■もうひとつ、トルコとロシアの代理戦争が起きる危険性
トルコに話を戻すと、先週(7月20日~)から大きく動いたのは、コーカサス地方の地政学リスクです。
ともに旧ソ連諸国であるアルメニアとアゼルバイジャンの間に7月12日(日)から軍事衝突が起きていて、16人が死亡する大事件に発展しています。
この問題については、別の機会に詳しく書くつもりですが、簡単に要約すると、テュルク系民族であるアゼルバイジャンをトルコが支援し、アルメニアをロシアが支援しています。
両国はソ連崩壊後に領土問題で一度戦争をしましたが、近年は、特に事件は起きていませんでした。今回の軍事衝突の原因は不明ですが、最近のトルコとロシア関係の悪化が関係している可能性が高いと考えます。

旧ソ連諸国による軍事衝突はトルコとロシアの関係悪化が絡んでいる可能性も。写真は2018年9月に開催された、トルコ、ロシア、イランによる3カ国会談のときのもの (C)Anadolu Agency/Getty Images
つまり、シリアとリビアに加え、コーカサス地方でも、トルコとロシアの代理戦争が起きる危険性があります。この問題は現時点でトルコリラに影響を与えている可能性は低いですが、衝突軸がもうひとつ増えたことは、ネガティブな動きです。
【参考記事】
●リビア内戦がトルコとエジプトの戦争に!? 新観光政策の効果がリラの運命を決める!(6月24日、エミン・ユルマズ)
●トルコの実体経済は想像以上に悪そう…。トルコリラ/円はボックス相場を継続か?(6月17日、エミン・ユルマズ)
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