注目のFOMCは、大方の予想どおりの内容で無風
みなさん、こんにちは。
まず、今週(7月26日~)最大の注目イベントだったFOMC(米連邦公開市場委員会)は無風。
FOMCは、7月27日、28日両日に開催した定例会合で、FF金利(※)の誘導目標レンジを0.00-0.25%で据え置きました。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
そして、新型コロナウイルスの変異株(デルタ株)が成長を脅かすリスクが高まっているものの、労働市場が力強さを増し、インフレが高進する中で、米国経済への強力な支援を弱める時期が近づきつつあることを示唆しました。
しかし、パウエルFRB議長は、その時期が訪れるのはまだしばらく先になるとの認識を表明。
写真はパウエルFRB議長。注目のFOMCは、大方の予想どおりの内容で無風だった (C)Bloomberg/Getty Images News
つまり大方の予想どおり、「FOMCはテーパリング(※)へと経済は進展したが、その時期はまだ先 」との結果に。
(※編集部注:「テーパリング」とは、米量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
多くのマーケット参加者のFOMCに対しての印象は以下のとおり。
ルネサンス・マクロ・リサーチの米経済責任者、ニール・ダッタ氏は「FOMCはテーパリングのカウントダウンを始めようとしている。それは今ではないし9月でもないが、今年遅くか来年早くに資産購入ペースを減速させると見込むべきだ」と述べた。
出所:Bloomberg
これは、私の米国の友人が「FOMCは今年(2021年)ではなく、来年(2022年)早くに資産購入ペースを減速させる」との見解を年初から一貫して主張していることと同じ。
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中国当局による規制強化により、香港ハンセン指数急落
よって、今週(7月26日~)の注目はFOMCではなく、香港ハンセン指数の続落となります。以下は、香港ハンセン指数の日足チャートです。
(出所:TradingView)
2月のピーク時から一時、約18%下落しています。
これは、今週(7月26日~)はじめ、中国が1000億ドル規模の教育テクノロジー業界に対する包括的規制を発表したことが要因。
中国、学習塾事業を非営利化-外国からの投資や株式公開も禁止
出所:Bloomberg
そして、米上場の中国大手企業98銘柄で構成するナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は、3営業日の下落率が約19%と、過去最大を記録。構成銘柄の時価総額は2月の高値から8290億ドル(約91兆円)と、約半分吹き飛んでいます。
中国株は急落も米国株は底堅く、為替相場を難しくしている
この中国株の下落により、マーケットは一時、典型的なリスクオフの展開となります。
しかし、中国株が下落するも、米国株は相変わらず底堅さをみせており、これが今週(7月26日~)の為替を難しくしています。
(出所:TradingView)
米国株に対する見方は、以下のように強気なまま。
リテール投資家の弾薬は十分-米国株の下げが24時間以上続かない理由
米国株市場のリテール投資家は、マクロ経済面のいかなる脅威にもひるまない。個人投資家の資金の潤沢さを見る限り、この事実は当分揺らぎそうもない。
出所:Bloomberg
端的に言えば、米国の個人はまだまだ投資するキャッシュ(現金)が潤沢にあり、米国株が調整すれば、すかさず押し目買いをするといったところ。
ただ、「米国株の下げが24時間以上続かない理由」というタイトルが躍ると、個人的には逆に「米国株は大丈夫なのか?」と思ってしまいます。
それは、「米国株の下げは24時間続かない」のであれば、下がれば米国株を買っておけばOKと安易に考える投資家が増えるため。
確かに、中国株が急落しても本稿執筆時点での米国株への影響は限定的。これが、今週(7月26日~)の為替のトレードを難しくしています。
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教科書的にリスクアセットの豪ドル/円を売っても、あまりワークしない
シンプルに中国株、米国株とも急落してくれれば、クラシカルなリスクオフ相場ということになり、リスクアセットの豪ドル/円を売ればいいのですが、米国株が底堅いため動けず。
以下の表は、直近5営業日の主要通貨の対米ドルの動きです。
(※筆者作成)
大きな動きはありませんが、強いのはスイスフランや英ポンドで1.00%程度上昇。反対に弱いのは、ニュージーランドドル、豪ドル、円です。
まず、ニュージーランドドル、豪ドル、円が弱いのは、中国当局による一部産業の締付け強化が引き続き中国株の下落を誘引しているため、総じてオセアニアやアジア通貨が弱いということになります。
よって、中国株下落を受けて、教科書的にリスクアセットの豪ドル/円を売ってもあまりワークしないという結果に。
(出所:TradingView)
シンプルなのは、中国懸念から、中国との関連性が低い、カナダドル、英ポンドを買って、中国との関連性の高い、オセアニア通貨や円を売ることを考えたほうがいいかもしれません。
先週(7月19日~)までは、マーケットが織り込んでなかった中国当局による一部産業の締付け強化による中国株の下落。それに対する、米国株の底堅さ。
これが続くかどうかを見極めるのが、今週(7月26日~)の為替市場にとって重要なファクターとなりそうです。
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