■米大統領選、バイデン氏の勝利でほぼ確定
米大統領選は、バイデン氏の勝利で、ほぼ確定した状態です。
上院選の結果は、まだ確定していませんが、共和党が過半数を確保しており、一方の下院は民主党が過半数を確保しているため、ねじれ議会となります。
【参考記事】
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説
●米大統領選はバイデン氏勝利が既成事実化。米ドル安継続、豪ドル/米ドルの押し目買い(11月9日、西原宏一&大橋ひろこ)
市場参加者は、それを受けてリスク選好となり、株式市場は堅調に推移しています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
■市場は、ねじれ議会に楽観的では?
バイデン氏の公約の1つである増税は、ねじれ議会のため通りにくくなり、この点は、リスク選好の材料として、株式市場に好影響を与えています。
ただ、大規模なインフラ投資も通りにくくなります。こちらも、リスク選好の材料との見解もありますが、私としては、この点に関しては、リスク選好の材料にはならないと考えています。
【参考記事】
●バイデン政権では、ある程度の経済対策が実現し、増税はない。緩やかなドル安進行か(11月11日、志摩力男)
写真は次期米大統領への就任がほぼ確実となった民主党のジョー・バイデン氏。米議会がねじれになることで、増税も大規模なインフラ投資も承認されにくくなることが見込まれている。どちらもリスク選好の材料とする向きもあるが、バカラ村氏は懐疑的に考えている (C)Scott Olson/Getty Images News
そのため、市場は少し、楽観的になりすぎているようにも思います。
■ワクチンへの期待あるが、為替の反応は限定的
11月9日(月)に、ファイザー社のワクチンで、有効性が確認されたとの発表で、リスク選好の動きとなり、米ドル/円は約2円、急騰しました。
【参考記事】
●新型コロナのワクチン開発期待で、市場はリスクオン。豪ドル/円は80円へ向けて上昇(11月12日、西原宏一)
そして、昨日(11月16日)は、モデルナ社のワクチンで、94.5%の有効性が確認されたと発表され、米ドル/円は50銭ほど上昇しました。
(出所:TradingView)
欧米では、新型コロナの感染者が増加傾向にあるため、ワクチンの開発は喜ばしい内容ですが、為替市場への反応は限定的となっています。
■株式市場は素直に堅調。季節性からも上昇しやすい
一方、株式市場に関しては、素直に堅調な推移となっています。
米大統領選が終わったことで、不透明感がなくなり、待機していた資金が投じられることや、季節性からも上昇しやすい時期になります。
【参考記事】
●じわじわとした推移で長期的に米ドル安へ。年末に向けたリスク選好の動きにも期待!(11月10日、バカラ村)
●米ドル/円は戻り売り。11月から年末にかけて、リスク選好の米ドル安に期待!(9月15日、バカラ村)
また、各国の中央銀行が緩和策を行っていることもあり、過剰流動性相場として、株式市場は堅調になりやすいことになります。
■為替市場は、複雑で難しい動き
ただ、為替市場に関しては、リスク選好になったとしても、動きは期待しにくいと考えています。
リスク選好のときは、「米ドル安・円安」というのが、今までの動きですが、各国が低金利のため、その動きも限定的となっています。
米国は、大規模な財政出動で財政赤字になり、その点から米ドル安、という考え方もできます。ただ、長期的には、その動きは期待できると思いますが、短期的には、積極的に米ドルを売るような材料でもないと思います。
しかし、「株高=米ドル安(株安=米ドル高)」という動きは、大きくはないものの、出てきています。
(出所:TradingView)
そのため、株式市場は堅調な動きがはっきりしていますが、為替市場は複雑で難しい動きが続いています。
■ユーロ/米ドルは1.16ドルで底をつけた可能性!
長期的には米ドル安ではないか、という考えのままですので、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは、上昇するのではないかと考えています。
ユーロ/米ドルは、チャートからは、1.1600ドルで底をつけたと考えています。
(出所:TradingView)
もし、ここを割れるようなことになれば、米ドル安の考えを改めないといけないことになりますが、1.16ドルがサポートされていれば、まずは1.20ドルをトライし、そして、長期的には1.24ドルの高値もトライする動きが期待できるのではないかと考えています。
【参考記事】
●じわじわとした推移で長期的に米ドル安へ。年末に向けたリスク選好の動きにも期待!(11月10日、バカラ村)
●新型コロナ感染者が少ない豪州に注目! 豪ドル/米ドルは0.75ドルを目指す展開に(11月5日、西原宏一)
■ブレグジット協議、合意なら英ポンド/米ドルは1.34ドルも
11月19日(木)には、EU(欧州連合)首脳会議が開催されます。
ブレグジット(英国のEU離脱)交渉が、毎日のように継続していますが、まだ合意に達しておらず、残された時間も、あとわずかです。
【参考記事】
●ブレグジット=英国のEU離脱とは? 欧州連合離脱の経緯、離脱までの過程を解説
最終的には、時間ギリギリで、枠組みだけの合意にたどり着くと考えており、そのときは、英ポンドは上昇すると思いますので、英ポンド/米ドルでは、昨年(2019年)や今年(2020年)の高値水準となる、1.34ドルへの上昇も期待できるのではないかと考えています。
【参考記事】
●注目はブレグジット交渉! FTAの協議合意なら英ポンド/米ドルは1.34ドル台到達か(10月13日、バカラ村)
(出所:TradingView)
■英ポンド、いつ動き出しても不思議ではない
ただ、可能性は低いと思いますが、合意なき離脱となれば、英ポンドは急落することになると思います。
そのときは、英ポンド急落だけでなく、円高や、オセアニア通貨の下落といったような動きにもなると考えています。
ブレグジット交渉も大詰めを迎えているため、英ポンドは、いつ動き出しても不思議ではない時期に入ってきています。英ポンドのトレードをするのであれば、リスクに気を付けるべきだと思います。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)