■ここに来てようやく、全体的な米ドル高傾向が鮮明に
みなさん、こんにちは。
梅雨と言われても全然雨が降らす、梅雨っぽくないなと思っていましたが、ここに来てようやくと言うか、雨模様の日が続くようになってきました。
さて、私はこのコラムの中で、新型コロナウイルスのワクチン接種が米国で急速に広がり、米国の景気回復が本格化してくるという実情を背景にして、中期的には米ドル高になっていくであろうと、ずっと予想をしてきたのですが、なかなかそういう展開になってこなかったので、辛抱の日が続いていました。
【参考記事】
●市場はFOMCの結果に悪乗り! しっぺ返しを食らった! 今後は強い米指標で米ドル優位へ(6月24日、今井雅人)
●FOMCで将来的な利上げの可能性示唆! 徐々に米長期金利や米ドル上昇の流れへ(6月17日、今井雅人)
●底値が切り上がる米ドル/円を109円台前半で押し目買い。米雇用統計がとても重要に!(6月3日、今井雅人)
●正常な市場の反応は長続きしなさそう。米ドル/円の押し目買いが一番安全か(5月20日、今井雅人)
●失業手当の充実が、悪い雇用統計の原因か。より実態を反映しているのは強い米CPI(5月13日、今井雅人)
●米国の強さを改めて痛感。それでも、米ドル高がどんどん進行しない理由は?(5月6日、今井雅人)
●米長期金利が比較的堅調なのに米ドル全体の動きがさえず、円安が進んでいるのはなぜ?(4月30日、今井雅人)
●米ドルの大崩れはないだろう。最近の為替市場で起こった不思議な動きについて解説(4月22日、今井雅人)
しかし、ここに来てようやく、全体的な米ドル高傾向が鮮明になってきました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
■米長期金利は少し時間をおいて、あとで上昇してくるのかも
本来であれば、米景気回復に伴うインフレ期待から、まず米金利が上昇し、それに合わせて米ドルも上昇する、というシナリオが一番綺麗ではありますが、実際の米国の長期金利はずっと横ばいが続いています。
10年物国債の利回りを見ると、直近で1.47%程度と1.5%近辺でウロウロした動きとなっています。
(出所:TradingView)
その一方で、米ドルは上昇傾向になってきた、というのが現在の流れですが、米長期金利は少し時間をおいて、あとで上昇してくるのかもしれません。
■米国の各州、雇用増の妨げとなる失業手当を縮小、廃止
そして、この米ドル高の動きが今後本格化していくのかどうかを占うのが、7月2日(金)に発表される米国の雇用統計です。
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●米雇用統計
これまでの数ヵ月間、米国の雇用情勢はワクチン接種の普及に伴って大きく伸びるだろうと、エコノミストなども予想をしてきましたが、結果は何度もその予想を下回り、市場関係者をがっかりさせてきました。
【参考記事】
●ロシアの「脱米ドル路線」とは? 巨大国家ファンドに占める米ドルの割合がゼロへ!?(6月10日、今井雅人)
●失業手当の充実が、悪い雇用統計の原因か。より実態を反映しているのは強い米CPI(5月13日、今井雅人)
その原因だと言われているのが、米国の失業手当の手厚さでした。
新型コロナウイルス対策として、米国の各州は競うように失業手当を充実させてきました。
それは多くの働く人たちの支えになったのは事実ですが、コロナウイルスの感染が収まってきて、また、これで皆が働ける環境になってきたときに、働かなくてもお金がもらえるのですから、そのほうがいいと考える人がたくさんいて、雇用者が思ったより増えていかなかったという現象が起きていたようなのです。
確かに、失業保険の申請者数の推移を見ても、その傾向は見られましたので、ある程度、事実かもしれません。
こうした課題に対して、各州は6月から制度の縮小や廃止の措置をとり始めました。
ただ、この動きが本格化してきたのは6月中旬以降が多かったようですので、今回の米雇用統計にどれぐらい反映しているかはわかりません。
ですから、今回の米雇用統計も期待どおりの結果となるか、正直やや不安ではありますが、これまでとは変わってくるのではないかという希望を持っています。
市場関係者の中では100万人ぐらい雇用者が増えるのではないか、という見方も出ているようです。
■米雇用統計が良ければ、米ドル/円は中期で115円視野に
今回の結果が予想どおり、あるいは予想を上回る結果となってくれば、この米ドル高の流れは本格化してくる可能性が高くなってきます。
米ドル/円を例にとってみます。米ドル/円はなかなか111円をしっかり超えることができない状態が続いていましたが、ここに来て、111円をしっかりと上抜けしてきています。
これがもし、米雇用統計がいい結果となれば、112円に達し、中期的には115円が視野に入ってくると思っています。
(出所:TradingView)
その他のユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルなどでも同様に米ドル高の動きとなってくるのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
そのときは、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は頭打ち、あるいは下落傾向に入ってくると思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
逆に米雇用統計の結果が悪いと、元の木阿弥でレンジ相場に戻ってしまいそうです。
いずれにしても、米雇用統計の結果を期待して、待ちたいと思います。
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