聞かれると、そうとも言い切れない。
ユーロならEU(欧州連合)財政の一体化、豪ドルなら商品市況と連動する側面もあったと思う。この意味では、米ドル全体の弱含みの状況は目先継続される公算が高く、短期トレードに限った話なら外貨の優位性に注意しておきたい。
主要外貨の堅調が続くなか、米ドル/円の「居眠り取引」の状況が続く場合、主要クロス円は引き続き堅調で、また、切り返しの余地を拡大するだろう。逆に言えば、主要クロス円が堅調な値動きを示す限り、それに伴って米ドル/円の「居眠り取引」が続く。
なぜなら、仮に米ドル/円が変動率を拡大していけば、米ドル全体の流れに追随し、目先は下値トライしていく可能性が大きいから、これはクロス円の頭の重さにつながるはずだからだ。
ゆえに、クロス円の堅調は、実に米ドル/円の底堅さと関連しており、短期トレードでもクロス円の内部構造を見据えた上で判断したほうがよさそうだ。
■豪ドル/円の内部構造を再確認
主要クロス円のうち、豪ドル/円のリードがなお確認されているから、豪ドル/円の内部構造を再確認したい。少し前のレポートだが、5月21日(木)に書いた見通しがなお有効なので、以下に開示する。
(出所:TradingView)
豪ドル/円は3月安値を起点とした切り返しを継続している。チャート上示したように、「上昇ウェッジ」を形成、また同フォーメーションの成立で早晩頭打ちして反落、といった可能性を否定できないものの、続伸の公算も大きい。シンプルな視点でフォローしていきたい。
もっとも、3月25日高値(a)と4月21日(b)や5月7日(c)安値は同じ水準だったことで、新たな高値更新や上昇余地を拓いたと言える。新たな変動レンジの形成や上放れで約72.65前後の上値を照準でき、200日線を上回る計算となる。
3月25日の「スパイクハイ」のサイン、4月21日の「フォールス・ブレイクアウト」のサインや5月7日の「強気リバーサル」や「アウトサイド」のサインに鑑み、前記見方は一層強化され、日足における地合いの堅調さも観察され、前記倍返しの計算が達成される公算。更に、より大きな視点では、3月19日安値59.87~3月25高値67.71の上昇幅をそのまま上乗せた上値余地も計算されるが、目先やや性急、200日線乗せの成功が計算の先決条件。
要するに、豪ドル/円になお上値余地があるうちは、米ドル/円はしばらく「居眠り取引」の状況から脱出できないのではないかと思う。
続きはまた次回、市況はいかに。
(13:20執筆)
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