■菅総理もバイデン氏に祝福のツイート
米大統領選は、バイデンさんの勝利となりそうですね。
トランプさんからの敗北宣言は、まだ出ていませんが、菅総理が祝福のツイートを発信するなど、既成事実化しつつあります。
【参考記事】
●米大統領選とは? 制度のしくみや特徴、米ドルなどの為替相場や株価への影響を解説
ジョー・バイデン氏及びカマラ・ハリス氏に心よりお祝い申し上げます。日米同盟をさらに強固なものとするために,また,インド太平洋地域及び世界の平和,自由及び繁栄を確保するために,ともに取り組んでいくことを楽しみにしております。 https://t.co/afTtvb9lfz
— 菅 義偉 (@sugawitter) November 7, 2020
今後、トランプさんからの訴訟が進むのでしょうが、これだけ差がつくと、バイデン勝利で確定といっていいでしょう。
残る焦点は議会選挙。民主党が上院も制して「トリプルブルー」となる可能性は、まだ残されています。
ジョージア州で過半数を獲得した候補者がいなかったため、2021年1月に決選投票となります。
得票率では共和党候補が優勢なため、上院は共和党が確保すると思いますが、僅差であり、不透明な状態が続きます。
■財務長官候補は「GAFA解体」を主張!?
米大統領選を受けて、株式市場は上昇しています。
(出所:TradingView)
ご祝儀相場というよりは、結果が出ないと動けない投資家が動き始めた、ということなのでしょう。
ここからは、バイデン政権の人事へと注目点が移行します。
国務長官に挙がっているのが、スーザン・ライスさん。オバマ政権時代に大統領補佐官などを務め、親中派と目される女性です。
日本にとっては、諸手を挙げて歓迎とはいかないですね。
一方、財務長官には、米大統領選の予備選にも出馬していたエリザベス・ウォーレン上院議員や、ブレイナードFRB(米連邦準備制度理事会)理事などが候補となっています。
ウォーレンさんは金融規制の強化や「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)解体」などを主張していた人ですね。
ウォーレン財務長官が誕生すれば、株式市場にはネガティブでしょうね。
■30兆円の大規模補正で1月解散へ
増税を掲げる米大統領の誕生を、株式市場がどこで織り込み始めるのかが気になりますが、今日(11月9日)の日経平均も強い。
前場は2万4799円と、1991年11月以来の高値まで達しています(※)。
(※編集部注:後場には一時、2万4963円まで上値を伸ばし、日中高値を更新した)
(出所:TradingView)
チャート的には買われすぎ水準にありますから、警戒が必要です。
一方、米大統領選が終わり、日本でも解散風が吹き始めましたね。
第3次補正予算の編成作業が、明日(11月10日)にも始まる見通しです。
当初は、10兆円から15兆円と言われていましたが、自民党の世耕参院幹事長は「30兆円ぐらいの規模があっていい」と発言しています。
与党幹部からは「1月解散」を示唆する声も出ており、2021年1月に総選挙となれば、日本への注目度が高まるかもしれません。
■米ドル/円の下落はどこまで続くのか?
為替市場では米ドル安が再開し、ユーロ/米ドルは1.19ドル直前まで、豪ドル/米ドルは0.73ドル手前まで上昇してきました。
【参考記事】
●米大統領選でバイデン氏勝利・上下両院も民主党優勢なら、ユーロ/ドルは1.24ドルへ!?(10月27日、バカラ村)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
米ドル/円も固いサポートだった104円を、やっとブレイクしました。
内外実質金利差の縮小などもあり、本邦勢が外債投資を手控えているようで、円安要因が剥落し始めています。
こうしたことも、円高が進んだ要因でしょうか。
(出所:TradingView)
下期以降、大手生保などは外債よりも、日本国債を選好する動きが強まっているのはたしかですね。
【参考記事】
●米ドル/円、104円が決壊すれば100円へ! 「トリプルブルー」でリスクオンは本当?(10月29日、西原宏一)
●米ドル/円は、大統領選をきっかけに大きく動く可能性! 選挙前に104円割れはないか(10月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
●米大統領交代で円高になれば、米ドル/円は100円を割り込み、少し大きな動きになるか(10月28日、志摩力男)
■一挙に95円、90円への下落はなさそう
日経平均と米ドル/円の相関性が切れていますが、これは続くのでしょうか?
(出所:TradingView)
足もとでは、株高・円高となっていますが、では、「株が下がれば円安になるか」と言われると、ピンときません。
FRB(米連邦準備制度理事会)が大規模な金融緩和を長期間、継続する以上、米ドル安は続くのでしょうし、過去、民主党政権下では円高になりやすいイメージもあります。
ただ、100円を割って、一挙に95円、90円ということもないでしょう。
■インフレを警戒した株高・ゴールド高・ビットコイン高
米ドル安の影響で、ゴールド(=金)が上昇しています。
株とゴールドが同時に買われるのは、インフレ警戒が高まっている、ということの示唆ですね。
(出所:TradingView)
ビットコインも上昇していますからね。
(リアルタイムチャートはこちら → 仮想通貨リアルタイムチャート:ビットコイン/円(BTC/JPY) 日足)
世界的な金融緩和で、法定通貨の価値が毀損されることへの警戒感もあるのでしょう。
そんな中、今週(11月9日~)は、ニュージーランドの中銀会合が開催されます。マイナス金利の導入も取り沙汰されていますが…。
今回は、据え置きの見通しです。動くとしても、まだ先なのでしょう。
■豪ドル/米ドルの押し目買い方針で!
今週(11月9日~)の戦略は、どう考えますか?
米ドル安の継続を見込んで、米ドル売りの継続でいいでしょう。
ユーロ/米ドルが上昇していますが、ユーロ圏での新型コロナ再拡大が懸念され、また、1.19ドルにある31億ドルのオプションが、上値を抑える可能性があります。
(出所:TradingView)
そのため、今週は、豪ドル/米ドルの押し目買いでいいのではないでしょうか。
ターゲットは短期では0.75ドルと見ていますし、中期では変わらず、0.80ドルと考えています。
【参考記事】
●新型コロナ感染者が少ない豪州に注目! 豪ドル/米ドルは0.75ドルを目指す展開に(11月5日、西原宏一)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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