■このところ目立つ米当局からの米ドル高牽制コメント
みなさん、こんにちは。
当コラムで懸念していた米当局からの米ドル高牽制コメント。
グローバルな通貨安戦争の最中、通貨高を一手に引き受けてきた米ドルですが、米当局からの米ドル高懸念コメントが目立つようになると、米ドル高トレンドのゲームチェンジャーになりかねません。
【参考記事】
●ついにマイナス金利の住宅ローンが登場!? 金利正常化に向かう米ドルは一人勝ち!(3月5日、西原宏一)
●イエレン議長の会見は想定以上にハト派! されど6月か9月の米利上げは既定路線!(3月19日、西原宏一)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
そして、その懸念していた米当局からの米ドル高牽制コメントが先週(3月16日~)から目立ってきました。
まず、ファーマン米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長のコメント。
ファーマン米大統領経済諮問委員会委員長は3月10日の講演で、「国外経済の成長減速に一段と強いドル(stronger dollar)が加わり、現在の米国の輸出に向かい風を吹き付けていることに疑いの余地はない。この向かい風は国内総生産(GDP)全般にも吹き付けている」
(出所:Bloomberg)
次は、ブラード米セントルイス地区連銀総裁のコメントです。
「米ドルが、対ユーロでどれくらい強くなるのかは不透明感がある」
■米ドル高はある程度容認するが、スピード速すぎは問題
こうしたコメントが続くようになったのは、先日、3月17日(火)~18日(水)に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)以降からです。
FOMCでは、イエレン議長が記者会見で、最近の米ドル高についてかなり言及していました。
1.米ドルの価値については、米財務長官の判断に任す
2.米ドルの価値は、米国経済に大きな影響力を持つことにもなる
3.米ドルの上昇は、低インフレ傾向の長期化を意味する
4.輸入価格の下落がインフレ率を抑制している
5.強い米ドルは、輸出の伸び悩みの理由のひとつ
6.GDPにおける輸出の伸び悩みは、FOMC理事たちがマクロ経済見通しを下方修正することになったひとつの理由
【参考記事】
●イエレン議長の会見は想定以上にハト派! されど6月か9月の米利上げは既定路線!(3月19日、西原宏一)
そして彼女が、判断を任せるといったルー米財務長官は変わらず「強い米ドルは米国にとってプラスであり、力強い米国経済を反映している」と発言し、「強い米ドル(strong dollar)政策」に変更がないとコメント。
ただ、昨年(2014年)10月に行った講演で同長官は「強い米ドルは米国にとって良いことだと確信するが、まず第一に重視しなければならないのは米経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)だ」と述べています。
ここから読み取れるのは、これから金利の正常化に向かう米国は、ある程度の米ドル高は容認するが、輸出が急激に減速するようでは困るということ。
つまり、ここ数カ月の「米ドル高・ユーロ安」は米企業が対応できないほどのスピードであり、このペースで進むようであれば、口先でも介在せざるを得ないということなのでしょう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
■米ドルの急騰続くなら、米企業業績圧迫も
確かに、2015年に入ってからのユーロ/米ドルの急落はすさまじいものがあり、このスピードで急落すれば、あっという間にパリティ(1ユーロ=1米ドル)はもとより、0.9000ドルまで到達してしまいます。
【参考記事】
●すさまじいECBのQE開始でユーロ急落! ユーロ/円は120円に向けて続落か(3月12日、西原宏一)
この急激な米ドル高のスピードだと、ファーマン米大統領経済諮問委員会委員長が指摘するとおり、米企業の収益を圧迫しかねません。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
今週(3月23日~)マーケットが確認したのは、「強い米ドル(strong dollar)政策」は好調な米経済があってこそということ。
当然ですが、米企業業績を圧迫するようなスピードで米ドル高が進むと、米国当局がそれに介在せざるを得ないということになります。
その意味においては…
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