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■新型コロナ感染者数減少で、消費センチメント改善

 ＴＵＩＫ（トルコ統計局）とトルコ中銀が共同で行っている世論調査によると、消費者信頼感指数は２月に84.5になりました。これは、前月比で1.5％の上昇になります。

 トルコの消費センチメントの改善は景況感にも表れていて、向こう12カ月の景気動向指数は1月の88.2から４％上昇し、91.7となりました。

 センチメントが改善した背景に、トルコの新型コロナウイルス感染者の減少があります。12月に１日で３万人を超えていた新規感染者の数は、足元で8000人程度まで下がっています。

（出所：Worldometerのデータを基にザイFX！編集部にて作成））

 トルコのワクチン接種プログラムも急速に進んでいます。最初のワクチン接種が、昨年（2020年）12月末に医療従事者を対象に行われてから約２カ月で730万人へのワクチン接種が完了しました。

 トルコが使っているワクチンは、中国のシノバック社製ですが、４月までにドイツのバイオンテック社製のワクチンを約500万人分、購入することになっています。

 トルコ政府は引き続き、週末の完全ロックダウン（都市封鎖）と平日の部分的ロックダウンを実施していますが、３月１日（月）から一部の都市でロックダウンが解除される見通しです。

 人口密度が低く、ワクチン接種が進んでいる都市の方が先にロックダウン解除となって、イスタンブールやアンカラなどの大都市は最後にロックダウン解除になる予定です。

【参考記事】
●長引けばトルコリラ/円は13円割れか…！コロナ再拡大でトルコがロックダウン再開（2020年12月2日、エミン・ユルマズ）
●ロックダウン緩和期待高まるトルコ。2021年前半の利上げ幅は1.00～1.50％が限界か（1月13日、エミン・ユルマズ）

■コモディティ価格上昇がトルコ経済改善の重しに…

 トルコ経済にとってポジティブな流れが続いている一方で、懸念点も浮上しています。それは、コモディティ価格の上昇です。

 前回のコラムで、米国の大雪が原因で原油と天然ガスの価格が高騰していることに言及しました。

【参考記事】
●エネルギー価格上昇で、トルコ経常赤字は大幅拡大か。トルコリラ売り圧力に警戒！（2月17日、エミン・ユルマズ）

 実は、価格上昇が続いているのはエネルギー関連のコモディティだけではありません。銅、鉄スクラップ、ニッケル、リチウムなどの金属に加え、小麦やトウモロコシなどの穀物価格も上昇しています。

銅価格 日足

（出所：ＩＧ証券）

 コモディティ価格の上昇が続くと、トルコのような新興国でインフレ上昇圧力を増大させ、通貨下落を加速させるという悪循環を作ってしまう恐れがあります。

■ワクチン相場による、リラの上昇はいったん落ち着いたか

 今週（2月22日～）のトルコリラですが、先週（2月15日～）、7.00リラの大台を割っていた対米ドルで再び7.00リラ台に乗せ、対円でも15円を割ってしまいました。

米ドル/トルコリラ 日足

（出所：ＩＧ証券）

トルコリラ/円 日足

（出所：ＩＧ証券）

 トルコ中銀は、2月18日（木）に行われた政策会合で、政策金利を据え置きました。

 これは市場コンセンサスどおりの結果で、投資家にはポジティブに評価されていましたが、経済ブレーンの交代が起きた昨年（2020年）11月以降、ずっと上昇し続けてきたトルコリラは、ここで、いったん上昇が落ち着いたと見ています。

【参考記事】
●利上げならトルコリラ/円は13.50円超え！ エルドアン大統領も限定的な利上げに賛成か（2020年11月11日、エミン・ユルマズ）

 トルコに限らず、ワクチン相場開始以降、新興国に大量の資金流入がありましたが、ワクチン相場はそろそろ息切れです。さまざまなリスク資産とともに、新興国通貨にも利益確定の売りが入るタイミングだと考えています。

●ＦＸ会社徹底比較！：トルコリラ/円が取引できるFX会社はここだ！