米ドル/円は162.84円と約40年ぶり高値まで急伸も、160.49円まで値を下げる乱高下相場に。株はAI・半導体関連の見方が分かれる
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
トレーダー西原 それでは叶内さん、さっそく先週(6月29日〜)の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 AI・半導体関連の見方が分かれ、不安定な値動きとなりました。一方、景気敏感・出遅れ株が物色される流れが続き、米国ではNYダウは最高値を更新。週間では約2%高で4週連続上昇、これは2024年10月以来の長さです。
S&P500は1.76%高で、2週ぶりの反発。アップルが9%近い上昇となるなどマグニフィセントセブン(※)が買われました。指数は最高値から1か月ほど、高値圏での一進一退に見えます。
(※マグニフィセントセブンとは、米株式市場を代表するテクノロジー企業であるアルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディアの7社を指す)
ナスダック総合指数は2.1%高。SOX半導体指数は4.37%安と前週7.94%に続いて大幅安です。まだ年初来では約78%も上昇しているのですが。
半導体関連の寄与度が大きい日経平均は前週末比383円(0.55%)高の6万9744円と反発ながら小幅高にとどまった一方、TOPIXは前週末比2.55%高と続伸です。小型株も買われてグロース250指数は7.4%高となりました。
メタが、自社の余剰なAI計算資源を外部企業に貸し出す新たなクラウド事業の構築を計画しているとの報道などから、今後の設備投資の継続性に疑問符がつき、半導体株やデータセンター関連に売りが波及しました。
アップルが中国メーカーから半導体を調達する方向で協議を進めているとのニュースも重しになり、韓国株は再びプログラム売買を一時停止するような急落をみせました。
一方で、原油価格の下落や、ウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長の「インフレリスクは低下している」との発言、7月2日(木)発表の米雇用統計が予想を大きく下回ったことなどで米利上げ観測が後退。ヘルスケア、金融、資本財などにも買いが入っています。
日本では日銀短観が予想を上回ったことも、ホルムズ海峡封鎖の悪影響が想定ほど出なかったとの安心感につながったかもしれません。
これまでのAI関連一極集中から物色の対象が移動、広がってきたことはむしろ健全との見方があります。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 先週の為替相場は、米ドル/円が約40年ぶりの高値圏となる162円台後半まで急伸したことが話題となりました。
ただ、政府・日銀の「介入」への警戒感や米国の利上げ観測後退によって、週末にかけて160円台半ばへと押し戻されるなど、非常にボラティリティの高い相場となりました。
週初は、FRBによる利上げ観測が根強く残る一方、国内では政府の「骨太の方針」報道が円売りを加速させました。
日本政府は近く策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」で、高市早苗政権が目指す「強い経済」の実現に向け、「適切な金融政策運営が行われることも非常に重要」との文言を明記する方針だ。日銀に対し、政府の方向性に歩調を合わせることを改めて求める。
ブルームバーグが骨太の方針原案を入手した。日銀による「適切な金融政策運営」を巡っては、昨年の方針にはなかった「非常に重要」との文言が加わった。今後の議論で原案が修正・変更される可能性もある。
(出所:Bloomberg)
この「非常に重要」という文言が加わったことで、日銀の利上げに影響を与える可能性が高まり、米ドル/円は162円台に突入。一時162.84円まで急騰しました。
ただ、円安相場の報道が拡大するにつれ介入警戒感が高まり、マーケットでは「米国の連休を控えて薄商いのなか、今から48時間以内に政府・日銀が米ドル売り介入をする」との噂が急速に広がりました。
噂以外に大きな要因はない中、節目の162.00円を割り込むと、米系短期筋の利益確定の米ドル売りが拡大。一時160.49円まで値を下げるという乱高下相場となりました。
週末は161.35円と、再び162.00円回復を狙う展開で終了しています。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
ユーロ/米ドルも米ドル高主導で一時1.1400ドルを割り込みましたが、週末は1.14台を回復し1.1435ドルレベルで週を終えています。
基本はどちらも米ドル高の流れですが、調整幅も大きくなっています。
米ドル/円の展望に関しては後ほど。それでは叶内さん、今週(7月6日~)のイベントと株の注目点をお願いします。
米ドル/円は162円台回復。介入期待で、大きく米ドルを買い遅れている事業法人が多く、押し目は浅い
MC叶内 今週も「AIブーム」の継続性の見極めが重要になります。7月に突入し、年後半入りしたわけですが、本格的に物色の方向性が変わるのかどうか、7月10日(金)に発表される半導体受託製造大手TSMCの6月の月次売上がひとつの手掛かりになりそうです。
経済指標は、海外では7月6日(月)に発表される米国6月ISM非製造業景気指数が重要視されています。予想は54.1 で前回54.5から小幅悪化予想です。
7月7日(火)の米5月貿易収支、7月8日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録(6月16日~17日開催分)、IMF(国際通貨基金)世界経済見通し、7月9日(木)の中国6月のCPI(消費者物価指数)とPPI(卸売物価指数)、米6月中古住宅販売件数の発表も注目です。
国内では、7月7日(火)に5月毎月勤労統計、30年債入札、7月8日(水)に6月景気ウォッチャー調査、7月9日(木)に6月都心オフィス空室率、地域経済報告(さくらレポート)、7月10日(金)に6月企業物価指数が発表されます。7月10日(金)はオプションSQ(特別清算指数)算出日です。
そして徐々に決算発表が増えてきます。今週は製造業の皮切りとして7月10日(金)の安川電機が注目。そのほか、7月9日(木)にファーストリテイリング、セブン&アイ・ホールディングス、7月10日(金)にイオンも決算発表を予定しています。
7月8日(水)と7月10日(金)には、主なETF(上場投資信託)で1.7兆円程度の分配金が支払われます。この配当金支払いのための捻出金売りは、このところの売買代金から見ると影響が少ないと見られています。今回は再投資はあまりなさそうです(受け取り手が日銀のため)。
為替市場の見通しはいかがですか?
トレーダー西原 ウォール街の多くの銀行は、米ドルに対して強気な見方を維持しています。
JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、ゴールドマン・サックスはいずれも、米ドルはさらに上昇するとの見方を維持。
HSBCホールディングスは、米ドルの急騰が今年後半の最大級の「ペイントレード(市場にとって痛みを伴う取引)」の1つになる可能性があるとしています。
僕も当初、ユーロ/米ドルに対してそう考え、ショートにしていた時期もあったのですが、節目だった1.1414ドルを割り込んで下げが加速するも、現在1.1430ドルまで反発しています。
これは、米ドル/円が節目の162.00円をやっとブレイクしても、伸び切らず反落したのと同様です。
最近の為替市場はこうしたフェイクを伴って、にわか米ドルロングが振り落とされた後にトレンドを形成することも多いので、要注意。
前述の米ドル高の見方ですが、すべての通貨に対して米ドル高が進んでいるわけではありません。
米ドル高での注目はまず米ドル/円。米金利がじり高の中で、日銀の金融正常化が遅れている環境では、じり高の展開。
介入期待があるため、大きく米ドルを買い遅れている事業法人が多く、彼らは160円割れの米ドル買いのチャンスを待っていると言われており、米ドル/円の押し目は浅いと考えています。
米ドル/円は早晩、節目の162円台を回復してくると考えています(本記事公開時点で162円台を回復した)。ポジションは米ドル/円のロングのみ。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円の162円超えに期待! 162円に巨大なバリアオプションはあるが、162円超えのストップロス注文も増えてきた。6月下旬〜7月上旬は例年、株価が重くなりやすい(6月29日、西原宏一&叶内文子)

(出所:TradingView)
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。























株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)