為替市場はイラン紛争でどう動いた? エネルギーリスクで、買われやすい通貨と売られやすい通貨に分かれた
みなさん、こんにちは。
米国とイスラエルは2月28日(土)、核兵器開発阻止を理由にイランへの先制攻撃に踏み切りました。
今回の攻撃でイランの最高指導者であるハメネイ師やその親族の死亡が伝えられる一方、イランからの報復行為が継続されています。
リスク回避の動きからまず日経平均が急落。リスクオフ相場では、為替市場は米ドル高、円高になるのが通例ですが、今回の初動は違いました。
中東でイランを巡る紛争が始まったことで、為替市場では「エネルギーリスク」が大きなテーマになりました。
原油の供給が脅かされる可能性があるため、エネルギーを大量に輸入している国の通貨は売られやすく、安全な通貨や資源国通貨は買われやすいとして、以下のように注目されています。
●買われやすい通貨
(1)米ドル…安全通貨、そしてエネルギー依存度が低い
(2)スイスフラン…有事の安全通貨、エネルギー依存度が低い
(3)豪ドル…資源国、AIブームによる商品需要の恩恵
●売られやすい通貨
(1)日本円…低金利 + エネルギー輸入大国
(2)ユーロ…エネルギー依存度が高い
(3)中国人民元…中東からの石油輸入が多い
為替市場の初動は、前述のように米ドル買い、スイスフラン買い、豪ドル買い、円売りといった展開。
ただ、「イランが米国に停戦交渉を打診した」という報道(後に否定)をきっかけに市場がやや落ち着き、スイスフランはオプションのボラティリティだけが、主要通貨の中でいち早く戦争前の水準に戻りました。
そして、スイスフランが歴史的な急騰をみせる中、それを止めようとする動きがでてきました。それはSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の動きです。
スイスフラン/円急反落の懸念高まる。SNBが介入すれば、スイスフランが反落し、日銀が介入すれば円反発に。2大中銀の動向に注目
まず3月2日(月)、スイスフランが急騰する中、シュレーゲル総裁の発言として「Active in the FX market to ensure price stability」といった見出しで一斉に報じられました。
シュレーゲル総裁は、スイスフランの高騰が国内の物価安定(デフレ懸念)を脅かす場合、「外国為替市場において、より積極的に活動する用意がある」と述べました。
これまでも「介入の用意がある」という表現は使われてきましたが、今回は「必要であれば(介入の)規模を拡大することにちゅうちょしない」というニュアンスが含まれており、市場では「介入へのハードルが下がった(より積極的になった)」と受け止められています。
これでいったんスイスフランは下がったのですが、スイスフランが反発してきたため、 今度はSNBの副総裁が登場します。
3月4日(水)、SNBの副総裁アントワーヌ・マルタン氏が、新しいスイス紙幣についての記者会見で「スイスフランが強くなりすぎるのを止めるために、為替市場に介入する気持ちは以前より強い」「最近の政治的な出来事があったので、介入する意欲、介入する準備はより高い」とコメント。
その背景には、米国とイスラエルがイランを攻撃したことで世界の市場が不安定になり、安全資産とされるスイスフランが買われやすくなっていることがあります。
そして、週のはじめにSNBが突然出した「必要なら介入する」というメッセージを、あらためて確認する内容でした。
しかし、これでもスイスフランはあまり弱含まず、スイスフランは反発。ユーロ/スイスフランは再び0.9065スイスフランと2015年のスイスショック以来のスイスフラン高値に迫っています。
つまり、SNBの総裁と副総裁が警告しているため、スイスフラン売り介入の可能性はかなり高まっているものの、マーケットは実際にSNBが実弾介入に踏み切るまで、スイスフラン買いを進めようとする展開になっています。
一方、米ドル/円の158.00〜160円のゾーンでは、日銀(政府・日銀)の円買い介入の可能性が高まります。
そこで注目されているのがスイスフラン/円です。
SNBによるスイスフラン売り介入の可能性が高まり、日銀による円買い介入の懸念が拡大すると、今週もイラン戦争勃発で史上最高値の204.01円まで急騰しているスイスフラン/円は、急反落する懸念も高まっています。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
英バークレイズ銀行を筆頭に、スイスフラン/円のロングを推奨する銀行が多い中、 SNBと日銀が動けば、そうした流れがリバースする可能性も高まっているので要注意です。
SNBと日銀の2大中央銀行の動向に注目です。
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