■米長期金利、一時1.18%台まで上昇
今年(2021年)に入ってから米長期金利が上昇し、1月12日(火)には一時、1.18%台まで上昇しました。
(出所:TradingView)
昨年(2020年)後半の時点では、FRB(米連邦準備制度理事会)はまだ、追加の金融緩和を検討しているような状況でしたが、今年に入ってからはテーパリング(※)も話題になっており、その影響も重なって上昇しています。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
しかし、1月14日(木)にパウエルFRB議長が、資産購入の縮小についての議論は時期尚早との考えを示したことで、米長期金利の上昇も一服しています。
【参考記事】
●金融緩和し過ぎとの警戒感で、米ドルは少し反発か。中長期のドル安は変わらない(1月13日、志摩力男)
■景気回復への期待出やすい、株式は押し目買い
1月15日(金)には、バイデン次期大統領が、1.9兆ドル規模の追加経済対策を発表しました。
事前予想と、ほぼ同じような内容だったこともあり、米国株などは利食い売りが出たことで、やや軟調に推移しています。
さらに、バイデン次期大統領は、2月の上下両院合同会議で、第2弾の経済回復プランを公表すると述べています。
1.9兆ドル規模の追加経済対策を発表したバイデン次期大統領。2月には第2弾として、より広範な経済回復プランを公表する予定も明らかにしている (C)Scott Olson/Getty Images News
まだ実現性には疑問符がつきますが、景気回復への期待が出てくるため、米国株などは下がれば買いが出てくると考えられます。
今は調整のような推移をしていますが、今後も期待感から大きく崩れることはないと思いますので、株式は押し目買いのトレードがいいのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
■今週の最注目は、イエレン氏の指名承認公聴会
今週(1月18日~)のイベントとしては、19日(火)に、新財務長官に指名されたイエレン氏の承認公聴会、20日(水)にバイデン新大統領の就任式、21日(木)にはECB(欧州中央銀行)理事会とラガルドECB総裁の記者会見があります。
ECB理事会は無風通過だと思いますので、重要なのはイエレン氏の承認公聴会と、バイデン新大統領の就任式になります。
WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)によると、イエレン氏は公聴会で、「米ドル安を目指さない、通貨の価値は市場によって決定されるべき」と述べる見通しだと報道されています。
【参考記事】
●イエレン氏、ドル安を目指さない方針明言へ(WSJ)(外部サイトに遷移します)
1月19日に行われる米財務長官の指名承認公聴会で、米ドル安を目指さない方針を明言する見通しであることが伝わっている前FRB議長のジャネット・イエレン氏 (C) Bloomberg/Getty Images
これを受けて、やや米ドル高に推移していましたが、通貨の価値が市場によって決定されるのは当たり前でもあるため、為替市場への影響はほとんどない状態です。
ただ、バイデン新大統領の就任式では、共和党との橋渡し役として、イエレン氏がどの程度うまくできるのか、それが注目されるポイントだと思います。
1.9兆ドル規模の財政出動も、実際には1兆ドル程度になるのではないか、との予想もあり、実現はイエレン新財務長官の手腕にもかかってきます。
■米長期金利は上昇、資金は海外から米国へ
今後に関しては、市場の注目は米長期金利になり、これが一服していることもあって、他の金融市場も調整しやすい状況だと思います。
ただバイデン次期大統領の財政政策からは、米長期金利は今後、上昇していくものと思います。
(出所:TradingView)
インフラ投資などもあり、海外から米国へ資金が流れることも考えられます。
【参考記事】
●米ドル/円は目先、105円を狙う動きに期待! 「株高・米ドル安」は止まり、資金は米国へ(1月12日、バカラ村)
そのため、米ドルが下がったところでは、米ドル買いが出てきやすいと思います。
(出所:TradingView)
IMM(国際通貨先物市場)における投機筋のポジションも、さらに米ドル売りに偏ってきています。
このポジションも、まだ巻き戻されるのではないかと考えています。
■トレードは米ドルの押し目買い方針で
米ドル/円は、104.40円で上昇が止まりましたが、大きくは102.50~105円のレンジでの押し目買い。
【参考記事】
●米ドル/円は目先、105円を狙う動きに期待! 「株高・米ドル安」は止まり、資金は米国へ(1月12日、バカラ村)
●【2021年の見通し】米ドル/円、目先は97円。その後、年末に向けて110円へ上昇の可能性(2020年12月22日、バカラ村)
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルも、MACDなどがダイバージェンスしており、戻り売りのトレードでいいのではないかと考えています。
【参考記事】
●米追加経済対策に絡むサプライズ報道で米ドル反発。 ユーロ/米ドルは戻り売りで(1月14日、西原宏一)
●FX初心者のための基礎知識入門:MACD
●FX初心者のための基礎知識入門:ダイバージェンス
(出所:TradingView)
英ポンド/米ドルは、1月12日(火)にベイリーBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])総裁が「マイナス金利には多くの問題がある」と、導入には否定的な発言をしたため、1.3700ドル付近まで上昇しましたが、こちらも戻り売りでいいのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
投機筋のポジションが米ドル売りに偏っていることや、米国へ資金が流れる可能性から、米ドルの押し目買いで考えています。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)