■「菅首相」なら金融市場の反応は?
安倍首相の突然の辞任には、驚きましたね。
体調面での問題ということなので仕方ないのでしょう。ゆっくり静養してほしいですね。
マーケット的には、突然、政策が変わるとは思われていませんが、辞任表明が突然だったこともあり、株安・円高に反応しました。
【参考記事】
●アベノミクスさようなら。安倍首相辞任の意向で日経平均急落! 米ドル/円急落!
安倍首相の辞任で、マーケット的には突然政策が変わるとは思われていないが、辞任表明が突然だったこともあり、株安・円高に反応したと西原氏は解説 (C)Getty Images News
(出所:TradingView)
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日経平均は、100円高から辞任の報道で600円安へ。合わせて700円の急落でしたが、後継は菅官房長官でほぼ決まりのようですね。
週末に菅さんの流れが固まってきました。
今朝(8月31日)の米ドル/円は、一時105.80円まで買い戻され、日経平均に至っては金曜日(8月28日)の下げを全戻ししています。
(出所:TradingView)
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後継が石破さんや岸田さんのような緊縮財政派であれば警戒感も出たのでしょうが、その可能性はなさそうですね。
意外だったのは、外国人投資家には政権交代を評価する向きもあるようです。
アベノミクスが騒がれなくなり、金融政策面でも手詰まりとなっていました。
新首相が閉塞感を打破してくれるのではとの期待感から、日本株買いに動いている、と。
菅さんであれば現路線の継承でしょうが、名前が変わることで新機軸を打ち出してくれるのではとの期待があるのかもしれませんね。
■波乱となったジャクソンホール
安倍首相辞任の前日(8月27日)にサプライズとなったのが、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長講演。
これまではインフレ率2%を上限としていたのが、2%超を容認し、平均2%を目標とすると発表しました。
日銀が採用しているような「オーバーシュート型コミットメント」ですね。
【参考記事】
●コロナバブルに乗れるかどうかで、人生が変わる! 日本が受ける米緩和の恩恵とは?(8月28日、陳満咲杜)
パウエルFRB議長はジャクソンホール会議での公演で、平均2%のインフレ率を目標とすると発表。安倍首相辞任の前日にサプライズとなったと大橋ひろこ氏は解説 (C)Bloomberg/Getty Images News
この変更は、「利上げ、遠し」と強く印象づけることにもなります。
米ドルは売られるし、コモディティ通貨は買われることになるのでしょう。
低金利の継続ですから株式市場にはプラス、コモディティにもプラスとなり、豪ドルなどのコモディティ通貨も買われるということですね。
■バフェット、日本の5大商社をまとめ買い!
豪ドル/米ドルは大きな押し目もなく上がっていますが、先週(8月24日~)注目されたのはクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)。
豪ドル/円の77円、英ポンド/円の140円という何度も跳ね返されたレジスタンスを同時に上抜いてきました。
安倍首相辞任の報道が出て下落しても、レジスタンスが今度はサポートになり死守したので、強いのかもしれません。
株高、クロス円高という意味ではリスクオンですね。
(出所:TradingView)
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日本株では、バフェットの動向がまた注目されています。
金鉱株の購入に続いて、次に狙ったのは日本の商社。
伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の5大商社を、それぞれ5%超まで取得したとのことです。
「世界中で合弁会社をつくっている」と、着目した理由を明かしていますが、中国とのデカップリング(非連動)の影響もあるかもしれないですね。
米中の分断により、日本が漁夫の利を得て商社の活躍の場が広がる、との発想です。
ウォーレン・バフェットは伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の5大商社をそれぞれ5%超まで取得した。米中の分断により日本が漁夫の利を得て商社の活躍の場が広がる、との発想があったのかもと大橋ひろこ氏は解説 (C)Bloomberg/Getty Images
【参考記事】
●豪ドル/米ドルは、ゴールドとともに上昇! 金鉱株急騰の裏にウォーレン・バフェット(8月20日、西原宏一)
●豪ドル/米ドルを押し目買い! バフェットも注目のゴールドより先に、豪ドルが動き出す(8月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米ドル/円、104円台半ば抜ければ100円が見えてくる! 動き出せば下落余地は大きい(7月27日、西原宏一&大橋ひろこ)
バフェットについては、2016年に低迷していたアップル株を購入して大成功した印象が強い。今回も注目です。
■豪ドル/米ドルの押し目買いを継続
今日で8月が終わり、明日からは9月。レイバーデー(9月第1月曜日)からマーケットのセンチメントが変わることもあるため、要注意です。
そのトリガーとなりかねないのが、米大統領選であり、米国の第4弾の新型コロナウイルス経済対策。
米議会は9月上旬に再開される見通しですが、与野党協議は難航。
今はマーケットも材料視していませんが、議会再開後に、やはり合意は難しいということになれば、株式市場が急落する可能性はゼロではありません。
【参考記事】
●短期で米ドル/円の押し目買いもいいかも! 104円台ミドルのブレイクに今回も失敗…(8月3日、西原宏一&大橋ひろこ)
今週(8月31日~)は豪州の金融政策発表もありますが、現状維持の見通し。
パウエルさんの発言もあり、引き続き、米ドル安が続くのでしょう。
粛々と上がっている豪ドルを、引き続き、買っていきたいと思います。
クロス円とドルストレート(米ドルが絡んだ通貨ペア)では、どちらがいいですか?
メイントレンドは、米ドル安。ドルストレートで豪ドル/米ドルを押し目買いしていけばいいのでしょう。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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