本日のニューヨーク為替市場では、4月卸売物価指数(PPI)をまずは確かめてから、ドルの方向感を測る展開となりそうだ。前日に発表された同月消費者物価指数(CPI)は約3年ぶりの高水準を記録し、年内利下げ観測はほぼ消滅どころか利上げ予想が3割強まで浮上した。足もとは米金利の上昇がドルの支えとなっているが、金利高が行き過ぎれば米国債売り・株安・ドル安のトリプル安に転じかねない綱渡りの相場環境にある。
今回のPPIは、前日のCPIに続くインフレ加速の再確認となるかという点で意味を持つ。市場予想はすでに、前年比4.8%と前回を0.8ポイント上回っている。もし5%に近づくようなら、エネルギーコストの上昇が川上から川下まで価格体系を押し上げているという見方が強まり、米金利には一段の上昇圧力がかかりやすい。
原油相場については、供給不安がなかなか払拭されない。イランの主要輸出拠点であるカーグ島のタンカー稼働が、数日にわたり停止していることが懸念を強めている。エネルギー高が続くなかでPPIも上振れとなれば、米10年債利回りが年内に5%に達するとの見方が現実味を帯びてくるだろう。
ただし、金利上昇がそのままドル高に直結するとは限らない。4月CPIの結果を反映した実質賃金が3年ぶりのマイナスに転じ、足もとの貯蓄率も3年5カ月ぶりの低水準まで低下した。ガソリンや食料品の価格上昇が家計を圧迫し、消費者マインドは過去最低圏で推移している。
物価高が個人消費の息切れを招き、景気失速への懸念が強まる局面では、米国債が売られながらも株も売られ、ドルへの信認が同時に揺らぐシナリオが浮上しやすい。トランプ大統領がイランの核保有阻止を最優先とし、米国民の経済的苦境は意思決定に影響しないと明言したことは、エネルギー高の長期化を市場に意識させる発言でもあった。
14日から始まる米中首脳会談も視野に入る。イランへの原油依存を続ける中国に対し、トランプ氏が圧力をかける構えを見せており、エネルギー問題や対イラン制裁を巡る米中の摩擦が会談の焦点の一つとなる。協議が建設的に進めばリスク選好に傾きやすい一方、台湾問題や技術規制を巡る対立が表面化すれば地政学リスクが再燃し、金融市場を一段と不安定にしかねないだろう。
想定レンジ上限
・ドル円、21日移動平均線158.29円を上抜けると日足一目均衡表・雲の上限158.82円
想定レンジ下限
・ドル円、日足一目均衡表・雲の下限156.28円
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