■「sell the fact」でユーロ/米ドルが急落した
先週、6月9日(木)に行われたECB(欧州中央銀行)理事会後のトリシェ総裁のコメントは、マーケットのコンセンサスどおりで「strong vigilance」となりました。
つまり、7月の利上げを示唆したものでした。
先週のコラムでご紹介したとおり、マーケットの反応は「sell the fact」となって、ユーロ/米ドルが売られました(「米国経済の減速懸念で徐々に円高へ。米国株が崩れないかぎりNZドルも底堅そう」を参照)。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
トリシェコメントをきっかけにして、多くの市場参加者からユーロの利益確定売りが相次ぎ、ユーロ/米ドルは1.46台半ばから大幅に下落しました。
6月15日(水)のNY市場では、一時1.4158ドルまで急落しています。
ただ、このユーロ/米ドルの大幅下落の背景には、ギリシャに対する懸念が拡大したことも挙げられるでしょう。
■ギリシャの財政問題への不安感がますます高まっている
ギリシャ問題が沈静化するには、ギリシャ支援についてユーログループが合意に達する必要がありますが、どうやら合意は遅れる見通しです。
今週に入り、ギリシャ支援策に関するニュースが交錯する中、マーケットが受ける印象は「ユーロは大丈夫なのか?」という不安感の高まりでしょう。
アテネでの抗議集会に警察が催涙ガスを使って鎮圧にあたっている映像がメディア流されることも、こうした不安感がますます高まることにつながっているようです。
そうしたマーケット心理を反映して、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル国債とブンズ(ドイツ国債)のスプレッド(金利上乗せ幅)は、ユーロ導入以来の高水準まで拡大しています。
これに連れて、為替市場では「ユーロ安」が進行する流れになっています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
ファンド勢のユーロ/米ドルに対する目線も徐々に下がってきており、数カ月で1.3500ドルといったオプションも物色されている模様です。
その背景にあるのが、ユーロ圏の混乱に加えて、米ドルに対する強気な見方です。
■マーケットのセンチメントは米ドル高へ
さて、6月末にアメリカの「QE2(量的緩和第2弾)」は終了となります。
「QE3(量的緩和第3弾)」に関しては、多くのエコノミストからいろいろな意見が出ていますが、現時点では、「QE3」が実施される可能性は低いというのがコンセンサスとなっているようです。
そこで、市場関係者の間で話題となっているのが、「QE2」終了後のマーケットです。
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