2020年に行うFXの確定申告(2019年(令和元年)分)、FXの税金に関する最新記事は、以下の【参考コンテンツ】でチェックしてください
【参考コンテンツ】
●【2020年版】FXの税金・確定申告を解説!パソコンやスマホからさくっと申告できる
(「【2013年版】税理士・三瀬氏に聞く確定申告(1) FXで損している人も確定申告でお得に!?」からつづく)
■必要経費はどこまで認められる? 節度を守って計上を!
ところで、実際に課税される金額は、FXで出た利益から必要経費分を差し引いた金額だと思いますが、必要経費って、どのあたりまで認められるのでしょうか?
まさか、なんでもかんでも認められる! というモノではありませんよね!?
「それは正直、判断が難しいところですね…。認められないモノも多いかも(?) しれません。該当する条文を見ると、これはOKで、これはNGといった具体的な取り決めがありません。ざっくりと、その所得を得るためにかかったものであれば…、としか書いていないんです」
FXの必要経費として思い浮かぶものは、書籍やDVDの購入代金、セミナーへの参加費用などが挙げられそうな気はしますが、どうでしょうか? 経費として認められませんか!?
「もちろん取引手数料などは経費になります。税法上は、『収入を得るために直接要した費用の額及び販売費一般管理費その他所得を生ずべき業務について生じた費用の額』となっています。従って、書籍やセミナーもFXで利益を得るためにかかったものだと合理的に説明できるのであれば、問題ないでしょう。
ただ、1つ言えることは、必要経費として計上する費用は、節度をもって! ということです。常識的に考えて必要経費として認められるだろうと思われるものは、計上して良いと思いますよ」
なるほど、常識的に考えて! ですね。なんでも必要経費として計上してしまいたくなりますが…そこは各々節度を持って申告しなければいけませんね。
もう1つ、FXは、株式よりも必要経費が認められやすい(!?) なんて話を聞いたことがあるような気がするのですが…実際は、どうなのでしょうか?
「基本的には、株式では必要経費として認めない、FXでは認めるというように、必要経費として認められるものが異なるということは、あまりないと思います。所得の区分が異なることによって、必要経費として認められる範囲が異なる可能性があるかと思いますが…」
■海外のFX口座の損益は総合課税で最大50%!?
ここまでは、国内のFX取引ついてお話をうかがってきましたが、2010年、2011年のレバレッジ規制を経て、FXトレーダーのなかには、ハイレバレッジで取引できる環境を求め、海外にFX口座を開くという方もいるようです。
国内では、店頭取引FXと取引所取引FXの税制が一本化されましたが、これは海外のFX口座で発生した損益にも適用されるのでしょうか?
「海外FX口座は、日本に住んでいる方であれば、2011年まで店頭取引FXに適用されていたものと同じで総合課税になるでしょう」
えっ!? 海外のFX口座で出た損益は総合課税!? 同じFXなのに、どうしてですか?
「というのも、金融商品取引法などを見る限り、外国金融商品市場での取引は省かれてしまっているんです。ですので、今のところは、国内のFXと同じ申告分離課税ではなく、総合課税に入れざるを得ないと思います」
えっ!? 海外のFX口座で出た損益は総合課税!? 実は、金融商品取引法などを見る限り、外国金融商品市場での取引は省かれてしまっているそう。従来の店頭FXと同じ扱いなので、最大約50%の税金がかかる。
「つまり、従来の店頭取引FXと同じ扱いですから、最大約50%の税金がかかるということです。あ、ちなみに…今、国会で議論されている平成25年度税制改正大綱が通れば、最大約55%の税金がかかりますね」
ということは、海外のFX口座で大儲けした人が、「2012年からFX税制は一本化されたから、かかる税金は一律20%だ!」 な~んて思っていると、大変なことに…。注意が必要です!
このほかにも、海外のFX口座では年間取引報告書のように、1年間の取引結果をまとめたものがなかったり、外貨で発生した利益が為替リスクにさらされたりと、いくつか注意しなければならないポイントがあります。
このようなリスクを勘案すると、あまり安易に海外のFX口座を開設すべきではなさそうですね…。
「日本とは勝手が違いますし、いろいろと気をつけなければならないことがありますね。いずれ税制も統一されるんじゃないでしょうか? 本当に、ご自分ですべての取引履歴を把握するのは、大変だと思いますよ」
■脱税すると、やっぱりヤバイことになります!
数年前には、FXで数億円を脱税した主婦などが話題になりましたが…申告漏れや虚偽の申告をした場合は、いったいどんなペナルティがあるのでしょうか?
ズバリ、脱税したらどうなるの(!?) という質問です!
「基本は、通常納める税金に加えて無申告加算税等が課せられます。さらに仮装や隠ぺいなど明らかに悪質な場合には、重加算税が追徴でかかります。ニュースなどで、芸能人の方の申告漏れが話題になっていたりしますよね? アレです!」
ああ、最近もありましたね! あの、ゆでたまごの…! って、それは置いておいて…申告していないことがバレる(発覚する)と、どのくらいのペナルティが科されるのでしょうか?
「重加算税だと35%かかってきます。通常の税金に延滞税、重加算税が加わって、得た利益がほとんどなくなってしまうほどの税金がかかってしまうこともあるんです」
恐ろしいペナルティがあるんですね…。
「そうですね。仮装経理などは重加算税が課されるケースが多いんです。もう完全に意図的で悪質なケースですね」
■海外のFX口座もちゃんと申告しないとヤバイぞ!
海外だから申告しなくていいや! (バレなければ…フフフ)という人もいるかもしれませんが…もちろん申告しないといけませんよね?
「はい、申告しないとダメです(キッパリ)」
いったい、どうして申告漏れはバレてしまうんでしょうか?
「正直なところ、税務署がどうやってそういった情報を把握しているかまではわからないですね(笑)。ただ、海外のFX会社であったとしても、税務署が必要な情報の開示を求める、という可能性はあり得るんじゃないでしょうか」
「みなさん、仮に海外のFX口座であったとしても、ちゃんと申告をしてくださいね!」
もちろんです! 海外のFX口座でボロ儲けしちゃった方も、ちゃんと申告しましょう。
■FXの確定申告はどうやって手続きをすればよいの?
あまり大きい金額でなければ、個人の方で税理士さんに確定申告の代行を依頼するということもないと思うのですが、FXで得た利益や損失の繰越控除のために申告をするには、具体的に何をどうすれば良いのでしょうか?
「個人の方が自分で申告する場合は、国税庁のウェブサイトに申告書の様式があるので、それをダウンロードして記入してください。
また、確定申告時期には、税務署などに相談コーナーが設置されますので、そこで相談するのも良いと思います。電子申告(e-Tax)もできますよ。この時期は、僕たち税理士も相談コーナーに出動しています(笑)」
確定申告の際、いっしょに提出しなければならない書類などはありますか?
「申告書第三表や先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書などを添付してください。また、損失の繰り越しがある場合は、『付表(先物取引に係る繰越損失用)』というものが別途必要ですので、それを添付します。
いずれにしても、個人の方がご自分で申告する際は、間違いがないように、わからないことは、先ほどご案内した相談コーナーなどで専門家に確認するようにしてください」
ちなみに、電子申告(e-Tax)も、慣れてしまえば楽にできるようになるそうです。いずれにしても、自分で手続きをする場合は、間違いがないよう相談コーナーなどを活用しながら申告手続きをするか、税理士の方にお願いしたいですね。
■ちょっと脱線話! FXの調子はいかがですか?
最後にちょっとだけ、脱線話!
税理士として担当されている顧客は、法人が多いのでしょうか? なかには、FXを取引している方もいらっしゃるとか…?
「はい。法人が多いですね。担当している法人の社長さんでFXが好きな方もいますよ。そういえば、以前、友人が店頭取引FXと取引所取引FXとどちらも取引していて、片方で利益、片方で損失という年がありました」
友人がFX取引をしていて、2011年以前に取引所取引FXと店頭取引FXで「損益通算できないの?」と聞かれたことがあるそう。
「その友人に、『損益通算できないの?』 と聞かれたのですが…当時(2011年以前)は、損益通算できなかったですからね。できないよって伝えたこともあります」
そうそう、三瀬さんご自身もFXをやっていらっしゃるとうかがいましたが、トレードの調子はいかがですか?
「少しだけです…(笑)。最初は何となく始めたのですが、FXを取引しているクライアントや友人もたくさんいるので、僕もそういう話ができたほうが良いと思って続けています。実際、FXの確定申告を依頼されるケースもありますので」
ちなみに、FXをはじめられてどのくらいですか?
「実は、けっこう長いんです(笑)。26歳くらいからですから、5~6年になりますね」
ということで、今回はご自身でFX取引の経験もある、税理士の三瀬宏太さんにご協力いただき、FXの確定申告についてアレコレ聞いてみました。
2012年分の申告から店頭取引FXの税制も取引所取引FXの税制と一本化されており、さまざまな面でルールも変わっています。
一定の金額を上回った利益を申告するのは当然として、せっかく使えるようになった「損益通算」や「繰越控除」などの制度も活用しないともったいないですよ! うまく節税効果を得られるかもしれません。
FXの場合、税理士を介さず自分で申告をしようという方も多いはず…該当する方は、わからないことは、専門家へ相談するなどしつつ、間違いのないよう、きちんと確定申告をしましょう!
(取材・文/ザイFX!編集部・向井友代 撮影/和田佳久)
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