■ECBが利下げと流動性供給の措置を実施
ユーロ/米ドルが再び不安定な動きとなっています。
ユーロ/米ドルは5月に入ってすぐに1.3243ドルまで値を上げたものの、一目均衡表の雲の上限でテクニカル的にアタマを抑えられたほか、5月2日(木)に開催されたECB(欧州中央銀行)定例理事会での利下げや、その後に行われたドラギECB総裁の定例記者会見を受けて、一転売りが強まる展開となりました。

(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
先のワシントンG20(主要20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)の声明文でも言及されているとおり、「ユーロ圏は全体としていまだ回復を実現していない」状態です。これを克服するためにも、金融緩和が必至となっていましたが、ECBは「政策金利を0.25%引き下げて0.5%に設定する」ことを決定しました。
市場ではこの利下げはほぼ100%織り込まれていましたが、さらにどのような緩和策がとられるかに注目が集まるなか、ECBは「限界貸出金利を1.5%から1.0%まで引き下げる」という、いわゆる流動性供給の措置も併せて行いました。
市場はこの緩和策発表までは景気刺激策を好感してユーロ/米ドルを買う動きを強めましたが、大きく相場を崩したのが、何を隠そう、その後のドラギECB総裁の定例記者会見での発言です。
■ドラギ総裁の「マイナス金利発言」でユーロ/ドルは乱高下
ドラギ総裁は「必要であれば、さらに行動する用意がある」ことに言及。そして、「中銀預金金利のマイナス金利に対してもオープン」であることも表明しました。
何しろ、これは銀行が中銀にお金を預けておくと金利を逆に取られることになるという話ですから、その副作用の大きさから反対意見が強かったのです。しかし、ドラギ総裁がこう発言したということは、その懸念を考慮してもまだなお「マイナス金利の可能性がある」ことを示唆しています。
利下げと流動性供給を組み合わせた緩和策によって、G20からもお叱りを受けているユーロ圏経済の建て直しを図ろうと、もがいていることがわかります。
市場はかなり突っ込んだ発言にサプライズ。ユーロ/米ドルは一転して売り込まれ、乱高下の相場展開となっています。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 30分足)
■GW明け以降の国内勢の動きがカギとなる米ドル/円
ところで、米ドル/円はGW中とあって、そういったユーロ圏でのイベントを尻目に本邦勢のフローがまったくみられていません。
100.00円の上抜けに失敗した米ドル/円相場は、「諦め売り」を受けて一時96.99円まで下落しましたが、日銀による「量的・質的金融緩和」を受けた米ドル買い意欲は引き続き強く、逆に97円台の下値の堅さが目立つ状況になっています。
5月に入ってからも何度も97円割れを試したものの、結局、5月2日(木)のNY市場では98円台半ばまで買い戻される始末。

(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
先週からお伝えしていますが、国内機関投資家が本格的に市場に参入してこない限り、大きな方向性は出てこないと思われます。
【参考記事】
●なぜ為替相場は膠着が続いているのか? 生保の新規外債投資で円安は期待できず(2013年4月26日、今井雅人)
GWが明けた5月7日(火)以降の国内勢からのフローを待ちたいところです。直近では一目均衡表の基準線と一目均衡表の転換線に挟まれたレンジ相場が続いています。

(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
このレンジを打ち破るためにも、来週の動向がカギとなってきます。
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