■2時間足の200MAがサポートからレジスタンスに転換か
次にややユニークだが、米ドル/円の2時間足をもって分析してみよう。引かれた移動平均線は期間200の移動平均線(200MA)である。
(出所:米国FXCM)
「なぜ2時間足に200MAを取るのか」という質問が聞こえてきそうだが、理由はシンプル。これが今のトレンドを測る上で、一番効くからだ。
言い換えれば、移動平均線の本質は売買コストだから、あらかじめ決めた周期よりも、一定の期間における最も有効な平均線を抽出し、フォローしていく方がより効果的である。
上のチャートをよく見ると、200MAが2時間足において、2012年11月後半(アベノミクス効果の始点)から先週(2013年2月18日~)まで、一貫して米ドル/円の下値の節目を支えてきたことがわかる。
したがって、今回の「2.26事件」で米ドル/円が大きく同移動平均線を割り込んだので、しばらく調整波動に留まることが容易に推測できる。
これだけではなく、テクニカルアナリシスの原則では、重要なサポートをいったん割り込むと、今度はそれがレジスタンスとなる場合が多いとされるので、同200MAが今度は抵抗ゾーンとして意識される。
現時点では、同200MAは93.16円を示していることを覚えておいていただきたい。
■さまざまな分析の結果、いずれも円安一服の公算大
また日足では、下のチャートに記しているように、2011年10月安値を起点とした上昇波動を、エリオット波動論に照らして、5波構造とみなした場合、2012年9月安値を起点とした上昇波動はもっとも強い上昇3波に当たり、今週(2月25日~)の高値をもって第1波(11年10月安値~12年3月高値)値幅の2倍程度で一服した公算も大きい。
(出所:米国FXCM)
最後に、週足においては、以前このコラムでも取り上げたように、RSIが示す過熱感は相当なものだったので、今回の反落をもって解消を図るのであれば、短期に終わってしまうことはやや想定しにくい。
【参考記事】
●日欧の「総裁ショック」で波乱の展開!円安トレンドは本物だがスピード調整か(2013年2月8日、陳満咲杜)
2010年5月高値の94.98円を超えられずにいる米ドル/円は、週足ではリバーサルのシグナルが点灯し、より深い調整幅につながると思われる。
したがって、アベノミクスによる円安効果がすでに一服した公算が大きい以上、しばらく円安トレンドに対する調整が行われる公算が大きい。
米ドル/円に関しては、90円の節目割れをもって、さらなる調整の余地がある状態になるだろう。市況はいかに。
(3月1日 PM 3:00執筆)
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