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西原宏一・叶内文子の「FX&株 今週の作戦会議」

米ドル/円はイラン停戦と160円接近での介入に要注意。単独介入は月次最高の11兆7349億円でも効果なしと再確認。RBNZのタカ派転換とSNBの介入懸念後退にも注目!

2026年06月01日(月)12:08公開 (2026年06月01日(月)12:08更新)
西原宏一&叶内文子

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米ドル/円への介入額は11億7349億円だったが、155円台前半から159円台前半へ反発。豪ドル/ニュージーランドドルが急落

西原宏一(以下、トレーダー西原)叶内文子(以下、MC叶内) ​みなさん、こんにちは。

トレーダー西原 それでは叶内さん、さっそく先週(5月25日〜)の株の振り返りからお願いします。

MC叶内 ​好調な企業決算を手がかりにAI関連への強気センチメントが続き、米国株は3指数そろって最高値を更新した強い1週間でした。

 S&P500は7日続伸、4日連続での最高値更新。週間では1.43%高で9週連続上昇、1970年以降で2番目の連騰記録となりました。NYダウは+2%、ナスダック総合指数は+1.8%で続伸です。

 米国とイランの停戦協議についても楽観的にとらえていて、原油価格が週間ベースでは4月初め以来の大きな下げ幅となり、金利も低下し、株価を押し上げています。恐怖指数VIXは15.32と4カ月半ぶりの低水準です。

 デルがAIサーバー販売の通期見通しを大幅に上方修正したことで急伸し、AI関連株全体に買いが波及しました。マイクロンは5月だけで約88%も上昇しています。

 AI関連だけでなく、米国企業の決算は好調。ブルームバーグによるとS&P500構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)は、イラン戦争開始前に比べ約11%増加しているそうで、この間のS&P500の上昇率(約10%高)を上回ります。

 GDPの下方修正やPCEデフレータがFRB(米連邦準備制度理事会)の目標を超えていることなどは引き続き相場の重荷ですが、ゴールドマン・サックスがS&P500の年末目標水準を8000に引き上げ(従来7600)たように、強気の見方が増えています。

 この流れを受けて日経平均は前週末比2990円(4.7%)高の6万6329円と大幅続伸し、最高値を更新しました。出遅れていたTOPIXも約3か月ぶりに最高値を更新しました。中東情勢懸念で一時急落する場面もありましたが、再び買われて週を終えました。AIブームの恩恵を受けるとして村田製作所などの電子部品株が脚光をあびました。同じAI関連といっても銘柄は変わってきている印象です。

 為替市場はいかがでしたか。

トレーダー西原 まず先週大きな動きがあったのが、ヘッジファンド大注目の豪ドル/ニュージーランドドルです。

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米ドル/円の160〜162円は事実上、米10年債利回り4.5%防衛のベッセントラインと読める! 介入が入れば155円台で買い戻し。RBNZのタカ派転換でAUDNZD急落(5月28日、西原宏一)

 豪州とニュージーランド両国の金利動向により、多くのヘッジファンドが豪ドル/ニュージーランドドルを中長期でロングにしていました。

 しかし、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])が先週の金融政策決定会合で「タカ派」に大きく転換。委員6人中3人が即時利上げを支持し、全員が近い将来の利上げの必要性に同意したこと。

 一方、豪州は4月CPI(消費者物価指数)が弱い結果となり、雇用統計も予想を下回るなど経済指標が全体的に低調

 結果、多くのヘッジファンドから利益確定の豪ドル/ニュージーランドドルの売りが持ち込まれ、大きく値を下げています。当面は調整局面入りでしょう。

豪ドル/ニュージーランドドル 日足
豪ドル/ニュージーランドドル 日足チャート

(出所:TradingView(トレーディングビュー))

 もうひとつマーケットを驚かせたのが、財務省が公表した介入実績です。

 財務省が5月29日(金)に公表した介入実績によると、4月28日(火)〜5月27日(水)の円買い・米ドル売り介入の総額は11兆7349億円。2024年の介入実績(4月・5月で約9.8兆円、7月で約5.5兆円)をいずれも上回り、円安局面での月次介入として過去最大を記録しています。

 しかし、市場の反応は冷淡。4月30日(木)の介入で160.70円レベルから155円台前半まで急落した米ドル/円は、159円台前半へ大きく戻しています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 なぜ過去最大の介入が効かなかったのか? 詳しくは後ほど今週の展望で触れますが、最大の要因はイラン有事による原油高という「根本原因」が解消されていないことです。

 先週初も米国とイランが合意に近づくといった報道もあったのですが、決着がつかず
先送り。マーケットはイラン情勢のニュースに振り回されることに辟易気味です。そろそろ相場を動かす違うトリガーが欲しいところ。

 なぜ過去最大の介入が効かなかったのか?という点については、。

 それでは叶内さん、今週のイベントと株の注目点をお願いします。

米ドル/円はイラン停戦交渉正式合意なら円買いへ。160円接近で介入の可能性が急激に高まる。ユーロ/スイスフランにも注目

MC叶内 月初で米国は重要経済指標が出てきます。

 6月1日(月)に米5月ISM製造業景気指数、6月2日(火)に4月JOLTS、6月3日(水)に5月ADP雇用統計、ISM非製造業景気指数、ベージュブック、そして6月5日(金)に米5月雇用統計が発表されます。

 米雇用統計の市場予想の中心は、非農業部門雇用者数が+8.5万人と前回(+11.5万人)から伸びが鈍化する見込みです。失業率は4.3%で横ばい、平均時給は前月比+0.3%と市場予想を下回った前回から小幅改善、前年比では+3.4%に悪化の見込みです。

 予想程度であれば労働市場は落ち着いているとして、引き続きインフレ動向がより注目されることになりそうです。

 国内では、6月1日(月)に1~3月期法人企業統計、6月5日(金)に4月全世帯家計調査、4月毎月勤労統計が発表になります。また、6月2日(火)に10年債の入札、6月3日(水)に日銀植田総裁がきさらぎ会で講演します。先週の国際コンファレンスでのあいさつでは、利上げについて触れませんでした。6月15日(月)、16日(火)の日銀(日銀金融政策決定会合)に向けて利上げ観測がいっそう高まるのか注目されます。

 需給面で、日本株は配当再投資が意識されやすく、バリュー株を中心に買い要因となりそうです。

 決算発表で、6月2日(火)の米サイバーセキュリティ企業パロアルト、6月3日(水)の米データセンター向けネットワーク半導体を手がけるブロードコムは関連企業への影響も大きそうです。6月1日(月)にヒューレット・パッカードも発表予定です。

 6月2日(火)にNAND型フラッシュメモリのキオクシアHDが「Investor Day」を開くようです。機関投資家・アナリスト向けのイベントですが、今後の成長投資や還元方針などが示され、アナリストレポートなどが出てくると株価材料になりそうです。

 為替市場の見通しはいかがですか?

トレーダー西原 前述の豪ドル/ニュージーランドドルに加え、個人的に注目しているのがスイスフラン。

スイス国内のインフレ再加速が、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の介入姿勢を「スイスフラン安誘導」から「中立」へ変えるという見方が拡大

 もともとスイスフランは地政学的リスク・インフレ・欧州の景気下振れといった局面で強くなる「安全通貨」であり、現在の紛争はまさにその3つすべてを含んでいます。

 SNBの介入懸念が後退すれば、ユーロ/スイスフランは再び0.9000スイスフラン割れへ下落するとみています。

ユーロ/スイスフラン 週足
ユーロ/スイスフラン 週足チャート

(出所:TradingView

 米ドル/円についての最大の焦点は、イラン停戦交渉の行方。

 米国とイランは60日間の停戦延長とイランの核協議再開で暫定合意に達しており、3カ月に及ぶ紛争の解決期待が高まりましたが、トランプ大統領の最終判断がまだなされておらず、不透明感を払拭できていません。

 仮に合意が正式承認されれば、ホルムズ海峡の開放→原油価格急落→円買い圧力強化という流れが現実味を帯びてきます。

 政府・日銀は4月28日(火)〜5月27日(水)の間に合計11兆7349億円の為替介入を実施していますが、単独介入が効かないことを改めて確認した形。

先週のコラムでご紹介したとおり、円高転換には(1)イラン停戦(2)日銀の連続利上げ(3)円安抑制においての米国の協調という3つの要因が必要

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 この中でまずイラン停戦に期待したいところ。加えて、6月3日(水)に植田日銀総裁がきさらぎ会で講演することにも注目です。

 あとは、仮に米ドル/円が160円に接近した場合、政府・日銀の介入の可能性が急激に高まりますので、要注意です。

トレーダー西原MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!


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