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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円は162円決壊間近! 介入を待てない事業法人の米ドル買いが増加し、8万円目指す日経平均を追いかけそう。米金利・FRBの独立性・米経済優位性で米ドル全面高

2026年06月25日(木)11:51公開 (2026年06月25日(木)11:51更新)
西原宏一

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米ドル/円は162円目前で足踏み。160円超えで介入が入った前回との決定的な違いは?

 みなさん、こんにちは。

 今週(6月22日~)の米ドル/円は161円台で神経質な値動きとなっています。約40年ぶりとなる162円台突入を目前にして、足踏みしている形です。本稿執筆時点では161.75円レベルにあり、なかなか162円台に突入できません。

 その要因のひとつは、162.00円に設定されているバリアオプションです。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は162.00円のバリアオプションが介入警戒水域だが、押し目買い! 「米国例外主義」トレード復活による米ドル高継続で、介入は米ドルの押し目と認識されそう(6月25日、西原宏一)

 そしてもうひとつが、政府・日銀による介入への懸念です。日米財務相会談の報道を受けて円買い介入への警戒感がくすぶり、なかなか上値を積極的に攻めてきません。

 とはいえ下値も、「米ドルを買い遅れている事業法人」の存在が支えとなり、下げ渋る展開が続いています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView(トレーディングビュー))

 結果として米ドル/円のボラティリティは急低下しており、これだけ小動きの相場でいきなり介入が入るというのも、正直なところ想像しにくい

 そう考える理由はシンプルです。前回、4月30日(木)に160円レベルで介入を実施した際も、米ドル円は小動きでした。それでも批判を覚悟で、あれだけ静かなマーケットの中で巨額の介入を実施しました。

 しかし、現在の米ドル円は161円台後半で推移しており、11.7兆円を投じた介入の効果は、結果として表れていません。

 どちらかと言えば、11.7兆円もの介入を投下したことが、「米ドル/円にはそれだけの米ドル買い需要がある」ことをマーケットに示してしまった格好です。

 そのため、前回以上の規模・タイミングで介入に踏み切るハードルは、明らかに上がっています。

一番怖いのは、同規模で再び介入に出て、それでも効果がなかった場合のマーケットの反応です。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円の162円超えは約40年ぶりの水準、上値余地大きく拡大の公算高く要警戒! 第2弾の介入も効かないと、当局みずから米ドル/円の底堅さを証明してしまうことに(6月22日、西原宏一&叶内文子)

米ドル/円の次の上昇エンジンは、介入を待つ事業法人の米ドル買い

 一方で、米ドル買いが遅れている事業法人は、まさにこの「介入待ち」の状態で、じっと機会をうかがっています。

 今週に入り、一部の事業法人は押し目をあきらめて161円台で米ドル買いに動き始めましたが、これは現時点ではまれなケースです。

 大多数の事業法人は依然として、介入による一時的な押し目を期待し、米ドル買いのタイミングを待っています。

 ここで注目すべきは、その米ドル買い注文の水準が変化していることです。前回は5円以上下のレベルに米ドル買い注文を置く事業法人が多かったのですが、今回は160円割れから、すでに米ドル買い注文が入ってきているともうわさされています。

 米ドルを買い遅れている事業法人の「我慢の限界」が、明らかに前回より浅い水準まで上がってきていることになります。

 つまり、介入を待ちきれずに米ドルを買い始める事業法人が、今後さらに増えていく可能性が高いと考えています。

 この米ドル買い遅れ需要が解消されていくプロセスこそが、162円という節目を決壊させる原動力になり得ると見ています。

マイクロン決算とAI需要が、リスクオンで「米ドル高・円安」の追い風に

 折しも、市場のリスクセンチメントを支える材料も出てきています。

 6月24日(水)に発表されたマイクロン・テクノロジーの決算は、純利益が前年比約15倍、売上高が約4.5倍と市場予想を大幅に上回り、時間外取引で株価は+14%上昇しました。

 マイクロンは米国の半導体メモリー大手で、AIサーバー向けの高性能メモリー(HBM=高帯域幅メモリー)の主要サプライヤーの一社です。HBMはAIチップ(GPU)に直結させる積層型の超高速メモリーで、生産できるのはマイクロン、SKハイニックス、サムスン電子の3社のみです。

今回の決算は、AI関連需要の拡大がメモリー市場にも確実に波及していることを裏付けるものであり、これを受けて日経先物は前日終値より約2000円高の水準まで急騰しています。

 日経平均は急ピッチな上昇のため7万円を挟んで乱高下しましたが、調整が一巡すれば7万円を固めたうえで、再び8万円を目指す展開になると見ています。

日経平均 週足
日経平均 週足チャート

(出所:TradingView

 一方、米ドル/円の反応は日経先物に比べて明らかに緩慢であり、時間をおいてキャッチアップしてくる構図を想定しています。

 リスクオンのムードは米ドル/円にとっても追い風であり、円安加速の地ならしとなりやすいところです。

米ドル/円の162円決壊は、米ドル全面高の中で時間の問題か。ユーロ/米ドルにも下押し圧力がかかりやすい

 現在、全通貨に対して米ドル高が進行しています。

 米ドル/円については介入警戒感から上値が抑えられているのに対し、ユーロ/米ドルやニュージーランドドル/米ドルなど他通貨は、米ドルに対して素直に下落。

 そのため、ユーロ/円やニュージーランドドル/円といったクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は総じて軟調な展開となっています。

 ただし、この状況下でクロス円をショートにする意味は、実質的に「政府・日銀の介入を待つ」のとほぼ同じだと考えています。仮に円高に振れたとしても、時間をおいての円の売り戻しが増えるだけという結果に終わる可能性が高いでしょう。

 他通貨でトレードするのであれば、基本的にユーロ/米ドルやニュージーランドドル/米ドルのショートを軸にする予定です。

 ウォーシュ新FRB(米連邦準備制度理事会)議長就任後、初のFOMC(米連邦公開市場委員会)がタカ派サプライズとなったことで、米金利・FRBの独立性・米経済優位性という3つの経路が同時に米ドル買いを支えており、ユーロ/米ドルにも下押し圧力がかかりやすい環境が続いています。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

 よって、今週も米ドル/円ロングを継続します。162円決壊は時間の問題と考えています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView


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