■GPIFのポートフォリオ変更も限界が近いか
しかし、裏でアベノミクスを支えたGPIFのポートフォリオシフトも、これ以上、外貨の比率を上げることは難しいでしょう。
2020年3月に外国債券を15%から25%に増やしたことで、現状の運用資産である約165兆円から単純計算すれば、約16.5兆円の外貨買い・円売りが生じることになります。
ただ、2019年度のポートフォリオ構成を見ると、すでに外国債券比率が約22%となっているので、実は約3%、5兆円の外債購入でポートフォリオシフトは完成します。
GPIFによる売買は、財務省が発表する「対外及び対内証券売買契約等の状況(月次・指定報告機関ベース)」を見ればわかるので、それを見てみましょう。
今年(2020年)の1月に約2兆円、2月に約2.2兆円、外国債券を買いました。3、4月で約9000億円売却し、6月には約1兆円買い、7月に約1.7兆円、8月に約1.8兆円買っています。
つまり、今年(2020年)はすでに、8兆円分の外債を購入しています。ということは、すでに外債ポートフォリオは25%以上になっているはずです。
外国株式の上昇が目覚ましいので、おそらくポートフォリオ全体が膨らんでいることから、外債購入の枠は大きくなっているでしょう。
また、ポートフォリオ運用も±6%の変動が認められています。31%まで外債比率を高めると、まだ7-8兆円は外債購入できますが、かなり買い余力はなくなっています。
■菅新首相誕生は、ラスボス登場感がある
安倍前首相は、月刊誌「Hanada」9月号におけるインタビューにおいて、菅前官房長官を有力な後継者の1人と言いましたが、「ただ、菅総理には菅官房長官がいないという問題があります」と答えていました。
菅前官房長官こそが「為替管理」の要であったとすれば、菅新首相誕生は裏の実力者が表に出てきた、ラスボス登場感があります。
しかし、安倍前首相が指摘したように、菅新首相には菅官房長官がいません。多忙な新首相が、3者会合開催の司令まで気が回るのでしょうか。
■バイデン氏が新大統領となれば、日米関係も大きく変わる
11月には、米大統領選挙が控えています。
一時はバイデン候補圧勝の雰囲気がありましたが、このところの情勢は流動的で、トランプ氏、バイデン氏、どちらが勝つか、まったくわからなくなってきました。
【参考記事】
●IMMでロングだからこそ、ユーロ/米ドルはロングでOK! 金調整時もほとんど下落せず(8月19日、志摩力男)
仮にバイデン氏が新大統領となれば、トランプ大統領、安倍前首相が作ってきた日米関係も大きく変わります。
当然、米ドル/円相場にも変化が出てくるものと思われます。
米ドル/円相場は膠着が続いていましたが、動きをせき止めていたしくみも変わるでしょう。相場変動に注意(期待)したいところです。

仮にバイデン氏が新大統領となれば、トランプ大統領、安倍前首相が作ってきた日米関係も大きく変わり、米ドル/円相場にも変化が出てくるものと思われると志摩氏は指摘 (C)Scott Olson/Getty Images News
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