■元ゴールドマンのディーラーが語る米ドル/円の展望は?
西原さんのチャートとインディケーターの話が終わった後は、志摩力男さんによる米ドル/円のマーケット展望がスタート。

ちなみに、今回、FX友の会の講師陣に初めて加わった志摩さんは、かつてゴールドマン・サックスで、為替だけでなく債券や株の売買も手がけていたそうだ。
西原さんによると、「東京マーケットで志摩さんが売買をすると、マーケットがその方向に動いてしまう」ほどだったという。東京マーケットを動かしてしまうほどのポジションとはどれだけ大きいものなのだろうか。
さて、志摩さんは米ドル/円相場の展望について、重要なポイントを割り込んだ場合は大量のストップが出るとの見方を示している。
「100.70円が重要なので、そこを割れたらストップロスが大量に出るでしょう。ただ、そこが割れても、どこまで下がるかよくわかりません。
100円割れから98円、もしかしたら90~95円という展開かもしれませんし、100.70円を割れても意外に100.50円程度で下げ止まって、トリッキーな展開となるのもありかと。結局、下げは調整だと思うので」

(出所:米国FXCM)
実際、志摩さんは、現在の状況では上がっても下がっても「そうなんだ」と思う感じで、あまり勝負をかけていないという。ただ、現在の相場は過去のある時期の相場と似ており、それが今後の相場を見る上で重要になるそうだ。

2014年6月の米ドル/円相場は、過去のある時期との相場と似ているという
■1995年~1998年の米ドル/円相場が再現される!?
「個人的には現在の円安相場は、1995年~1998年の相場をリピートするのではないかと考えています。
1995年、米ドル/円は80円に向けて急落した後、106.70円近辺まで急反発するといったように乱高下しました。しかし、その後、うだるようなもみ合い相場を数カ月続けました。現在(2014年6月、※)の相場は、その時のもみ合い相場に似ていると思います」
(※編集部注:この「FX友の会 in 東京 2014」は2014年6月28日(土)に行われた)

(出所:米国FXCM)
ここでの共通するキーワードは「低ボラティリティ」。
志摩さんいわく、「現状の米ドル/円の4%台という低ボラティリティは今まで経験したことがない」そうだ。それゆえに何か起こることを暗示している可能性に触れつつも、現状ではわからない部分も多いという。
ちなみに、1995年~1998年の米ドル/円相場は、79.75円から147円台まで67円ほど上昇している。
ここで何が起きたかと言えば、1995年には日米協調による「米ドル買い介入」などで、それまでの円高の流れを断ち切った。
そして、そこを起点に今度は円安が急激に進んだことから、1998年4月には本邦当局としては珍しい、「米ドル売り介入」に踏み切ることになる。しかし、勢いを止めることはできず、同年8月までさらに円安が進んだ。

(出所:米国FXCM)
志摩さんの話のとおりに、この相場が繰り返されるのであれば、現在のレンジ相場を抜けると、大きな円安トレンドに入るということか。
■日本国債が暴落しそうになったとき、日銀はどう動く?
さらに、志摩さんは日銀の金融政策について、日銀が異次元緩和をやめるタイミングが必ず来るとし、そのイグジット(EXIT)の難しさが、さらなる円安につながる可能性について言及した。

志摩さんは、日銀が異次元緩和をやめるタイミングが必ず来るとしながらも、そのイグジットの難しさが、さらなる円安につながる可能性について言及
「日銀は異次元緩和によって2015年の前半から半ばでインフレ率を2%に乗せることを目標にしています。目標が達成されれば、本来、日銀は異次元緩和をやめて徐々に国債を買う量を減らしてくるはずです(テーパリング)。だが、そうなった場合、日本国債は急落します。
そのときに、本当に日本のインフレ率が2%に乗せていた場合、普通に考えてみれば、10年国債の金利は2.5%~3%、4%というレベルになると思います。
ただ、日本経済がそんな高金利に耐えられるわけがないので、日本国債が暴落しそうになったタイミングで、結局、日銀は相場維持のためにこれまで以上の国債購入をせざるを得なくなる可能性が出てくるのです」
さらに、志摩さんは、「現状では政府が発行する日本国債の70%ぐらいを日銀が購入していると思いますが、おそらく、それを100%まで増やして、10年国債の金利を2%程度に抑える相場管理体制にするのではないでしょうか」という。
また、参加者からの「米ドル/円はズバリどちらに動くのか?」との質問については…
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