米ドル/円はベッセント米財務長官来日で乱高下か。介入で下がったところの米ドル買いには一定のリスクがある
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
トレーダー西原 今週はいよいよ、ベッセント米財務長官が来日しますね。米ドル/円が乱高下すると想定されますが、頑張っていきましょう!
それでは叶内さん、さっそく先週(5月4日〜)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 米国株は強気展開が続いています。
S&P500は前週末比2.33%高で、約1年7か月ぶりの6週続伸となりました。フィラデルフィア半導体株指数SOXは3月31日(火)からの18連騰から休みを入れつつ、さらに上値を伸ばし、先週末から11.1%上昇し最高値を更新しています。
ナスダック総合指数は4.41%高で6週続伸。米国のアドバンスト・マイクロ・デバイシズやサンディスクなどが好決算を発表していたこと、4月8日(水)には半導体インテルとアップルが半導体供給について初期的な合意に達したとWSJ(ウォールストリート・ジャーナル)紙が伝えるなど、好材料が相次いでいます。
4月27日(月)夕に報じられた、OpenAIの業績不安から一度売られたエヌビディアも再び高値をうかがう位置となっています。
これを受けて日経平均も2週ぶりに大幅反発。2日間しか取引はありませんでしたが、前週末比3200円(5.4%)高の6万2713円で引けています。GW(ゴールデンウィーク)明けの5月7日(木)には過去最大の上げ幅を記録しました。けん引役のAI・半導体セクターでは中小型株まで買われて、東証グロース250指数も週間で7.4%上昇しました。
一方、NYダウは0.2%高と出遅れ、日本のTOPIXは2.7%高にとどまっています。
中東情勢をめぐっては、戦争終結に向けた覚書で合意に近づくとの報道のあと、再び攻撃が確認されるなど決定的な進展はなく、原油価格は高止まり状態です。ただ、5月8日(金)発表の4月雇用統計で雇用者数の伸びが予想を上回るなど、米国経済の堅調さを裏付ける指標も多く、楽観ムードは壊れていません。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 先週の為替市場を語るには、まず4月30日(木)に政府・日銀がついに実弾介入に出たことで、米ドル/円が一時大きく値を下げたことを振り返る必要があります。
4月30日(木)午後3時台に、160.72円まで円安が進行。これを受けて三村財務官は「いよいよ断固たる措置をとる時が近づいている」「これは最後の退避勧告として申し上げる」と異例の強い口調で発言。 片山財務相も「外出の時もお休みのときもスマホを離さずに」と警告しました。
その後実弾介入が行われ、日本時間夜7時頃から円高が急速に進み、午後8時台には一時155円台半ばまで到達。 約5時間で5円もの円高が進行しました。 報道によれば、今回の介入は5兆円前後の大規模なものであったと言われています。
第2弾は日本が休場だった5月4日(月)の介入らしき動き。米ドル/円が157円台前半から155円台後半へ、約10分程度の間に150pips円高に振れる局面がありました。祝日の薄商いを狙った介入とマーケットは判断しています。
第3弾は5月6日(水)午後の急落。158円程度から155円程度へ約30分程度の間に約3円急落。短期間での激しい変動であり、政府による為替介入の実施が強く疑われています。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
これだけ大規模な介入が行われていますが、週末の米ドル/円は156.70円レベルに反発して引けています。
マーケット参加者の多くは原油が高止まりしていること、日米の金利差がなかなか縮小しないことなどから、政府・日銀の介入だけでは円安の流れを変えることはできず、介入が入ったところは米ドル買いのチャンスと考えています。
ただ、その見方には一定のリスクがあります。その理由は展望で触れますね。
それでは叶内さん、今週(5月11日~)のイベントと株の注目点をお願いします。
米ドル/円は戻り売り継続! 政府・日銀は160円レベルを防衛し、少なくとも155円以下に抑えたいと想定か
MC叶内 AI・半導体関連が相場を動かしているので、5月14日(木)のアプライド・マテリアルズの決算とその後の反応はチェックしたいところです。翌週(5月18日~)になりますが、5月20日(水)にはエヌビディアが決算発表予定です。
国内は決算発表が目白押しです。AI関連の電線大手が注目です。防衛関連やゼネコンも気になります。資材不足についてのコメントなども聞きたいところです。
中東情勢は予断を許しませんが、5月14日(木)~15日(金)に北京で米中首脳会談が予定されており、これに向けて状況が改善されるとの期待があるようですが、「TACO」に続き「NACHO」という言葉が流行りだしました。NACHOとは「Not A Chance Hormuz Opens(ホルムズ海峡が開かれる見込みはない)」という意味だそうです。
ベッセント米財務長官は5月11日(月)~13日(水)に訪日予定で、高市首相と片山財務相と会談する方向です。
日銀金融政策決定会合の主な意見 (4月27日~28日開催分)は12日朝に公表されます。5月12日(火)に米10年債入札。そして、5月15日(金)でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が任期満了となります。
経済指標では、米国で5月12日(火)に4月CPI(消費者物価指数)、5月13日(水)に4月PPI(生産者物価指数)、5月14日(木)に4月小売売上高、5月15日(金)に4月鉱工業生産が発表になります。なかでも注目のCPIの市場予想は前年比+3.8%、3月から伸びが加速する見込みになっています。早期の利下げは難しいというムードになるかもしれません。
国内では5月12日(火)に3月全世帯家計調査、3月景気動向指数、5月13日(水)に4月景気ウォッチャー調査が発表されます。そのほか、中国で5月11日(月)に4月CPIとPPIが発表されます。
需給面では、米国ではコールオプションの出来高増加が話題になるなか、米国版SQ(ウィッチング)を5月15日(金)に控えます。米国税還付による資金流入期待は5月中旬まで、そろそろ一巡します。
為替市場の見通しはいかがですか?
トレーダー西原 マーケットの一部では、昨年(2025年)9月11日(木)の日米財務相共同声明(当時はベッセント財務長官と加藤財務相)ですでに介入の合意が取れていると言われています。声明には以下のような内容が含まれています。
2025年9月11日の日米財務相共同声明
「為替レートは市場で決定されるべき」
「過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得る」
「為替介入は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きに対処するためのものに留保されるべき」
(出所:財務省)
この声明での合意が初めて実践されたのが、1月のNY連銀によるレートチェックといわれています。 その後、4月30日(木)の政府・日銀による実弾介入という流れになります。
こうした流れから考えれば、160円を大きく超えての円安はなかなか容認されないのではと想定しています。
一方、160円レベルは防衛するとしても、どの程度まで円高に誘導するのかはまだはっきりしていません。
本稿執筆時点で米ドル/円は157.00円レベルで推移しており、3円程度の上昇ですぐ160円台に到達してしまうことから、政府・日銀は少なくとも155円以下には抑えたいと想定していると考えています。
ベッセント米財務長官、高市首相、片山財務相との会談に注目。基本的には米ドル/円の戻り売りを継続する方針です。

(出所:TradingView)
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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