「1月効果」によるリスクオンは長くは続かず…。米ドル/円は116円台回復
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします
前回のコラムでご紹介させていただいたように、年末年始は1月効果(※)の影響で総じてリスクオンの展開。
(※編集部注:「1月効果」とは、1月のリターンがほかの月に比べて高い現象のことを指す)
【参考記事】
●【2022年の見通し】2022年も豪ドルに注目!鉄鉱石の反発は、中国経済復活の兆しか?豪ドルは主要通貨に対し、大きく上昇しそう(2021年12月23日、西原宏一)
米国株は軒並み上昇!
リスクアセットの豪ドル/円も、一時84.29円まで上昇。
(出所:TradingView)
筆者も含めて、多くの投資家は1月効果の影響で1月中旬頃まではリスクオンで推移すると想定していたと思います。
ただ、1月効果は最初の週も持ちこたえられませんでした。
その要因は、米金利の急騰。この背景には、年が変わって、米系ヘッジファンドが米金利の急騰にリスクを取り始めたことが挙げられます。
そして彼らの想定どおり、1月4日(火)に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(12月14日~15日分)では、米国経済が力強さを増し、インフレ上昇が加速すれば、従来の想定よりも早期かつ迅速に利上げに踏み切ることもあり得るとの見方が示されました。
これを受け、年初から続伸していた米金利は上昇が加速。
米10年債利回りは、一時1.7140%まで急騰しました。
(出所:TradingView)
呼応して、米ドル/円は一時116.35円まで急騰しました。
(出所:TradingView)
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高インフレで一番困るのはバイデン大統領。2022年もインフレ高騰なら、FRBに責任転嫁か
ただ、米金利が続伸することで米ドル/円の行方以上に注目が集まるマーケットがあります。それは、米国株です。
1月3日(月)に米金利が急騰した局面では、まだ米国株は底堅く推移していました。
ところが連日急騰する米金利を横目に、まずナスダック総合指数が反落。
(出所:TradingView)
そして前述のように、FOMC議事要旨が公表されると、NYダウやS&P500指数も大幅下落しています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
こうした米金利の動きについて、米国の友人が興味深いコメントをしていました。
まず、昨年(2021年)からのインフレの高騰で一番困っているのがバイデン大統領。
彼が支持率を大きく落としている要因は、米国のインフレの高騰。
そのため、11月にバイデン大統領は「インフレ傾向の改善が私の最優先課題」とコメントしています。
それに向けて、まずバイデン大統領は石油備蓄の放出という手段をとって、石油価格の急騰に対して対策を打ってきました。
しかし、それ以降、彼はインフレに対して何らかの対策を打ったわけではありません。
彼にとっては、それで十分な対策を取ったという認識ではないかと友人は指摘しています。
なぜなら、仮に2022年もインフレが高騰すれば、バイデン大統領はFRB(米連邦準備制度理事会)が動かないからインフレを止められなかったと批判することができるからだというわけです。
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米国株に変調の兆しがあれば、リスクアセットに売り圧力。豪ドル/円の行方に注目
昨年(2021年)からFRBはインフレの高騰を「一時的」であるなどとし、なかなか金融緩和の縮小を開始しませんでした。
つまりバイデン大統領は、インフレに対してすでに対策は打っているが、FRBが動かないことにはインフレは収まらないという反論をすることができるわけです。
パウエル議長もこのあたりのことは理解したうえで、クリスマス商戦の好調さや、米国株の底堅さを確認して、金融緩和縮小を加速させるのではないかというのがファンド勢の読みのようです。
金融緩和縮小を加速させれば、インフレ抑制に効果はあるでしょうが、米国株にとってはマイナスとなります。
米国株に変調の兆しが見えれば、リスクアセットである豪ドルやニュージーランドドルには売り圧力がかかります。
米金利の上昇に呼応して、年初に米ドル/円が大きく値を上げましたが、米国株が崩れればその勢いも失います。
結果、リスクアセットの豪ドル/円に大きな売り圧力がかかるのではないかと考えます。
(出所:TradingView)
1月効果が剥落した年初のマーケットの注目は米金利の動向。
バイデン政権とFRBの駆け引きから考えれば、当面、米金利の上昇は継続する可能性が濃厚。
結果、リスクオフの環境下、下値余地が拡大した豪ドル/円の行方に注目です。
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